【リートン(wrtn)】なぜ無料でGPT-4を提供できたのか?サービス終了の背景と安全性・代替サービスまで徹底解説

- GPT-4クラスのモデルを無料提供として話題になったが、実際のモデル品質には疑問も残る
- 記事執筆やSNS投稿など、業務効率化ツールがオールインワンで使える点が強み
- 日本向けwrtnは2025年9月にサービス終了し、現在はキャラチャット事業へ移行
2023年11月に公開された、「リートン(wrtn)」というAIチャットボットサービス。「GPT-4を無料で使い放題」として大きな話題を集めたAIチャットボットサービスです。
ChatGPT Plusと同等クラスのモデルを無料で使え、ブログ記事やビジネスメール、SNS投稿まで一気に生成できることから、日本でも一気にユーザーが増えました。
一方で、「なぜここまで高性能なモデルを無料で提供できるのか?」「本当にGPT-4を使っているのか?」「安全性は大丈夫なのか?」といった不安や疑問の声も少なくありませんでした。
さらに2025年9月末には、日本向けのAIチャットサービス「wrtn」は提供を終了し、現在はAIキャラチャットサービス「キャラぷ」に事業が引き継がれています。wrtnの公式サイトにアクセスするとキャラぷへリダイレクトされるのはそのためです。
本記事では、サービス終了前のwrtnがどんなツールだったのかを振り返りつつ、「なぜ無料でGPT-4クラスのモデルを提供できていたのか」「どのような安全対策が取られていたのか」を整理します。あわせて、現在wrtnの代わりに検討しやすい競合サービス(ChatGPTやPerplexityなど)も簡単に紹介します。
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リートン(wrtn)とは
リートン(wrtn)は、韓国発のスタートアップ Wrtn Technologies 社が提供していたAIチャットボット/生成AIプラットフォームです。日本法人のリートンテクノロジーズジャパンを通じて、2023年11月から日本語版サービスの提供が始まりました。
最大の特徴は、OpenAIのGPT-4 / GPT-4 Turbo、のちにはGPT-4oなど、本来は有料の高性能モデルをWeb版・スマホアプリの両方で「基本無料」で利用できたことです。さらに、ClaudeやPaLM2など複数ベンダーのモデルも1つの画面から切り替えて使える「マルチモデル型」のサービスでした。
具体的には、次のような機能を1つのプラットフォーム上でまとめて使えるオールインワン型のツールでした。
- チャット形式での質問・相談(AIアシスタント)
- ブログ記事、LP、メール、企画書などの文章テンプレート
- X(旧Twitter)やInstagram向けのSNS投稿文自動生成
- 最新情報をウェブ検索して要約する「WRTN Search」
- Stable Diffusion系モデルなどによる画像生成(日本語プロンプト対応)
- 好みの人格を設定して会話できるAIキャラ機能 など
リートン(wrtn)の料金プラン
wrtn が提供されていた期間中、日本向けの料金プランはとてもシンプルで、個人ユーザー向けの基本機能はすべて無料で利用できました。
GPT-4 / GPT-4 Turbo、のちにはGPT-4oや画像生成モデルSD3などの高性能モデルを含め、厳しい回数制限なく使えることが大きな魅力でした(アクセスが集中した時間帯には一時的に制限がかかることもあったようです)。
現在は前述のとおりサービス自体が終了しているため、新規登録やログインはできません。以下の比較表は「サービス終了前時点での特徴」を、2025年現在の代表的なAIチャットサービスと並べたものとしてご覧ください。
| サービス | 主なモデル(2025年時点) | 料金 |
|---|---|---|
| wrtn(リートン)※〜2025年9月 | GPT-4 Turbo / GPT-4o / Claude / PaLM2 など(時期により構成は変化) | 個人向けは完全無料(日本版) |
| ChatGPT 無料版 | GPT-5 / GPT-5 thinking mini など(メッセージや推論には上限あり) | 無料 |
| ChatGPT Plus | GPT-5 / GPT-5 thinking / GPT-4.1 / GPT-4o などをFreeより広い上限で利用可能 | 月額の有料プラン(価格は地域・通貨により異なるため公式サイト参照) |
| Perplexity | GPT-4o / Claude 3 系などを組み合わせた「回答特化型」AI検索エンジン | 無料+上位機能は有料Proプラン |
なぜリートン(wrtn)は無料で利用できるのか?
では、wrtnはなぜ本来有料の GPT-4 / GPT-4 Turbo や GPT-4o を無料で提供できていたのでしょうか。ここでは、公式の説明やインタビュー記事をもとに整理しておきます。
1つめの大きな理由は、「従来の検索や各種Webサービスの入口になる生成AIプラットフォーム」を目指していたことです。
wrtnは外部サービスへの送客やBtoB向けのAPI提供・業務システムへの組み込みなどで収益を得るビジネスモデルを掲げていて、エンドユーザーから利用料を取るのではなく、プラットフォーム側でコストを回収する方針を取っていました。
実際に、Wrtn Technologies社は、シリーズBラウンドまでに総額数十億円規模の資金調達を行っており、その資金をもとに日本向けwrtnを「完全無料」で展開していたとされています。
もう1つのポイントは、wrtn自身はGPT-4などのLLMを開発しているわけではなく、OpenAIやAnthropicなど外部ベンダーのAPIを組み合わせてサービスを提供していたことです。
そのため、ユーザーが入力したプロンプトが直接LLMの再学習に使われることはなく、wrtn内で安全に管理していると公式に説明されています。
一方で、プライバシーポリシー上は「サービスの改善」などを目的として、利用状況や生成コンテンツの一部を匿名化したうえで分析に活用する可能性が明記されています。
完全にデータが使われないわけではない点は、他の生成AIサービスと同様に注意が必要です。
加えて、2023年にはwrtnの一部サーバー設定に起因するセキュリティ上の不備が指摘されたこともありましたが、その後は設定の是正や外部監査の実施、AI倫理準則の公開など、安全性の強化に取り組んできたとされています。
なお、生成AIを企業利用する際のリスクについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

リートン(wrtn)の登録方法
ここでは、リートン(wrtn)の登録方法を解説します。
1. リートンの公式サイトにアクセスし、画面右上の「ログイン」をクリックする
2. 「Googleでログイン」か「LINEでログイン」、どちらかを選択する(今回はGoogleアカウントで登録します)
3. 登録するGoogleアカウントを選択する
4. 必要情報を入力して「会員登録する」をクリックする
これで登録作業は完了です。
トータル1分もかからないので、サッと登録を済ませてしまいましょう!
なお、リートン(wrtn)とChatGPTの違いについて知りたい方はこちらをご覧ください。

リートン(wrtn)は本当にGPT-4が使い放題?実際に検証してみた!
リートン(wrtn)は【GPT-4が無料で使い放題】と謳っていますが、果たして本当なのでしょうか?ChatGPTでは月額20ドル必要なものが、無料で利用できるなんて怪しいですよね…
そこでここでは、以下2項目について、リートンで使われているモデルが本当にGPT-4なのかを検証してみました。
- 情報の鮮度:最新のGPT-4なら2023年4月までの情報にアクセスできるはず
- 回答の質:GPT-4ならChatGPT Plusと同品質の回答が得られるはず
情報の鮮度
リートンではGPT-3.5での出力がデフォルトになっています。GPT-4を利用したい場合は、送信タブより「GPT-4」を選択しましょう。
情報の鮮度について、本来のGPT-4であれば2023年4月までの情報にアクセスできるはずです。
そこで試しに、「2023年1月時点の日本の首相は誰ですか?」と質問してみました。
すると、リートンの回答は以下のとおりでした。
なんと、リートンでは2023年1月時点の情報に対応していないとのことです。
ちなみに、全く同じ質問をChatGPTにしてみたところ、以下のとおり正しい回答が返ってきました。
この時点でリートンは本当にGPT-4を使っているのか、やや怪しいですね…
回答の質
続いて、リートンの回答の質を検証してみました。
リートンで本当にGPT-4を使っているのなら、ChatGPT Plusと同品質の回答が得られるはずです。
具体的な検証方法として、専門用語をどれだけわかりやすく説明してもらえるか、下記のように質問してみました。
▼プロンプト
ファインチューニングとはどういう意味ですか?
専門知識がない人でも理解できるように、わかりやすく説明してください。上記プロンプトに対する、リートンの回答は以下のとおりです。
▼回答(リートン)
もちろんです。
ファインチューニングとは、一般的に、すでに訓練済みのモデル(例えば、私のようなAI)を特定の目的やタスクにさらに最適化するプロセスのことを指します。
これをやりやすく例えてみましょう。
考えてみてください、あなたがすでに一般的な料理の知識と技術を持っていて、それはあらゆる種類の料理を作る事ができます。
しかし、ある日、イタリアンレストランで働くことになりました。
そこで必要となるのが「ファインチューニング」です。
つまり、あなたの一般的な料理スキルを、具体的には「イタリア料理」に特化させるために、追加の練習や学習をすることです。
AIの世界でも同じです。
大規模なデータセットで訓練された汎用的なAIモデル(料理の知識と技術を持つあなた)が、特定の目的やタスク(イタリア料理の作成)に合わせて調整、または「ファインチューニング」されます。
これにより、AIはその特定のタスクをさらに高い精度で達成できるようになります。ファインチューニングという専門用語について、料理人を例に挙げて分かりやすく説明してくれていますね。
ただし、所々日本語が不自然な点は気になります。
全く同じ質問をChatGPTにもしてみたところ、以下の回答が返ってきました。
▼回答(ChatGPT)
ファインチューニングとは、特定のタスクやデータセットに合わせて、既に一般的な知識で訓練された機械学習モデルの性能を向上させるプロセスのことです。
簡単に言うと、ある一般的な問題を解決できるように訓練されたロボット(機械学習モデル)がいるとします。
このロボットは多くのことをある程度できるようになっていますが、あなたの特別なニーズに完全に合わせてはいません。
ファインチューニングは、そのロボットにあなたの家の掃除の仕方や、あなたが好む料理のレシピを教えるようなものです。
つまり、既存のスキルに加えて、あなたの特別な要件を理解し、実行できるようにするための追加トレーニングをすることです。
これにより、ロボットはあなたのタスクをより効果的かつ効率的にこなせるようになります。こちらもファインチューニングについて、ロボットを例にわかりやすく説明されています。
しかも全体的に自然な日本語で、端的にまとまっており読みやすいですね。
リートンがダメという訳では決してありませんが、やはり回答の質もChatGPT Plusの方が高いと言えます。
以上のことから、リートンでは本当にGPT-4を使っているのか、やや疑わしいという結果になりました。
リートンのツールも実際に試してみた!
検証の結果、リートン(wrtn)では本当にGPT-4を使っているのか、やや疑わしいということが判明しました。
しかしリートンは、【業務効率化に役立つツールが多数揃っている】という点も売りの1つです。
ここでは、リートン(wrtn)の下記2種類のツールを実際に使ってみた様子をお見せします。
- 記事執筆ツール
- SNS投稿文作成ツール
記事執筆ツール
まずは、ブログ記事を一瞬で生成できる「ブログ投稿」というツールを紹介します。
使い方は非常に簡単で、以下のように記事のテーマを一言で入力して、「生成」をクリックするだけです。(今回は[京都でおすすめの観光スポット]と入力)
あとは30秒ほど待てば、自動で記事を作成してくれます。
実際に出力された記事は以下のとおりです。
▼出力内容
タイトル:京都でおすすめの観光スポット
こんにちは、皆さん。
今回は京都でおすすめの観光スポットについてご紹介します。
日本の伝統と文化が息づく京都は、美しい寺院や神社、歴史的な建造物で知られています。
ぜひ訪れてみてください。
1. 金閣寺(きんかくじ)
金閣寺は、世界的に有名な京都の寺院であり、日本の美しい景観を代表する場所です。
金色に輝く建物は、美しい庭園と絶妙なバランスを保ちながら、季節ごとに変化する美しい風景を楽しむことができます。
2. 清水寺(きよみずでら)
清水寺は、京都を代表する寺院の一つであり、平安時代に建てられました。
寺院の名前は、清水の舞台から有名です。
舞台からは、四季折々の美しい景色を楽しむことができます。
3. 祇園(ぎおん)
祇園は、京都で有名な歓楽街であり、夜の散歩や食事に最適なスポットです。
ここでは伝統的な料理や芸能を楽しむことができ、地元の文化を体験することができます。
4. 天龍寺(てんりゅうじ)
天龍寺は、京都で最も美しい庭園の一つであり、嵯峨野の中にあります。
庭園は四季折々の風景を楽しむことができ、特に紅葉の時期には息をのむほど美しくなります。
5. 渡月橋(とげつきょう)
渡月橋は、京都の象徴的な観光スポットの一つであり、嵐山の中にあります。
橋からは嵐山の美しい風景を楽しむことができ、特に桜の季節には絶景となります。
以上、京都でおすすめの観光スポットを紹介しました。
京都の歴史的な魅力を感じながら、悠久の時間を過ごしてみてください。
京都ならではの風景や文化を楽しむことができることでしょう。
ぜひ訪れて、素晴らしい経験をしてみてください。
それでは、良い旅を!文字数は約700文字でした。(文字数は指定できない)
記事として内容は若干薄いものの、違和感のない自然な日本語で書けていますよね。
ブログ運営で活用する場合は、1つの記事を複数のテーマに細分化して、それぞれのテーマで記事を書いてもらうのが良さそうです。
(例)[京都でおすすめの観光スポット]という記事を書く場合:
[金閣寺の楽しみ方][清水寺の楽しみ方]など、小さなテーマでリートンに記事を作成させ、最後にこれらを合体して1記事にまとめる。
ブログ運営されている方は、リートンをうまく活用すれば記事執筆時間を大幅に短縮できると思いますよ!
SNS投稿文作成ツール
SNSの投稿文を毎回毎回考えるのって面倒ですよね…
リートンではそんな方向けに、SNSの投稿文を自動で作成するツールも用意されています。
ここでは、Twitter(X)のツイートを作成できる「ツイート生成」というツールを紹介します。
こちらも使い方は非常に簡単で、以下の項目を入力して「生成」をクリックするだけです。
- ツイートの内容:一言で入力
- 目的:[一般][ユーモア][情報系][マーケティング]から選択
- トーン:[おもしろ][ハッピー][悲しい][怒る][一般]
今回は、「モチベーションをアップさせる意識高い系ツイート」を作成してもらいました。(目的・トーンは一般を選択)
実際に出力されたツイートは以下のとおり。
▼出力内容
みなさん、こんにちは!今日はモチベーションをアップさせる意識高い系ツイートをお届けします!💪
「一歩踏み出せば、未来が変わる!」
自分を信じて、目標に向かって一歩ずつ前進しましょう!✨
あなたの未来はきっと輝くはずです!🌟
一緒に頑張りましょう!💪
#モチベーションアップ #一歩ずつ前進 #未来はきっと輝くそれっぽい意識高い系ツイートがあっという間に完成しました。
SNS運営の負担を軽減したい方は、ぜひリートンを活用してみてください!
なお、生成AIの企業利用方法について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

まとめ
以下、今回紹介したリートン(wrtn)についてのまとめです。
| リートン(wrtn)の詳細情報 | |
|---|---|
| モデル | ・GPT-3.5 ※GPT-4を使っているかは疑わしい |
| 料金 | 無料 |
| 利用制限 | 無制限 |
| 情報の鮮度 | 2021年9月まで |
| 画像生成 | 不可 |
| 活用方法 | ・検索 ・ビジネスメール作成 ・記事執筆 ・SNS投稿文の作成 ・キャッチコピー作成 ・英文要約 |
リートンはGPT-4を使っているかはやや疑わしいものの、豊富な機能・ツールが無料で利用し放題のコスパ最強のAIツールでした。
最後に
いかがだったでしょうか?
無料で高性能AIを提供していたwrtnの事例を踏まえ、生成AIを業務にどう組み込むべきか、ツール選定や安全性、コスト設計まで含めた現実的な活用方針を整理できます。
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