BabyAGIとは?日本語ので使い方やAutoGPT・ChatGPTとの違い、利用事例を解説

BabyAGI 概要 ChatGPT 違い

複雑な作業ができるAIを使って日々の作業を効率化したいとお考えの方も多いでしょう。BabyAGIはユーザーの目標を達成するために必要なタスクを自動生成して実行するプログラムで、AIの特徴を生かして大幅な効率化が期待できます。日本人が開発したAIプログラムとしても有名です。

今回の記事では、BabyAGIの概要やChatGPTとの違い、導入方法について解説します。記事を見ながら作業することで、BabyAGIを自分で操作できるようになるでしょう。ぜひ最後までご覧ください!

目次

そもそもBabyAGIってなに?

BabyAGIとは、人工知能を活用して特定の目標を達成するためにタスクを自動生成、実行、優先順位付けするプログラムです。名前といい、赤ちゃんがモチーフの公式アイコンといい、なんとも可愛らしい印象を受けますが実はこのAIツール、超絶ハイスペックなんです!

OpenAIのAPIとPineconeを使ったタスク管理システムの一つです。汎用AIを示すAGIの名前が付いていますが、厳密には特化型AIの一種といえるでしょう。汎用型AIは、自ら学習や問題解決できる能力を持ち、人間と同じように知的タスクを実行できるAIです。

BabyAGIはタスクの自動化と管理に特化したシステムで、特定の指示や目的に従ってタスクを実行します。そして、結果に基づいて新たなタスクを自動生成します。

例として、ドラゴン桜のような設定をしてみました。

目標:東京大学に入りたい
最初のタスク:TODOリストを作る

具体的には、BabyAGIは次のような手順でタスクを処理します。

  1. 入学プロセスに関する情報を収集し、出願要件や試験日程などについて調査します。
  2. 収集した情報をもとに、新しいタスク(例:推薦状の準備、志望理由書の執筆、試験対策など)を生成します。
  3. 生成されたタスクを優先度順に並べ替え、プログラムが効率的にタスクを処理できるようにします。
  4. タスクリストに基づいて、各タスクを順番に実行し、適切な結果を得ます。
  5. タスクが完了するたびに、新しいタスクが生成される可能性があります。これらのタスクは、タスクリストに追加され、優先度に応じて処理されます。

BabyAGIは、このようにして東京大学入学に関連するタスクを効率的に実行し、目標達成に向けた道筋を示すことができます。ドラゴン桜のようにみなさんも大きな夢や抱えきれない仕事の数々……たくさんの悩みや課題をお持ちではないでしょうか。

でも、大丈夫。BabyAGIと一緒なら達成できそうです。具体的な導入方法は記事中盤に記載しており、実際に自分のパソコンでこのプログラムを動かしてみます。

BabyAGI開発の経緯

ChatGPTが話題となって間もない2023年3月に、シアトル在住の日本人である中島洋平氏がBabyAGIを発表して注目を集めました。

中島氏はAIエンジニアではなく米国でVCを営む投資家ですが、生成AIの可能性にいち早く気付いていました。2023年3月初旬に話題となっていた創造的なプロジェクト「HutsleGPT」にヒントを得て作成したのが、タスク駆動型自律エージェントです。

初期バージョンのエージェントの縮小版であるBabyAGIはオープンソース化され、さまざまなプロジェクトに影響を与えました。

なお、その他の自律型AIエージェントについて知りたい方はこちらをご覧ください。
AIエージェント「Camel」|AutoGPTとの違いや導入方法を徹底解説!

ChatGPTとBabyAGIの違い

BabyAGIとChatGPTはどちらも人工知能技術を活用したプログラムですが、その目的と機能に違いがあります。

BabyAGIは、特定の目標を達成するためにタスクを自動生成、実行、優先順位付けするプログラムです。目標達成のプロセスを自動化し、効率化することを目的としています。一方ChatGPTは、自然言語処理技術を用いて、対話を通じた情報提供や質問回答などを行うプログラムです。

2つの違いを以下の表にまとめました。

 BabyAGIChatGPT
分類タスク駆動型自律エージェント会話AIエージェント
目的目標達成をサポートすること対話型の質問応答や情報提供すること
タスク生成・実行目標に基づいてタスクを生成し、それらを優先順に実行ユーザーからの質問や要求に応じて、即座に回答や情報提供を行う
タスク管理タスクリストを作成し、優先度に応じてタスクを処理タスク管理機能を持っていない

これらの表から分かるように、BabyAGIは目標達成に焦点を当てたプログラムであり、ChatGPTは対話を通じた情報提供を主な目的としています。

AutoGPTとBabyAGIの違い

AutoGPTは、OpenAIのGPT4を活用したオープンソースのAIエージェントです。ユーザーから与えられたタスクをサブタスクに細分化し、それらを順序立てて実行します。

複雑なタスクを自動で実行する点はBabyAGIと似ていますが、目的や機能面で違いがあります。主な違いは、AutoGPTでは個別のタスクごとにユーザーによる応答が必要ですが、BabyAGIでは不要な点です。最初のタスクと最終目標を与えるだけで、あとは自動的にタスクの実行と調整を繰り返します。

AutoGPTは、ウェブサイトや記事など多くのソースにアクセスして情報を収集できます。また、DELL-Eにアクセスして画像生成も可能です。

一方BabyAGIは、プロンプトやタスクの実行結果から試行錯誤と学習を繰り返すため、AutoGPTよりも人間に近い意思決定が強みといえるでしょう。この特徴を生かして、自動運転などにも応用が可能です。

BabyAGIの仕組み

BabyAGIは、以下の動作を繰り返し実行します。

・タスクリストからタスクを選択
・選択したタスクをエージェントに送る
・エージェントは目的とタスクを基にOpenAIのAPIにプロンプトを送信する
・結果をPineconeに保存する
・新しいタスクを作成し、目的と前のタスクの結果に基づいて、タスクリストを再優先化する

この動作を実現するのが、コーディングフレームワークのLangChainとベクトルデータベースのPinecone、GPT4といった技術です。これらはPythonスクリプトによって組み込まれています。

BabyAGIの使い方

では早速、BabyAGIを実行するまでの準備に取り掛かりましょう!
手順は次のようになっています。

BabyAGIの実行手順

  1. Pythonのインストール
  2. VScodeのインストール
  3. BabyAGIプログラムのインストール
  4. OpenAI APIキーの取得
  5. Pinecone APIキーの取得
  6. BabyAGIへAPIキーなどの設定の反映

Pythonのインストール

1.まずはPythonのダウンロードサイトを開く。

Macの方はこちら

Windowsの方はこちら

2. 赤枠内(Latest Python 3 Release – Python 3.11.3)をクリック。

3. 移動したページをスクロールして、Filesと表示されるところまでいく。
ご自身のOSにあったファイルをクリックしてダウンロードする。
私の場合は、Macなのでこちらをクリック。

4.「python-3.11.3-macos11.pkg」 というファイルがダウンロードされるので、クリックするとこのような画面が表示されます。内容を読んでPythonをインストール!

VScodeのインストール

1.こちらから自分のOSに合ったバージョンをダウンロードしてください。
(すでにエディタをインストールしている場合は不要ですが、正直、VScodeしか勝たんです!GitHub Copilotをかけ合わせると便利すぎるので推奨してます!笑)

2.ダウンロードしたZipファイルを開くとインストールされます。

BabyAGIプログラムのインストール

1.Terminalを開き、次のコマンドを実行。BabyAGIのプログラムフォルダをダウンロードします。
今回ダウンロードする場所はDesktop ディレクトリです。

cd Desktop
git clone https://github.com/yoheinakajima/babyagi.git

2.ダウンロードしたフォルダに移動します

cd babyagi

3. .env.example ファイルをコピーして、 .env という名前で保存。

cp .env.example .env

OpenAI APIキーの取得

1.OpenAIアカウントをお持ちでない方は、以下の記事を参考にしてください!

ChatGPT APIとは?使い方や料金体系、できること、おすすめ活用事例15選を紹介

2.アカウント作成後、以下のページから「Create new secret key」を押すとAPIキーを作成できます。
APIキーは後ほど使うので、大切に保存してください。

あわせて読みたい

※注意※
ここで忘れてはいけないのは、API利用料の支払い設定をすること!
私はこれをして、過去に別のプログラムでエラーを出してしまいました。
Billing OverviewPayment methods をクリックして、クレジットカード情報が登録されているか確認しましょう!

Pinecone APIキーの取得

ChatGPT APIと違い、無料のPinecone APIを取得します。

1. 初めての方は以下のリンクから「Sign Up Free 」を押してしてください。
私は、「Continue with Google」からアカウントを作成しました!

あわせて読みたい
The vector database to build knowledgeable AI | Pinecone Search through billions of items for similar matches to any object, in milliseconds. It’s the next generation of search, an API call away.

2.アカウントを作成すると以下のような画面が表示されるので、左のメニューから「API Keys」を選んで、「CREATE API KEY」をクリック。「babyagi」など分かりやすく命名して「CREATE KEY 」でAPIキーを作成します。あとで使うのでどこかにメモしておいてください!

Environment とValue をメモして保存。

BabyAGIへAPIキーなどの設定の反映

1.BabyAGIへAPIキーなどの設定の反映

2.先ほど取得したAPIキーの貼り付け。
まずは、OPENAI_API_KEYOPENAI_API_MODEL から。

3.次は、PINECONE_API_KEY , PINECONE_ENVIRONMENTを入力。

ついに実行

準備が終わったので、次の順番でタスクの実行までやってみましょう!

タスクの実行手順

  1. BabyAGIにタスクの設定
  2. BabyAGIの実行

BabyAGIにタスクを設定する

先ほどの設定変更していた.env ファイルにタスクを書き込みます。
今回は次のようにします。

OBJECTIVE=Enter the University of Tokyo
INITIAL_TASK = Develop a task list

BabyAGIの起動

Terminalで、babyagi.pyを実行します。
適宜、cd コマンドで、ディレクトリを移動してください。

cd Desktop/babyagi
python3 babyagi.py

動いた!!
ここで、Terminalにさまざま出力されているので、それぞれ説明します。

TASK LIST:
現在のタスクリストを表示するための出力です。
タスクリストには、実行されるべきタスクが格納されており、タスク名が表示されます。
この出力により、プログラムがどのタスクに取り組むべきかをユーザーが確認できます。

NEXT TASK:
タスクリストから選択された次のタスクを表示するための出力です。
この出力により、プログラムが現在どのタスクに取り組んでいるかをユーザーが把握できます。

TASK RESULT:
これは、実行されたタスクの結果を表示するための出力です。
この出力により、プログラムがタスクをどのように実行し、どのような結果が得られたかをユーザーが確認できます。

※注意※
プログラムは基本的に止めない限り、動き続けます。
API利用料金がものすごいことになってしまうので、気をつけましょう!

なお、自律型AIエージェントの活用事例について知りたい方はこちらをご覧ください。
【自律型AIエージェント】気づいたら仕事が終わっている究極の業務活用方法

BabyAGIの利用事例

BabyAGIは、さまざまな分野での応用が期待できます。その一例を紹介しましょう。

1.マーケティング業務効率化

ビジネス領域での活用例として、マーケティング業務の自動化が考えられます。Web上にある情報を収集して、市場の規模や成長率、競合企業などの情報を整理する業務が対象となるでしょう。リサーチ結果を基にしたマーケティング戦略の立案などへの応用アイデアもあります。

参考記事:ChatGPTでマーケティング業務を効率化するアイデアと押さえておきたい基礎知識

2.研究サポート

BabyAGは研究領域でも効率化に役立つでしょう。例えば、研究の目的や仮説、期間、予算などを基に最適な研究計画を立案するなどの活用方法が考えられます。また、研究に関連する文献調査を自動化することも可能です。

参考記事:大規模言語モデル 受託研究開発サービス

3.海外ビジネス市場の動向調査の自動化

海外でビジネスを展開する際、国ごとに法規制が異なるため、動向の調査には多大な時間を要します。既存の法規制が変更される事も多く、違法な取引としてみなされると罰則を受ける可能性もあり、手を抜けないプロセスでもあります。BabyAGIを使って、法規制動向の収集とレポート化を自動化し、業務効率と情報収集の迅速性を向上する取り組みもあります。

参考記事:海外展開支援AI「jetGee(ジェット・ジー)」がChatGPT・BabyAGIを活用して海外の食品規制動向をモニタリングするAIリサーチ機能を先行リリース

BabyAGIを使ってAIによる業務効率化を実現しよう

BabyAGIは日本人の中島洋平氏が開発したタスク駆動型自律エージェントです。対話をしながらタスクを実行するChatGPTとは異なり、BabyAGIでは初期条件を与えるだけで自動的にタスク生成と優先順位付けを繰り返して目的を達成します。

BabyAGIを活用すれば、あらゆる場面で効率化が図れる可能性があります。これまで人間がひとつひとつ考えながら膨大なリソースを使って行っていた作業に対し、BabyAGIは短時間かつ高品質で実行できる能力を備えています。

BabyAGIのプログラムは公開されており、誰でも利用可能です。この記事を参考にぜひ自分の手で操作してBabyAGIの持つポテンシャルを実感してみてください。

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投稿者

  • Leon Kobayashi

    必ずフォローすべきAIエバンジェリスト(自称) => 元東証一部上場ITコンサル (拙者、早口オタク過ぎて性に合わず退社)<-イマココ 【好きなもの】リコリコ・しゃぶ葉 宜しくおねがいします。

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