画像認識の仕組みを徹底解説!種類別の技術、導入手順と業務効率化事例を紹介
WEELメディアリサーチャーのいつきです。
近年のAI技術の発達によって画像認識の技術が徐々に普及していますが、そもそも画像認識の仕組み自体がわからない方も多いのではないでしょうか?
自社の業務への導入を進めても、画像認識の仕組みを理解していなければ、正しく使いこなせずにかけたコストを無駄にする結果に終わるかもしれません。
そこで今回の記事では、画像認識の仕組みや種類について解説します。
最後までご覧いただくと、画像認識について詳しくなれるので、自社業務に導入して作業効率が大幅に向上するかもしれません。
ぜひ最後までご覧ください!
画像認識とは
画像認識とは、画像から「何が写っているのか?」などの特徴を掴んで、認識する技術のことです。パターン認識という手法が使われており、対象物の形や色などの特徴を見極めて判別しています。
なお、画像認識の仕組みには、モデルを構成する際の事前の学習が大きく関与しています。大量の画像を学習データとして与えることで、それらの特徴と一致もしくは不一致した画像を識別しているというわけです。
たとえば、何も学習していない状態のモデルに犬の画像を与えてもそれが何の画像か理解できません。しかし、事前に犬の画像を学習していれば、特徴が一致する画像を犬を判断できるといった具合です。
なお、画像認識ができる「Llama 3.2」について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
画像認識の種類
画像認識は、以下のようにいくつかの種類に分けられます。
- 物体認識
- 顔認識
- 文字認識
- コード認識
それぞれ認識できる画像の種類が異なるので、活躍するシーンも異なります。
特徴を解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。
物体認識
物体認識は、画像に含まれる物体を特定し、その物体が何であるかを判断する技術です。たとえば、画像内に特定の物体があるかどうかを確認したり、その物体がどのカテゴリに属するかを判定したりします。
この物体認識に関連して、物体の位置を特定する「物体検出」というものがあります。両者は異なるものですが、物体の特徴を抽出する際に位置情報が重要なため、併用されるケースも多いです。
顔認識
顔認識は、顔の画像から特徴的な部分を抽出する技術です。この技術を使うことで、個人の顔を識別したり、特定の顔と照合したりできます。
ほかにも、似た顔を検索したり、顔をいくつかのグループに分けることも可能です。
さらに、表情から感情を読み取る「感情認識」も研究が進んでいます。また、物体認識と同様に「顔検出」という技術があり、顔認識と併せて使われることが一般的です。
文字認識
文字認識は、手書きの文字や印刷された文字を識別する技術です。この技術を用いることで、画像内に含まれるテキストを抽出可能になります。
文字認識は長い歴史を持つ分野ですが、近年では翻訳技術と組み合わせたシステムが実現されるなど、さまざまな場面で活用されています。
コード認識
コード認識は、文字や数字だけでなく、バーコード・QRコード・ARマーカー・Data Matrixといったコードを読み取る技術です。これにより、カメラでコードをスキャンして、画像内の情報を認識できます。
バーコードは画像認識技術の初期から使われています。具体的には、スーパーやコンビニのセルフレジ、工場や倉庫での荷物の仕分けや棚卸などです。
画像認識の仕組み
画像認識は、以下のように複数の段階に分けて、特定の物体やパターンを識別しています。
- 画像処理
- 画像から特徴を抽出
- 対象物の識別
それぞれの工程のポイントを解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。
画像処理
まず、画像認識の初期段階では、画像のクオリティを向上させるための「画像処理」がおこなわれます。認識させたい画像を入力したあと、AIが画像を認識しやすいように処理しているのが特徴です。
具体的には、ノイズ除去や画像のコントラスト調整などが含まれ、後の処理がスムーズになるよう準備しています。
画像から特徴を抽出
次に、画像から「特徴抽出」がおこなわれます。これは、画像の中で対象物を特定するために重要なパターンやエッジ、色などの情報を取り出すプロセスです。
この段階で、画像中の特定の形状や模様が認識され、次の工程である識別に役立ちます。
対象物の識別
最後に、抽出された特徴を基に「対象物の識別」がおこなわれます。識別は、あらかじめ学習させたデータと照合して、対象物が何であるかを特定する仕組みです。
たとえば、りんごの画像を読み込んだ際は、事前に読み込んだリンゴの形や色などと照合して、一致していたときに読み込んだ物体がリンゴであると判断します。
画像認識の導入手順
画像認識の導入手順は以下のとおりです。
- データ収集・加工
- モデルの構築
- 実装・検証
- 再学習
導入ハードルが高いと感じる画像認識ですが、おおまかに分ければ上記4つのステップを踏むだけで導入できます。
それぞれの手順でやるべきことなどを解説していくので、ぜひご覧ください。
データ収集・加工
AIを活用した画像認識を実現するためには、学習用の画像データを収集する必要があります。AIに多くの画像データを学ばせれば、画像認識の精度が向上するためです。
また、公開されているデータセットを利用することも一般的で、たとえば自動運転向けや工業製品に特化したものなど、用途別に適したデータセットがあります。
独自に画像を撮影する場合は、対象物がはっきりと識別できるように、適切な明るさや角度で撮影することが大切です。人物を対象とする場合は、プライバシーや個人情報へに配慮したうえで撮影しましょう。
モデルの構築
画像データを集め終えたら、それを使ってAIに学習させ、画像認識モデルを構築します。ただし、ゼロからモデルを作る場合、専門的な知識とスキルを持つエンジニアが必要です。
もし社内にそうした人材がいない場合は、AI開発に強い外部の会社に依頼することも視野に入れましょう。
また、すでに学習済みのモデルを利用することも可能で、モデルに自社の画像データを追加学習させ、目的に合わせて調整する方法もあります。
実装・検証
画像認識モデルの完成後は、実装して機能を検証してみましょう。いきなり本格的な運用を試みても、予期せぬエラーが発生して業務に支障をきたす恐れがあるので、一度検証のプロセスを挟むことが大切です。
このときに出た課題をリストアップして、一通り解消されてから本格的に実装しましょう。
再学習
画像認識モデルが本格的に完成したあとは目的に応じて活用できますが、これで完了ではありません。AIモデルは継続的に学習し、認識精度を向上させる必要があります。
そのため、導入後も新たな画像データを集めて学習させることが重要です。学習と結果の検証や評価を繰り返すことで、モデルの精度を少しずつ向上させ、より正確な画像認識ができるよう調整しましょう。
なお、生成AIツールの開発コストを下げる方法を知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
画像認識の活用事例
ここからは、実際に画像認識を活用している企業の事例を解説していきます。
今回紹介するのは、以下の2社です。
- 羽田空港
- アサヒビール
それぞれの事例を解説していくので、参考にできる点を見つけてみてください。
事例①羽田空港
羽田空港は、顔認証技術を使って開発された「Face Express」を搭乗手続きに活用しています。※1
従来のように、搭乗券やパスポートを提示する手間がなくなるので、搭乗手続きがよりスムーズになったのが魅力です。
実際に利用されているのは、手荷物預け・保安検査場の通過・搭乗ゲートの手続きなど。日本航空と全日本空輸の2社で利用が開始されており、今後も順次拡大予定とのことです。
事例②アサヒビール
アサヒビールは、日本電気株式会社と共同で画像処理技術を活用した「輸入ワイン中味自動検査機」を開発しました。※2
導入の決め手となったのは、近年日本においてワインの需要が拡大しているなかで、より効率的で最適な検品体制を確立するためです。
今回導入した機器では、赤外光照明やカメラおよび画像処理技術を活用して、ワインに異物が混入していないかを確認しています。今後も導入数を増やして、時間あたりの検品生産性を3倍以上にするのが目標とのことです。
画像認識を活用する際の注意点
検品の精度や生産性向上に役立つ画像認識の技術ですが、活用する際は以下のような注意点も存在します。
- 適切な学習データが大量に必要
- 誤認識の可能性がある
これらの注意点を知らずに導入を進めてしまうと、問題に直面した際に後悔する可能性があります。
以下でそれぞれの注意点を解説していくので、画像認識の技術を導入したい方は押さえておきましょう。
適切な学習データが大量に必要
画像認識技術を活用する際は、モデルに適切な学習データを大量に学習させる必要があります。これは、機械学習やディープラーニングなどの手法を取り入れて、AIに画像認識の機能を付与しているためです。
仮に、少数のデータしか学習していないモデルを画像認識に活用すると、学習していない範囲の画像を読み込んだ際に識別ができません。このような事態を防ぐために、多くの学習データを事前に学習させておくことが大切です。
なお、集めたデータはそのまま使えるわけではありません。画像データを学習させる前に、「データクレンジング」という作業が必要です。
これは、データを整備し、使いやすい状態にするプロセスです。たとえば、重複した画像・不鮮明な画像・誤ったラベル付けがされたデータなどは学習に悪影響を及ぼすため、取り除いたり修正したりする必要があります。
誤認識の可能性がある
ディープラーニングの進化により、画像認識の精度は大幅に向上しましたが、誤認識の可能性が完全に排除されたわけではありません。現時点でも、AIによる画像認識には誤りが発生する可能性があります。
たとえば、スタンフォード大学の研究者であり、機械学習アプリ「gradio」の創設者でもあるアブバカル・アビド氏は、ディープラーニングによる画像認識モデル「Inception Net」の誤認識例を紹介しています。
車の画像を上下逆さまにすると「アナログ時計」と誤認識したり、半月型にスライスされたりんごを「きゅうり」や「バナナ」と認識したりすることがあるようです。
誤認識の可能性については、今後も向き合い続けなければならない課題のため、まずは理解して対策を立てておくことが大切です。
なお、生成AIを開発する際のリスクについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
画像認識技術を導入して仕事の精度や効率を高めよう!
画像認識は、読み込んだ画像の特徴を掴んで認識する技術です。以下のように複数の種類に分かれているので、自社に適したタイプの技術を取り入れる必要があります。
- 物体認識
- 顔認識
- 文字認識
- コード認識
画像を認識する際は、以下のように複数の工程に分けて認識する仕組みです。
- 画像処理
- 画像から特徴を抽出
- 対象物の識別
実際に導入する際は、以下の4ステップを踏む必要があります。
- データ収集・加工
- モデルの構築
- 実装・検証
- 再学習
画像認識は便利な技術ですが、以下のような注意点も存在します。
- 適切な学習データが大量に必要
- 誤認識の可能性がある
とくに、誤認識の可能性はどうしても排除できないので、画像認識の技術を過信しすぎないことが大切です。
画像認識技術は、導入までのハードルは高いものの、活用すればさまざまな分野で効率化を図れます。本記事の内容を参考に、ぜひ自社業務への導入を検討してみてください。
最後に
いかがだったでしょうか?
画像認識を活用することで、AI技術の導入で精度向上やコスト削減が期待できます。
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