Google Geminiで論文作成がスムーズに!活用術と注意点を徹底解説
みなさんは、論文の作成に生成AIが活用できることを知っていますか?
学んだことの集大成である論文を作成するには、膨大な情報収集や論理的な構成、誤字脱字のチェックなど、多くの時間と労力がかかりますよね。しかし、Google Geminiを使えば、これらの作業を大幅に効率化することができます。
Geminiは論文作成のサポーターとして非常に優秀なだけでなく、自分では思いつかないような革新的なアイデアを生み出してくれることも。
便利な生成AIは数多くありますが、本記事では、その中でも特に使いやすく優秀な機能を持つ「Google Gemini」を論文作成に活用する方法についてご紹介します。Google Geminを論文作成に活用するにあたって注意すべきポイントもまとめましたので、ぜひ最後までご覧ください。
Google Geminiとは
Geminiは、Googleと親会社のAlphabetによって開発された、テキスト・画像・音声・動画・コードなどさまざまな種類の情報を組み合わせることができるマルチモーダル生成AIです。
Geminiは、「Nano」「Pro」「Ultra」の3種類のモデルが用意されています。Gemini Ultraはまだリリースされていませんが、Gemini Nano、Gemini ProはすでにGoogle Bard(英語版のみ)やGoogleスマートフォンのPixel8で使用可能です。
Google Geminiについて、Googleは「ChatGPT-4より高性能である」と発表しており、性能の高さが注目されています。
なお、Google最強のGemini Ultraについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
→【Gemini Advanced】Google最強のGemini Ultra搭載!料金や機能一覧、使い方を解説
Google Geminiで行える論文活用術
Google Geminiは、他のAIにはない非常に優秀な機能を多く持っているため、論文の作成にも大いに役立ちます。以下で、Geminiが行える論文作成の活用術をご紹介します。
論文の検索および要約
Google Geminiは、論文の検索と要約を自動で行ってくれるので、一次情報や根拠を探したい時に便利です。たとえば、「GPT4に関する論文を教えて」と入力すると、以下のような回答を得られました。
GPT4に関する論文は、以下のようなものがあります。
- “GPT-4: Language Models Are Few-Shot Learners” by OpenAI (2022)
この論文では、GPT4がわずかな例示だけでさまざまなタスクを実行できることを示す実験結果が報告されています。例えば、GPT4は、わずか10個の例示で、自然言語の翻訳、コードの生成、質問への回答などを行うことが可能でした。
- “The Potential Impact of LLMs on the Labor Market” by OpenAI (2023)
この論文では、GPT4のような大規模言語モデルが労働市場に与える影響を分析した結果が報告されています。その結果、GPT4の導入により、米国の労働力の約8割が、少なくとも仕事の1割にGPT導入の影響を受ける可能性があるとしています。
- “GPT-4 for Chemical Research: Challenges and Prospects” by Tokyo Institute of Technology (2023)
この論文では、GPT4を化学研究に応用した場合の課題と展望について検討されています。その結果、GPT4は化合物の物性データや特徴に関する知識を有しており、大学院レベルの問題にも回答可能であることがわかりました。一方で、複雑な分子構造の認識や、学術論文レベルの先端知識の不足などの課題も指摘されています。
これらの論文から、GPT4は従来の言語モデルよりも大幅な性能向上を実現しており、さまざまな分野への応用が期待されていることがわかります。ただし、GPT4はまだ開発途上であり、偏りや誤った情報を生成する可能性などの課題も指摘されています。今後の研究でこれらの課題が解決されることで、GPT4はさらに広範囲にわたって活用されていくと考えられます。
さらに、1つの論文を要約してほしい場合は、「○○を要約して」と続けて入力すると、以下のように論文の概要を解説してくれます。
OpenAIの論文「GPT-4: Language Models Are Few-Shot Learners」では、GPT-4と呼ばれる大規模言語モデルが、わずかな例示だけでさまざまなタスクを実行できることを示す実験結果が報告されています。
論文では、GPT-4が以下のタスクを実行できることを示しています。
- 自然言語の翻訳
- コードの生成
- 質問への回答
- テキストの要約
- 詩や音楽などのクリエイティブなテキストの生成
これらのタスクは、従来の言語モデルでは、大量の学習データが必要でした。しかし、GPT-4は、わずか10個の例示だけで、これらのタスクを実行することが可能でした。
GPT-4がfew-shot learningを可能にする理由として、論文では以下の2つの要因を挙げています。
- GPT-4は、1750億のパラメータを持つ大規模な言語モデルである。これにより、GPT-4は、膨大な数のパターンを学習することができる。
- GPT-4は、学習データとして、テキストとコードの膨大なデータセットを使用している。これにより、GPT-4は、言語と世界に関する幅広い知識を学習することができる。
論文の著者らは、GPT-4のようなfew-shot learningが可能になることで、言語モデルの応用範囲が大幅に広がると考えています。例えば、GPT-4は、新しい言語を学ぶためのツールとして、または、さまざまな分野の専門知識を必要とするタスクを実行するためのツールとして活用できると考えられます。
ただし、GPT-4はまだ開発途上であり、偏りや誤った情報を生成する可能性などの課題も指摘されています。今後の研究でこれらの課題が解決されることで、GPT-4はさらに広範囲にわたって活用されていくと考えられます。
Googleは学術文献を検索できる「Google Scholar」という機能をもっているため、プロンプトの意図に基づいて高精度で論文を検索できます。さらに要約もしてくれるため、かなりの作業効率化が見込めますね!
手書きメモを解析
Google Geminiでは、画像から文字を読解できるのも特徴です。試しに、以下の手書きメモを読み取ってもらいました。
画像には、以下のようなテキストが含まれています。
平均値
20
4354
20+4+3+5+4= 36
36÷5=7.2
これは、平均値の計算方法を示したものです。平均値とは、複数の値の中央値を示す数値です。
画像には、次のような表が描かれています。
値 | 20 | 4 | 3 | 5 | 4 |
この表の値を合計すると、36となります。36を5で割ると、7.2となります。
したがって、画像に記載されているテキストは、平均値の計算方法を示しており、その結果は7.2であると解釈できます。
乱雑に書いた手書きのメモでも、しっかりと意図を理解して書き起こしてくれているので、かなりの工数削減が期待できますね!
論文の下書きを作成
Google Geminiは、Googleの他のツールとも連携できます。Google Bard(英語版のみGemini Pro利用)で作成した論文の下書きを、ワンクリックでGoogleドキュメントにエクスポートできます。
わざわざ打ち込んだりコピペしたりする必要がないのは、とても便利ですよね!
作成した論文をチェックさせる
Google Geminiは、長文の校正も可能なため、作成した論文をチェックするのにも役立ちます。文章を送信すると、漢字の間違いや不適切な言い回しを指摘し、間違った情報などを修正してくれます。誤情報の発信を事前に防げるというのはとても助かりますね。
試しに、以下のプロンプトを入力してみました。
次の文章を校正してください。「Google Bardはマイクロソフト社が2020年にリリースしたサービスです。現在すでに本格運用が開始されており、月額20ドルで利用できます。」
校正した文章は以下のとおりです。
Google BardはGoogle社が2020年にリリースしたサービスです。現在すでに本格運用が開始されており、無料で利用できます。
修正箇所は以下のとおりです。
- 「マイクロソフト社」を「Google社」に訂正
- 「すでに」を「すでに」に訂正
- 「月額20ドル」を「無料で」に訂正
修正理由は以下のとおりです。
- 「Google Bard」はGoogle社が開発・提供しているサービスであるため、リリース元を「マイクロソフト社」から「Google社」に訂正しました。
- 「すでに」は「既に」と表記するのが一般的であるため、訂正しました。
- 「月額20ドル」は、2024年1月25日現在、Google Bardは無料で利用できるサービスであるため、訂正しました。
なお、以下の修正も考えられます。
- 「現在すでに本格運用が開始されており」を「現在、本格運用が開始されています」に訂正
この修正は、文法的により自然な表現になるため、好ましいかもしれません。
第三者目線で、間違っていたりおかしかったりする部分を見つけてもらえるのは、論文をより良いものに仕上げるうえで大変便利ですよね!
Google GeminiとChatGPTの比較
Googleは、Geminiの最も優れたモデルである「Gemini Ultra」において、OpenAIの最新モデル「GPT-4V」よりも高い性能を出したと発表しています。Gemini Ultraは、数学推論、画像、音声、動画認識において使用される32の業界ベンチマークのうち、30の項目において既存のモデルよりも優れた成績を残しました。
特に、MMLU(大規模マルチタスク言語理解)と呼ばれるベンチマークにおいて90%以上の性能を出しており、これはその分野の専門家を上回る数値となっています。
以下で、両者の性能比較の結果(一部)を示します。
詳細を知りたい方は、Gemini: A Family of Highly Capable Multimodal Models(Geminiテクニカルレポート)をご確認ください。
なお、ChatGPTとの性能の違いについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
→Gemini】ChatGPTの最強のライバルGoogleのGemini!日本語の使い方〜GPT-4との性能比較まで
Geminiを使用する方法
Geminiを使用する方法は、現在以下の3つです。
- Google Bard
- NotebookLM
- Pixel8
1つずつ解説していきます。
Google Bard
Google BardでGeminiを使うには、以下の手順が必要です。
- Googleアカウントの作成
- 言語設定の変更
- Google Bardへログイン
現時点では日本語設定のままではGeminiを利用できないため、アカウントの言語設定を英語に変更しなければいけません。
NotebookLM
NotebookLMは、論文やレポート、小説、書籍執筆など長い文章を書く際の準備に役立つAIツールです。
執筆プロジェクトごとにカスタマイズされたAIアシスタントが、ユーザーが収集した資料や情報、手書きのメモやノートに基づいた分析・提案・要約の作成などを行ってくれます。このNotebooklmに、GemeniProが実装されています。ただし対応言語は、2024年1月時点で英語のみとなっています。
参考記事:Google、論文・レポート作成を生成AIが支援「NotebookLM」公開、Geminiを導入
GooglePixel
Googleの「Pixel 8 Pro」が、初のGemini Nano搭載スマートフォンとして、2023年12月5日から利用可能になりました。
日本でも展開されていますが、2024年1月現在、対応言語はまだ英語のみとなっています。
Pixel 8 Proは大幅なアップデートにより、レコーダーの要約、Gboardでのスマートリプライ、色・明るさ・手ぶれ補正・画像の粗さを自動的に調整する「動画ブースト」など、便利なAI機能が多数実装されています。
参考記事:初の AI 内蔵スマートフォン、Google Pixel 8 Pro にて Gemini の実行開始。Google Pixel ポートフォリオにさらなる AI アップデートを追加
Google Geminiを使って論文を書くときの注意点
Google Geminは論文作成に非常に便利ですが、注意するべきポイントがあります。最悪の場合、論文を認めてもらえないこともあるので、しっかりと念頭に置いてください。
あくまでもサポート目的のみ
論文作成における生成AIは、あくまでサポートを目的として活用しましょう。たとえば、論文のアイデアを出してもらう、論文の要約をしてもらう、リサーチの補助など、AIに基礎を築いてもらう使い方です。
生成したテキストには、偏った内容や事実と異なる内容が含まれている可能性もあるため、自身での徹底的な調査が必要です。また、AIツールの使用に関する大学やジャーナルのポリシーをよく理解し、ツールの引用や使用目的に関するガイドラインに従いましょう。
AIが生成したテキストを常に検証し、自身の意見や研究に意味のある形で洗練させることが重要です。
生成AIに論文執筆を丸投げするのはNG
生成AIに論文執筆を丸投げするのはNGです。論文はこれまでの大学生活で学んできたことの集大成であり、生成AIに丸投げしてしまっては学生自身の学びにはつながりません。生成AIが書いた論文を不適切とするケースもあるため、論文に生成AIを活用する際は注意が必要です。
ただし、大学によっては一部の作業で利用することを認めているケースもあるようです。
生成 AI が今後さらに発展し社会で当たり前に使われることは容易に想像できるため、文章校正や翻訳補助など学びの補助として適切に扱う能力も必要と言えますね。
ハルシネーションに注意
ハルシネーションとは、事実に基づかない情報や、実際には存在しない情報をAIが生成する現象を指します。
これは、AIが学習したデータのパターンに基づいて新しい情報を生成するという仕組みに起因しており、AIが幻覚(ハルシネーション)を見ているかのようなふるまいであることからこのように呼ばれます。
特に、対話型AIがどのデータに基づいて情報を生成したか分からない場合、ユーザーは生成された情報の正誤を判断することが困難です。この課題を解決するためには、AIの学習データの質の向上やモデルの改善に加えて、ユーザー側もこのような生成AIの特性を理解し、情報の正誤を確認することが必要です。
生成AIが書いた論文を見破るツールはある
株式会社ユーザーローカルは、2024年1月12日より、論文やレポートがChatGPTなどの生成AIによって執筆されたものであるかを瞬時に判定する「生成AIチェッカー」を提供開始しました。
ユーザーローカルが独自に開発した、生成AI特有の言い回し・語彙の偏りを機械学習で検出するアルゴリズムによって、人工知能が作成した可能性を自動で判定できます。会員登録は不要で、無料で利用できる便利なツールです。
参考記事:生成AIが書いた論文かどうかを見破る「生成AIチェッカー」を無償で提供開始
生成AIは事実に基づかない情報を生成してしまう(ハルシネーション)といった問題点や、最近では教育現場で生徒が読書感想文をAIに書かせたり、就活生がエントリーシート執筆時にこっそり利用することを懸念する声もあがっています。
生成AIの普及に伴って、それを抑制するツールも開発されてきているため、生成AIの利用を禁止している場合には使わないようにしましょう。
なお、その他の便利な生成AIツールについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
→生成AIの種類を一覧で紹介!それぞれの代表的おすすめAIツールも解説
Google Geminiを論文作成に活用しよう!
本記事では、Googleの超優秀な生成AI「Google Gemini」を論文作成に活用する方法についてご紹介しました。以下で簡単に概要をまとめます。
Google Geminiが行える論文活用術は以下の4つです。
- 論文の検索および要約
- 手書きメモを解析
- 論文の下書きを作成
- 作成した論文をチェックさせる
また、Google Geminiを使って論文を作成する際は、以下のことに注意が必要です。
- あくまでもサポート目的で使用する
- 生成AIに論文を丸投げしない
- ハルシネーションに注意する
公式の調査でも、あのChatGPTを上回る性能を発揮しているGoogle Geminiを活用しない手はありません。しかし、生成AIが書いた論文を見破るAIツールも登場していますので、定められたルールはしっかり守ってGoogle Geminiを活用してくださいね!
WEELの生成AIへのスタンス
ChatGPTやStable Diffusionなど使い勝手の良いAIサービスは沢山あります。そういったもの1度使ってみて、もっとこうしたい、こう言った使い方をしたいと言った方に向けてカスタマイズを勧めております。
もし、自社で生成AIを活用したいという場合は
1. 汎用的な生成AIツールを導入し、定着させる
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のどちらかが良いと思います。
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1の場合、生成AIセミナーの実施や生成AIコンサルティングなどで、AI専門家による生成AI活用指導
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