OpenAIがGPT-4oのファインチューニングを解禁!メリットと注意点を徹底解説
GPT-4oは性能が高くて使いやすいけど、ファインチューニングできないからビジネスシーンにおいて利用ができないと悩んでいる方に朗報です。GPT-4oユーザーから要望が多かったファインチューニング機能の提供を開始すると2024年8月20日(現地時間)にOpenAIが発表しました。
この記事では、GPT-4oにファインチューニング機能が解放されたことによって生まれるメリットや注意点について解説します。GPT-4oをファインチューニングする際に発生する料金についてもご紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
GPT-4oにファインチューニング機能が追加
OpenAIは、GPT-4oユーザーから要望が多かったファインチューニング機能を提供することを2024年8月20日(現地時間)に発表しました。
このファインチューニング機能を活用すれば、回答の構造やトーンを調整することができるだけではなく、コーディングからクリエイティブな記事の執筆などのタスクに関しても、モデルのパフォーマンスを上げることが可能です。
例えば、フォーチュン500企業のAIソリューションパートナーであるDistylAIがファインチューニングしたGPT-4oでは、意図の分析や思考の連鎖、自己修正などのタスク全体で優れた性能を発揮。特に、SQL生成の分野においてはパフォーマンスが高く、BIRD-SQLベンチマークでは1位を獲得しました。
GPT−4oとは
GPT-4oとは、2024年5月13日にOpenAIが公開したChatGPTの最新モデルの事です。GPT-4oのoは「omni」とい「全て」という意味を持つ単語の略称で、言語や画像、音声、動画を処理できる性能を持っています。
GPT-4o公開時に行われたライブではデモンストレーションが行われ、音声認識はもちろんのこと、人の表情や文字といったカメラから取り込んだ情報も瞬時に認識し処理が行われる様子が放送されました。この様子から、目と耳を手に入れた最強のマルチモーダルAIが誕生したと話題になりました。
利用するためには、有料プランであるChatGPT Plusに加入する必要がありますが、ChatGPT Plusに加入していなくても、利用制限付きでGPT-4oを利用することができます。
なお、GPT-4oについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
ファインチューニングとは
ファインチューニングとは、事前学習済みのモデルに解きたいタスクやニーズに関連した特定のデータを追加で学習させ、パラメータを微調整することを指します。
ファインチューニングを行うメリットや注意点については後ほど解説しますが、ファインチューニングを行うことで、特定のタスクに特化したモデルを作ったり、パーフォーマンスを向上させることができます。
例えば、自社製品についての情報をファインチューニングしたモデルを作成することで、商品を販売する時に発生する顧客からの質問に答えることができたり、購入後に発生するカスタマーサービス対応においても、生成AIで対応することができます。
そのほかにも、ファインチューニングに使用する学習データ次第でさまざまなタスクに特化したモデルを作ることができるため、特にビジネスシーンで利用するユーザーには必須の機能と言えるでしょう。
料金について
GPT-4oをファインチューニングするためには、GPT-4oを利用するために加入するChatGPT Plus以外にも料金が発生します。
gpt-4o-2024-08-06モデルをベースにファインチューニングを行う際には、100万トークンあたり25ドルが必要です。そのほかにも、推論のコストは100万入力トークンあたり3.75 ドル、100万出力トークンあたり 15ドルといった料金が発生するため、事前に予算を決めておく必要があるでしょう。
ファインチューニング機能が解放されて得られるメリット
ファインチューニング機能が解放されたことによって、さらに注目の集まっているGPT-4oですが、ファインチューニングができるようになったことによってどのようなメリットがあるのでしょうか。
次に、ファインチューニング機能が解放されて得られるメリットについてご紹介します。
特定のタスクの精度を向上できる
ファインチューニングは、既存のモデルが持っている豊富な知識を活用しながら、特定分野の回答精度を向上させることができます。
ファインチューニングに用いる追加データによっては、音声合成に特化したモデルや画像生成に特化したモデル、特定の商品についての質疑応答に特化したモデルなど、さまざまなモデルを作ることができるため、あらゆるシーンに対応できる生成AIを作り出すことができるでしょう。
モデルの機能を向上できる
ファインチューニングは特定のタスクの精度を上げるだけではなく、モデルの機能を向上させることもできます。
例えば、もともと精度の高いと言われてるGPT-4oのコーディングにおいても、特定の言語に特化した学習データをファインチューニングすることで、学習した言語でのコーディング技術を向上させることが可能です。
そのほかにも、英語や中国語、フランス語といった多言語の学習や音声出力に関する学習データを追加することで、さらに精度をあげた優秀な翻訳機能を作ることもできるでしょう。
短時間で学習が可能
ファインチューニングは、既存モデルの性能を生かしながら特化させたい一部分の学習データを追加することができるので、短時間で学習することが可能です。
用意する学習データも、追加したい機能に必要なデータだけで良いため、一から新たなモデルを作るよりも難易度が低く、短時間で自分好みのモデルを作ることができます。
ファインチューニング機能を利用する際の注意点
このように、ファインチューニングを行うことで得られるメリットはたくさんありますが、注意しなければならないポイントもあります。
最後に、ファインチューニング機能を利用する際の注意点についてみてみましょう。
コストが発生する
利用するモデルによりますが、ファインチューニングを行うためには追加で料金が発生する場合があります。GPT-4oにおいては前述した通り料金が発生するため、ファインチューニングを行う前にどのぐらいの費用が発生するか事前に確認しておきましょう。
また、生成AIに関する知識がない場合は、追加データの用意やファインチューニングにおける作業を社外に依頼する必要があります。作業内容や作業日数によっては思ったよりもコストがかかってしまう場合があるため各所に見積もり請求などしてあらかじめ予算を算出する必要があるでしょう。
適切な学習データを用意する必要がある
ファインチューニングの効果は追加するデータの品質に大きく依存するため、適切な学習データを用いたファインチューニングであればモデルの性能を向上させることができます。
しかし、不完全だったり、ノイズを含んでいる学習データを追加してしまうと逆にモデルの性能を低下させてしまう可能性があります。また、追加する学習データに偏りがあった場合、モデルも偏った情報を学習してしまうため、正確な情報を出力できないモデルとなってしまうでしょう。
そうした事態を防ぐためにも、学習データを用意する場合は慎重に作業を進めなければいけません。
メンテナンスが必要
一度ファインチューニングされたモデルは、時間が経つと性能を低下させる可能性があります。また、モデル自体にアップデートが行われた場合、追加データが消えてしまったり、出力結果に悪影響を及ぼす可能性があるため、アップデートの度にファインチューニングをする必要があります。
このように、ファインチューニングされたモデルを適切に利用し続けるためには、時間と手間をかけた定期的なメンテナンスが必要であるということを理解しておきましょう。
なお、ファインチューニングのやり方について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
適切なファインチューニングでGPT-4oをより効果的に利用する
近年では、ビジネスシーンにおいて生成AIを導入する企業は多く、企業ごとに生成AIの活用方法はそれぞれ違います。もちろん、GPT-4oにおいては元々の性能が高く、ファインチューニングを行わなくても利用できるシーンはたくさんあるでしょう。
しかし、社内情報を必要とする回答の生成や顧客が利用するサービスへGPT-4oを利用するためには、適切なファインチューニングが必要です。
もちろん、ご紹介した通りファインチューニングを行う際には注意すべき点もありますが、それ以上に得られるメリットもたくさんあるので、もっとGPT-4oを有効活用したいと考えているのであれば、ファインチューニング機能を活用してみてはいかがでしょうか。
最後に
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