オンデバイスAIとは?メリット・デメリットとCopilot+ PCでの実践検証

オンデバイスAI とは メリット デメリット Copilot+ PC 実践 検証
押さえておきたいポイント
  • オンデバイスAIは、クラウドにデータを送らず端末そのものの中でAI処理を完結させる仕組み
  • 低遅延・プライバシー保護・オフライン対応がメリットだが、クラウドAIに比べると処理性能には限界がある
  • Copilot+ PCで実際にリコールやライブキャプションを試し、機内モードでも動作することを確認

オンデバイスAIとは、クラウドにデータを送らず、スマホやPCなど端末そのものの中でAI処理を行う仕組みのことです。ChatGPTやGeminiのようなクラウド型の生成AIがサーバーとの通信を前提としているのに対し、オンデバイスAIはインターネットに接続しなくても動作するケースがある点が大きな違いといえます。

オンデバイスAIとは?メリット・デメリットとCopilot+ PCでの実践検証

この記事では、オンデバイスAIの仕組みやクラウドAIとの違い、メリット・デメリットから、実際にCopilot+ PCで試した検証結果までを一通り解説していきます。ぜひ最後までご覧ください!

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【監修者】田村 洋樹

株式会社WEEL代表取締役 / 累計25社以上のAIアドバイザリーを担当 / 企業向けセミナー・大学講義でのべ10,000人超に登壇 / 日本HP・インテルなど、大手企業主催カンファレンスへの登壇実績多数。AI導入支援・生成AIを活用した業務改革のプロとして、アドバイザリー・PM・講演者など多面的な立場から企業を支援中。

目次

オンデバイスAIとは

オンデバイスAIとは

オンデバイスAIとは、スマートフォンやPCの端末内部にAIモデルを組み込み、その場で推論処理を完結させる技術のことです。クラウドのサーバーにデータを送信する必要がないため、通信の遅延やデータ漏洩のリスクを抑えやすいのが特徴です。

身近な例でいえば、iPhoneに搭載されたApple Intelligenceの文章要約、AndroidのGemini Nanoによる通知の要約、Windows PCのCopilot+ PCに搭載されたリコールやライブキャプションなど、すでにさまざまな端末にオンデバイスAIの機能が載っています。ここからは、仕組みやクラウドAIとの違いをもう少し詳しく見ていきましょう。

オンデバイスAIの仕組み

オンデバイスAIの仕組み

端末の中にあらかじめ小型のAIモデルがインストールされていて、ユーザーが入力したデータを端末内部で直接処理し、結果を返します。クラウドAIが「端末→インターネット→クラウドサーバーで処理→端末に返す」という往復を必要とするのに対し、オンデバイスAIは端末の中だけで処理が完結するため、ネットワークを経由するステップがありません。

クラウドAIとの違い

クラウドAIとの違いは、大きく3つの観点で整理できます。まず処理場所。クラウドAIはサーバーで処理しますが、オンデバイスAIは端末のCPUやGPU、NPU(AI処理に特化した演算装置)を使います。次に通信依存性。クラウドAIはインターネット接続が必須ですが、オンデバイスAIはオフラインでも動作できる場合があります。

そしてレスポンス速度。クラウドAIは通信の往復が発生するため回線速度やサーバーの混雑に左右されますが、オンデバイスAIは端末内で完結するため通信遅延がありません。

ローカル環境でAIを動かす仕組みについてはこちら

オンデバイスAIのメリット・デメリット

オンデバイスAIには、クラウドAIにはない強みがある一方で、性能面の制約もあります。オンデバイスAIのメリットとデメリットをそれぞれ見ていきましょう。

メリット(低遅延・プライバシー保護・オフライン対応)

オンデバイスAIの最大のメリットは、通信を経由しないスピード感と、個人情報を外部に送らずに済む安心感です。端末内部で処理が完結するため、クラウドに接続するまでの待ち時間がありません。音声認識やリアルタイム翻訳のように即時性が求められる場面では、このレスポンスの速さが大きな利点になります。

プライバシー面でも、データが端末の外に出ないことは重要です。社内の機密資料を扱う場面や、医療・金融など個人情報の取り扱いに慎重さが求められる領域では、クラウドにデータを送らなくてよいという点が安心材料になります。さらに、通信が不安定な出張先やオフライン環境でもAI機能を利用できるケースがあります。

デメリット(性能の制約と対応端末の限定)

一方で、最も大きいデメリットはクラウドAIに比べて処理性能に限界がある点です。端末に搭載できるAIモデルのサイズには物理的な制約があり、クラウド上の大型モデルと比べると対応できるタスクの範囲や精度は限られます。

もう1つのデメリットは、対応端末が限定されることです。Apple IntelligenceはiPhone 15 Pro/15 Pro Max(A17 Proチップ)以降が対象で、それより前の世代では利用できません※1。Android側のGemini Nanoも、Pixel 9・10系やGalaxy S25・S26系など対応端末は世代で限られています※2。数世代前のスマホでは、ハードウェアの処理能力が足りずオンデバイスAIに対応していないケースが多いのが現状です。

オンデバイスAIが注目される理由

オンデバイスAIが注目されている背景には、データの取り扱いに関する意識の変化があります。企業・個人を問わず「データを外部に出したくない」というニーズが強まっており、それがオンデバイスAIへの関心を後押ししています。

データが外部に出ないことの安心感

クラウドAIでは入力データがインターネットを経由してサーバーに送信されます。サービス提供元のセキュリティ対策が堅牢でも、通信経路上のリスクやサーバー側でのデータ保持に不安を感じる方は少なくありません。

オンデバイスAIなら端末内で処理が完結するため、データ漏洩のリスクを構造的に抑えられます。社内の機密文書や顧客情報を扱う場面では「そもそもデータを外部に出さない」という選択肢自体に価値があるといえるでしょう。

社外にデータを出さずに生成AIを活用する方法についてはこちら

企業からの相談に見るローカル処理へのニーズ

WEELには、社内規則でデータの社外送信が制限されていることを理由に、生成AIの活用方法について相談が寄せられるケースが増えています。例えば「社内文書を検索してAIの回答に使うRAG(社内の文書データベースをAIに参照させ、より的確な回答を引き出す仕組み)を導入したいが、データをクラウドに送れない」といった内容です。

社外にデータを出せないため端末上やローカル環境でAIを使いたいという相談は実際にWEELにも寄せられており、オンデバイスAIへの注目が実務レベルで高まっている傾向がうかがえます。

【実践検証】Copilot+ PCのオンデバイスAI機能を実際に使ってみた

ここからは、手元のCopilot+ PC(HP EliteBook X G2a)で、オンデバイスAI機能を実際に試した結果を紹介します。CPUはAMD Ryzen AI 7 PRO 450、NPUはメーカー公称で最大50 TOPS※7、メモリ31.3GB(実装32GB)、OSはWindows 11 Pro 25H2です。

スクロールできます
検証した機能試したこと結果所感
リコール(Recall)「出張精算」で過去の画面を検索メモ帳のスナップショットがヒットし、金額・承認者名がハイライト表示された画面内テキストの認識・検索ができ、過去の作業を遡る用途に実用的
文字起こし(ライブキャプション)定例会議の案内文を読み上げて認識精度を確認オンライン・機内モードとも8項目中8項目を正しく認識。一部誤認識あり固有名詞や数字の認識精度が高く、実務のメモ用途に十分使えそう
オフライン動作機内モードでライブキャプションを実行機内モードでも問題なく動作ネットワークなしでも使えることを確認
Copilot+ PCのオンデバイスAI機能検証結果

リコール(Recall)を検証

リコール(Recall)は、PCの画面を定期的にスナップショットとして記録し、あとからキーワードで検索できる機能です。2026年9月時点では「リコール(プレビュー)」として提供されており、起動ショートカットはWindowsキー + Jです。既定ではオフの機能で、起動やスナップショットへのアクセスにはWindows Helloでの本人確認が必要です※3 ※4。

Microsoftの公式ドキュメントによれば、有効化にはデバイス暗号化(またはBitLocker)の有効化と、顔認識か指紋によるWindows Hello拡張サインインセキュリティへの登録が求められます。ハードウェア要件として40 TOPS以上のNPU、16GB以上のRAM、256GB以上のストレージが必要で、有効化には50GB以上の空きが求められます※8。

リコール設定画面

今回は「出張精算」で検索し、以下の画像のようにメモ帳のスナップショットがヒットしました。交通費12,800円、宿泊費18,400円、合計31,200、承認者:田村の各テキストがハイライト表示されています。公式によれば、リコールはPC上のローカルなOCR(光学式文字認識)でスナップショットを分析しており※8、ハイライトは画面内の文字をテキストとして読み取っているためと考えられます。

リコール検索画面

なお、公式では「インターネット接続やクラウド接続は必要ありません」「スナップショットはMicrosoftに送信されません」と明記されています※8(ただしWebサイトのfaviconなどはインターネットから取得する場合があります)。

文字起こし(ライブキャプション)を検証

ライブキャプションは、端末のスピーカーやマイクの音声をリアルタイムで文字に起こす機能です。公式では音声処理とキャプション生成はすべてデバイス上で行われ、音声データがデバイスから離れることはないと明記されています。オフラインでもキャプションを提供できるとも記載されています※5。

ライブキャプション画面

今回は定例会議の案内文(日時・会議室・予算額・採用計画・担当者名を含む約80字)を読み上げ、8つの採点項目で精度を確認しました。オンラインでの1回目は8項目すべてを認識しました。

オフライン時のライブキャプション画面

機内モードでの1回目も8項目すべてを認識。オンラインで誤認識した「議題は」が正しく認識されました。ただし、どちらも各1回の読み上げのため「オフラインの方が精度が高い」とは言えず、話し方の差による可能性もあり、原因は切り分けていません。

なお、翻訳先として公式が案内しているのは英語(40以上の言語から)と中国語・簡体字(27の言語から)です※5。

ライブキャプション動作中のタスクマネージャーでは、NPU使用率は0%表示のままでしたが、グラフに三角形の鋭いスパイクが4本出ており、NPU共有メモリは未起動時の1.9GBから4.4GBへ約2.5GB増加していました。同時のCPU使用率は16%で、Wi-Fiの送受信は0Kbpsです。

タスクマネージャー画面

NPU使用率が0%表示だった理由(サンプリング間隔の問題か実際に低負荷か)は切り分けておらず、CPUも16%稼働していたため、どこで推論が走ったかは確定できません。共有メモリの増加とスパイクから、NPUが何らかの形で関与していた可能性があると考えられます。

AI PCの仕組みやNPUの詳しい解説はこちら

クラウドAIとの使い分け・ハイブリッドAIの広がり

オンデバイスAIとクラウドAI、どちらが優れているかという話ではなく、用途に応じて使い分けるのが実用的な考え方です。ハイブリッドな活用が今後ますます広がっていくと考えられます。

どんな場面でどちらを使うべきか

即時性が求められる処理や、データを外部に出せないケースではオンデバイスAIが適しています。リアルタイムの音声認識や、機密情報を含む文書の端末上での処理などが該当します。

一方、画像生成や長文の高度な文章生成のように高い処理性能が求められるタスクではクラウドAIが適しています。両者を排他的に考えるのではなく、タスクの性質に応じて使い分けるのが実務的でしょう。

今後はハイブリッド活用が主流に

NPU(AI処理に特化した演算装置)を搭載した端末は、スマホでもPCでも着実に増えています。簡易な処理は端末で即座にさばき、高度な処理だけクラウドに任せるというハイブリッドな使い方が標準になっていくでしょう。

AppleのPrivate Cloud Computeのように、端末側で処理しきれないタスクだけを安全なクラウドに自動で振り分ける仕組みも登場しています。「どこで処理するか」をユーザーが意識しなくても、端末とクラウドが連携する方向に進んでいくと考えられます。

端末上で動くAIエージェントについてはこちら

生成AIなどのご相談はWEELへ!

オンデバイスAIは、クラウドにデータを送らず端末内でAI処理を完結させることで、低遅延・プライバシー保護・オフライン対応といったメリットをもたらしてくれます。今回のCopilot+ PCでの検証では、リコールによる過去の画面検索やライブキャプションのリアルタイム文字起こしが機内モードでも動作することを確認できました。

クラウドAIに比べれば処理性能に制約はありますが、端末側で処理できるタスクの幅は着実に広がっています。まずは手元のスマホやPCの設定を確認して、オンデバイスAI機能を試してみてはいかがでしょうか。

弊社では、AI導入を検討中の企業向けに、業務効率化や新しい価値創出を支援する情報提供・導入支援を行っています。最新のAIを活用し、効率的な業務改善や高度な分析が可能です。

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よくある質問

iPhoneやAndroidでオンデバイスAIは使えますか?

はい、対応端末であれば標準機能として利用できます。iPhoneの場合、Apple IntelligenceはiPhone 15 Pro/15 Pro Max(A17 Pro)以降が対象で、iPhone 16シリーズ以降では対応範囲が広がっています※1。AndroidのGemini NanoはPixel 9・10系やGalaxy S25・S26系など一部の機種で利用でき、対応端末は世代やメーカーによって異なります※2。端末ごとに使える機能や性能は違いますので、購入前にそれぞれの公式ページで対応状況を確認されることをおすすめします。

オンデバイスAIとエッジAIの違いは何ですか?

どちらも端末側で処理する点は共通ですが、一般的にはオンデバイスAIがスマホやPCなど利用者の端末そのもので動かすことを指すのに対し、エッジAIは工場の産業機器や監視カメラなど現場に設置された機器側で処理する文脈で使われることが多い傾向があります。ただし明確に定まった定義はなく、両者が重なる場面もあるため、あくまで一般的な使い分けとして理解しておくとよいでしょう。

Google ChromeなどのWebブラウザでもオンデバイスAIは使えますか?

Google Chromeでは、デスクトップ版ブラウザにGemini Nanoが組み込まれる動きが進んでいます。Chrome 126以降でオンデバイスAI機能の提供が始まり、翻訳・文章作成支援などをブラウザ内で端末側処理できる仕組みが段階的に導入されています。ただし提供状況や対応バージョンは変わりやすいため、利用を検討する際はGoogleの公式ドキュメントで最新の対応状況をご確認ください。

自分のスマホやPCがオンデバイスAIに対応しているか、どこで確認できますか?

Apple・Google・Microsoftの各社が公式ページに対応機種一覧を公開しています。Apple IntelligenceはAppleの公式ページ※1、Gemini NanoはAndroid Developersの公式ドキュメント※2、Copilot+ PCはMicrosoftの公式ページ※6で確認できます。端末の設定画面を開き、該当するAI機能の項目(Windowsなら「プライバシーとセキュリティ → リコールとスナップショット」)が表示されるかどうかでも判断できます。

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