Sakana AIとは?概要から歴史、天才二人が開発した浮世絵生成AIの使い方まで徹底解説【Evo-Ukiyoe / Evo-Nishikie】
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みなさん、Sakana AIという企業をご存知ですか?元Googleの研究者が東京を拠点に始めたAIスタートアップです。
AIと親和性の高い日本でこのような企業があるのは嬉しいですね。
ということで、日本の皆さんに知っててほしいSakana AIの概要、東京をなぜ拠点にしたのか、Sakana AIのミッションやビジョンなどしていきます。
ぜひ最後までご覧ください!
Sakana AI社の概要
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Sakana AI社は、東京を拠点とするAIスタートアップです。会社概要は以下の表のとおりです。
会社名 | Sakana AI株式会社 |
---|---|
本社 | 東京都 |
創立日 | 2023年8月 |
創業者 | ・Llion Jones・David Ha |
調達資金額 | 300億円(2024年9月27日時点) |
市場情報 | 非上場 |
実はこの会社は世界中から注目を集めているんです。その理由をここから解説しますね。
Sakana AIの創業者の経歴がすごい
元Google AIの研究者であるLlion Jones氏(以下:ジョーンズ氏)とDavid Ha氏(以下:ハー氏)によって2023年8月に設立されました。
このお二人、かなり経歴がすごいんですね。
ジョーンズ氏は、2017年に発表された生成AI革命のきっかけとなった論文「Attention Is All You Need」の8人の著者の1人。10年以上Googleに勤めた後、退社しました。
ハー氏は2016年にGoogle Brainに入社し、2017年にGoogle Brainの東京チームトップ。2022年にGoogleを退社し、Stability AIの研究トップとして活動していましたが、2023年6月に退社しました。
ちなみに、社名に使われている「Sakana(魚)」という言葉。これは、自然の原則に基づいた集合知を象徴しているんだとか。生物の模倣(biomimicry)をAI開発に落とし込もうとする企業哲学やビジョンに反映されていますね。
なお、生成AIツールの開発方法について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
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Sakana AI はなぜ日本の東京を拠点とするのか
それにしても、なぜ東京を選んだんでしょうか?
それにはいくつか戦略的な理由があるそうです。まずは、国際的な都市であること。AI技術の研究や開発に適した環境が整っています。
さらに、高度な教育を受けた人材が多いこと。そのため、北米での研究者獲得競争を避けることもできるんだとか。
という理由で、我が国の東京が拠点として選ばれたわけです!
個人的には、海外に比べ、日本にはAIを受け入れやすい土壌があると思っています。最先端の研究者が日本でAI開発をするなんて、嬉しいですねー。
Sakana AIの資金調達金額は300億円
企業活動を行うためには資金調達が必要となりますが、Sakana AIの資金調達金額は2024年9月17日時点で300億円になったようです。※1
出資企業は、NECや富士通、米NVIDIA、三菱UFJファイナンシャル・グループなど海外企業だけでなく、日本の各企業が行っているようですね。このことからも、日本国内でも注目されていることがわかります!
なお、ChatGPTに自社データを学習させる方法について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
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Sakana AIのミッションやビジョン
Sakana AIは、生物の模倣(biomimicry)に基づいた柔軟で適合性の高いAIモデルを開発しようとしています。
もっと分かりやすく、魚や蜂を想像してみましょう。
魚は、群れに合わせて泳ぎ、時には大きな敵を追い払います。蜂も同様です。全員で巣をつくり、餌を嬢王蜂に運びますが、天敵が来たら一斉攻撃です。このように自然界にあるシステムは、その状況に合わせ対応します。
Sakana AIは、この考えをAI開発にも取り入れようというのです。多数の小さなAIモデルを開発し、協力させ、複雑な結果を出力するという新しいアプローチ。これはまさに、先程の魚や蜂のようです。
さらに面白いのは、このアプローチはものすごくチャレンジフルということ。話題の大規模AIシステムの構築は、柔軟性もなく、あとから手を加えにくいという理由から、建築物に例えられます。この本流に逆らうように、企業哲学や技術力を活かし、Sakana AIは、万能な生成AIの開発中。
ちなみに、テキスト、画像、コード、マルチメディアコンテンツの生成を目指していますが、具体的な製品やサービスのリリースはまだとのことです。
Sakana AIがどんなプロダクトを出してくるのか、めちゃくちゃ楽しみですねー!
Sakana AIは何ができるの?
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Sakana AIは、複数のAIモデルを組み合わせ、新たな基盤モデルを自動的に生成する「進化的モデルマージ」という手法を開発しています。 この手法により、従来の大量のデータや計算資源に依存せず、高性能なAIモデルの効率的な開発が可能となりました。
具体的には、以下のモデルを開発しています。
開発名称 | 特徴 | 活用事例 | オープンソース化 |
---|---|---|---|
EvoLLM-JP | 日本語での自然言語理解と数学的推論を組み合わせた言語モデル | ・日本語の数学学習支援 | 公開 |
EvoVLM-JP | 日本語での画像説明や質問応答が可能な画像言語モデル | ・商品画像の説明文作成 | 公開 |
EvoSDXL-JP | 高速な日本語画像生成モデル | ・画像生成 | 非公開 |
さらに、2024年8月13日にSakana AIは「AIサイエンティスト」と呼ばれるシステムを公表し、研究アイデアの創出から実験の実行、論文の執筆・査読まで、科学研究のプロセスを自動化する取り組みも行っています。 ※2
また、2025年1月30日に小規模日本語言語モデル「TinySwallow-1.5B」を公開しました。小規模のため、APIなどを介さず、スマートフォンやパソコン内で完結してチャットができるようです。※3
このように、さまざまな日本語に特化した最新モデルを作っている企業がSakana AI社です。
日本文化に特化したSakana AIの最新モデルが登場!
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2024年7月21日、Sakana AIは日本文化をリスペクトしたAIモデルを発表しました。それは……
- 浮世絵風画像生成AI「Evo-Ukiyoe」
- 浮世絵カラー化画像生成AI「Evo-Nishikie」
以上の2モデル!ともに日本伝統の意匠と色彩が表現できる、これまでにない画像生成AIです。(※1)
以下、そんなEvo-Ukiyoe / Evo-Nishikieの概要をみていきましょう!
「Evo-Ukiyoe」の概要
Sakana AIの「Evo-Ukiyoe」は日本語のプロンプトから浮世絵風画像が生成できる画像生成AI(Text-to-Imageモデル)です。(※1)下記のような、浮世絵ならではの風合いを再現しながら……
- 木版印刷による輪郭線
- 色
- 構図
- 浮世絵的なしぐさ・表情
- 紙・印刷の風合い
- 劣化による味
桜 / 富士山 / 着物からパソコン / ハンバーガーまで画像生成できるのが特徴です。
このEvo-Ukiyoeのベースとなったのは、同社の画像生成AI・Evo-SDXL-JP。こちらに……
Evo-Ukiyoeのデータセット
- 立命館大学アート・リサーチセンター所蔵の浮世絵から厳選した24,038枚
- 大規模マルチモーダルモデルと人力で追加したキャプション
上記データセットを使ってのファインチューニング(LoRA)が施されています。
「Evo-Nishikie」の概要
一方、Sakana AIの「Evo-Nishikie」は単色摺の浮世絵から多色摺の浮世絵(錦絵)風画像を生成する画像生成AI(Image-to-Imageモデル)です。(※1)線画とその内容を示すプロンプトをもとに、錦絵風の色がついた新規画像を生成します。
こちらでは先ほどのEvo-Ukiyoeをベースに……
Evo-Nishikieのデータセット
- 多色摺の浮世絵24,038枚
- 上記を線画に変換したもの
- カラー化を指定する固定のプロンプト
を使ってControlNetによる学習がが施されています。入力画像の特徴を保ったままの着彩・生成が可能です。
なお、人物画像からコスプレ写真を生成するAIモデルについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
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Evo-UkiyoeとEvo-Nishikieの使い方
ここからはEvo-UkiyoeとEvo-Nishikieの使い方を、画像付きでお伝えしていきます。まずは、Evo-Ukiyoeのデモ版の使い方から、みていきましょう!
Evo-Ukiyoe(デモ版)の使い方
Evo-Ukiyoeのデモ版は、下記リンクからログインなし・無料で使えます。
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ということで、まずはこちらにアクセスしてみましょう!すると……
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このように入力欄付きのデモページに移ります。あとは上図赤枠の順番に……
- プロンプトを入力
- 詳細設定
を行って「Run」ボタンを押すだけ!しばらく待つと浮世絵風の画像が生成されます。
そして、詳細設定については……
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- ネガティブプロンプト:除きたい要素の指定
- シード値:プロンプトに対する生成物の自由度の指定
が可能です。
なお、Evo-Ukiyoeで画像生成を試す際の注意点は、下記のとおりになります。
- 着物 / 富士山 / 桜 / 鳥…etc.浮世絵的モチーフの生成が得意
- 逆に、コンピューター / ハンバーガー…etc.浮世絵にないモチーフは苦手
- 人物の描き分けも苦手
→Tips:男性を生成する場合は、ネガティブプロンプトに「女性」と入れる必要がある
それでは、実際にEvo-Ukiyoeでの画像生成を試していきましょう!まずは下記のプロンプトを入力してみます。すると……
鎧兜を着た猫が龍神と戦っています。
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なるほど……「鎧兜を着た猫」までは描画できましたが、龍神と戦う構図が反映されていませんね。一度文章を区切ったほうが良さそうです。
さて、気を取り直して次は下記のプロンプトを試していきます。今回は浮世絵的でないモチーフ「西洋風のドラゴン」を含め、文章を区切ってみました。気になる結果は……
大阪城があります。その上を西洋風のドラゴンが飛んでいます。
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お見事です!Evo-Ukiyoeは指定したモチーフを浮世絵的に表現してくれました。
ただ、残念ながら構図までは再現できていませんね。おそらく、構図の理解は苦手分野なのでしょう。
最後に、下記のプロンプトも試してみます。すると……
アニメ風の最高のツインテール少女
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残念!和風なものの浮世絵ではない画像が生成されました。これは、どちらかというと「Evo-SDXL-JP」の影響が出ていますね。
Evo-Nishikie(デモ版)の使い方
Evo-Nishikieのデモ版についても、下記リンクからログインなし・無料で利用可能。早速アクセスしてみると……
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こちらも入力欄付きのデモページに移りました。ここからは、上図赤枠の順番に……
- 画像をアップロード
- プロンプトを入力(生成したい色・対象物の情報)
を行うだけで色付きの浮世絵が返ってきます。
ということで、実際に下記の浮世絵風イラスト(著者手製)とプロンプトを使って、Evo-Nishikieの実力をみていきましょう!
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梅花柄の着物を着た女性が立っています。
気になる結果は……
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お見事です!Evo-Nishikieは顔のパーツや着物の柄に対して、適切な色をつけてくれました。
続いては、下記の画像&プロンプトについても試してみましょう!
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黄色い虎が赤い手鞠をついています。
気になる結果は……
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まずまずといったところでしょうか。色がついたのは虎の上半分だけで、手鞠を含む下半分には色がついていません。
ただ、線画の再現能力については目を見張るものがありますね。
なお、落書きから美麗イラストを生成するAIモデルについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
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Sakana AIのこれからに要注目!
Sakana AIは元Google AIの研究者であるLlion Jones氏とDavid Ha氏の2人によって、日本で創業したスタートアップ企業です。日本に特化した生成AIの開発が進んでいるため、このまま海外の生成AIを追い抜くほどの成長が見られることに期待ですね。
2024年7月21日に発表された日本文化をリスペクトしたAIモデルとして以下2つが公開されました。
- 浮世絵風画像生成AI「Evo-Ukiyoe」
- 浮世絵カラー化画像生成AI「Evo-Nishikie」
日本人でも普段扱うことが少ない浮世絵ですが、日本文化として活用されるのは嬉しいですよね。今後も日本文化を使った生成AI開発に期待が持てます。Sakana AIの今後の動きは要注目です!
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