生成AIの国内開発事例9選!開発に必要なことや活用事例も紹介
生成AIの急激な普及により、仕事やスキルの価値が変化し、働き方を再定義していくことが求められています。
GAFAMに代表される海外のテック企業が積極的にAI活用を進める一方、日本ではまだまだAI導入の遅れている企業が多い印象です。しかし国内にも積極的にAIを開発・導入している企業は多数存在します。
本記事では、企業における生成AIの開発事例や具体的な活用事例を解説しています。この記事を最後まで読めば、企業においてどのように生成AI開発を進めていくべきか理解できます!ぜひ最後までご覧ください!
生成AIとは
生成AIとは、人工知能技術を用いて新しいコンテンツやデータを自動生成するシステムです。この技術は、テキスト・画像・音声・音楽など様々な形式のコンテンツを作成でき、既存のデータやパターンから学習して独自の作品を生み出します。
生成AIはクリエイティブ産業・教育・ビジネス・医療など多岐にわたる分野で応用されており、その進歩によって多くの新しい可能性が開かれています。
さらに、生成AIについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
→生成AIとは何か?仕組みやできることをAI専門家がわかりやすく解説
生成AIの国内開発事例9選
生成AIの開発は海外の事例が注目されがちですが、実は日本国内においても様々な生成AIが開発・活用されています。この章では、代表的な国内の生成AI開発事例をご紹介します。
NEC the WISE
NECの「NEC the WISE」は、AI技術の集合体です。
これは様々な社会・ビジネスのニーズに応えるために開発されており、
- データのデジタル化や質向上
- 五感に基づく識別・認証
- 意味・意図の理解
など、広範なAI技術をカバーしています。
また、予測分析・因果分析・高精度分析など、データの深い理解と分析を行い、計画・最適化による問題解決を支援しています。NEC the WISEは、複雑化・高度化する社会課題に対応するためのAI技術の統合的な解決策を提供しています。
Zinrai
「Zinrai」は、富士通が提供する多機能AIプラットフォームサービスです。
音声テキスト化や自然文解析など多様なAI機能を提供し、APIを通じてユーザーがシステムに統合できます。日本語処理に特化していることも大きな特徴で、クラウドサービスやオンプレミス環境で利用可能です。
機能としては、
- 画像認識
- 手書き文字列認識
- 音声合成
- 感情認識
などがあり、言語処理機能も充実しています。
参考記事:Zinraiとは
Hitachi AI Technology/H
日立の「Hitachi AI Technology/H」は、複雑な現代ビジネスの予測困難な状況に対応するためのAI技術です。多目的であり、データから自動的に仮説を生成し、重要な要因を選出して最適な選択を行う能力を持っています。
Hは短時間で新しい解決策を見つけることができ、分野を問わず既存システムに適用可能なAIです。既に複数の業界で効果を発揮しており、予測困難な問題に対する挑戦を支援しています。
参考記事:Hitachi:社会イノベーション
ConnectAI
パナソニックコネクトは、自社のAIアシスタントサービス「ConnectAI」を自社特化AIに拡張し、試験運用を開始。このサービスは、OpenAIの大規模言語モデルに基づいており、公式自社情報を活用してユースケースに適した回答を生成します。
2023年6月より始まるプロジェクトでは、公式ウェブサイトやニュースリリースの情報を用いて、社内業務の改善と効率化を目指します。
参考記事:パナソニック コネクトのAIアシスタントサービス「ConnectAI」を自社特化AIへと深化
NISSIN-GPT
日清食品ホールディングスは、Azure OpenAI ServiceとMicrosoft Power Platformを活用して独自の対話型AI「NISSIN-GPT」を開発しました。このAIは、日清食品グループの社員約3,600人に向けて2023年4月25日に公開され、業務生産性の向上と創造的な活動の支援を目指しています。
セキュリティとプライバシーに配慮しつつ、業務におけるAIの適用方法を議論し、バージョンアップを続ける予定です。
参考記事:セキュリティ対策を施したMicrosoft Azure上で独自システムを開発! 対話型AI「NISSIN-GPT」をグループ社員3,600人に向け4月25日(火)に公開
corevo
「corevo」とは、NTTグループが提供するAI技術群のブランド名です。このブランドでは、人間の活動を代替・支援し、能力を引き出すAI技術が提供されています。
NTTは、corevoを横断的に活用し、コラボレーションパートナーや自治体と共に新たな価値を創造することを目指しています。
- Agent-AI
- Heart-Touching-AI
- Ambient-AI
- Network-AI
の4種類のAI技術で構成されており、それぞれが異なる分野で応用されています。
参考記事:コラボレーションを通じてともに革新を起こすために〜NTTグループの「corevo」とは
KIBIT
「KIBIT」はFRONTEOによって開発されたAIエンジンで、数学的アプローチを用いて人間の心の機微を分析します。言葉に隠された意味を解析し、専門的なテキストデータの分析に特化しているとのこと。
少量の教師データを用いて全体像を高精度に解析し、エキスパートの判断基準を再現する能力を持っています。KIBITは、サプライチェーン解析や株主支配ネットワーク解析など、さまざまな分野での応用が可能です。
参考記事:言葉に隠れた人間の心の「機微」を数学的アプローチで見つけ出すKibit
HEROZ
HEROZ株式会社は、将棋AIの開発で培った深層学習と機械学習技術を基に、革新的なAI「HEROZ Kishin」を提供しています。さらに将棋に限らず様々な業界での課題解決に貢献し、多様なビジネスソリューションを通じて新しい未来を創造する可能性を秘めています。
また、HEROZはAI技術を頭脳ゲーム開発にも応用し、その進化したAI技術は金融機関など様々な分野で活用できます。
参考記事:HEROZについて
文部科学省
文部科学省も2024年度から、科学研究に特化した生成AI(人工知能)を開発します。実験画像や論文データを学習させて新発見につながる仮説を生成し、より効率的な研究モデルを作る予定。
研究に使う生成AIの基盤モデルを海外製に依存すると重要技術が流出する恐れもあるため、国産化で研究開発(R&D)の安全性と国際競争力を高めることを目標としています。医学や材料研究向けにまず開発し、研究領域を徐々に拡大していく形です。
参考記事:文科省が生成AI開発、仮説や実験立案 技術流出防ぐ
生成AIを開発するために必要なこと
生成AIを開発するためには、以下の要素が重要です。
- データセットの収集と整理: 高品質なデータセットはAIモデルのトレーニングに不可欠です。
- アルゴリズムの選択と開発: 適切な機械学習アルゴリズムを選択し、必要に応じてカスタマイズします。
- コンピューティングリソース: 効率的なトレーニングと処理のためには、十分な計算能力が必要です。
- 専門知識とチーム: AI開発にはデータサイエンス、ソフトウェアエンジニアリング、ドメインの専門知識が求められます。
- 評価と改善: モデルの性能を定期的に評価し、必要に応じて改善します。
これらの要素を適切に組み合わせることで、効果的な生成AIの開発が可能になります。
なお、テキスト系の生成AIであるChatGPTの活用事例について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
→ChatGPTの日本企業導入事例をまとめて紹介!業務に導入するメリットや注意点も解説
国内で生成AIを活用している企業事例
生成AIを開発している事例とは別に、自社サービスにAI技術を取り入れているケースも紹介します。教育分野の大手、ベネッセグループにおける生成AIの活用事例をご紹介します。ベネッセグループでは下記のようなAI活用を実施しています。
- 社内AIチャット「Benesseチャット」導入(2023年04月)
生成AI系対応に最も重要なことは 「企画」と捉え、社員が自由に使え る環境を整備 - 生成AIを活用した「次世代型コンタクトセンタープロジェクト」開始(2023年06月)
次のような取り組みにより、品質と生産性の非連続的向上を狙う。
①自己解決の大幅促進
②オペレーター応対前のサポート
③オペレーター応対中の自動化
④オペレーター研修の効率化
⑤センター管理業務の生産性向上 - 小学生向け生成AIサービスリリース(2023年07月)
対外的な初めてのサービスとして 「自由研究お助けAI」をリリース
①答えを教えるのではなく、考える力を養うAIキャラクターによるナビゲーション
②小学生の利用に配慮した安心・安全な設計
③生成AIの使い方・ルールといった情報リテラシーを学ぶための動画解説 - 生成AIを活用した「次世代型WEBサイトプロジェクト」始動(2023年08月)
次のような取り組みにより、品質と生産性の非連続的向上を狙う
①サイト・広告制作プロセスの抜本的 改革
②ライティング業務の自動化
③画像生成業務の自動化
④顧客コミュニケーションの個別化
⑤生成AIを活用したPDCA 高速化
会社全体で、世の中の動きに素早く対応できる組織への進化を目指しているようです。
参考記事:生成AIの活用事例のご紹介
海外における生成AI活用した企業事例
冒頭にもある通り、海外に比べると日本でのAI導入は遅れている企業が多い印象です。では、海外ではどのようにAIが活用されているのでしょうか。次に、海外での導入事例について見てみましょう。
事例①Amazon
日本でも馴染みのある世界的企業のAmazonでは、AIを積極的に活用しています。導入されている分野は多岐に渡りますが、インターネットショッピング関連で言えば、ユーザーの購入履歴などの過去情報からユーザー情報を学習し、サイズにあった服やオススメの商品を提示してくれます。
また、配送シーンにおいても、1日に4億以上の商品の需要予測をサポートし、世界中の拠点に最適な在庫を仕入れたり、仕分けロボットにAIで強化された視覚システムを導入し、箱のサイズの認識や梱包状態を確認。その後、各荷物に適した掴み方で荷物を仕分けるなどを可能にしました。
参考記事:AmazonがAIを活用してホリデーシーズンのお買物体験をより良いものにし、商品をより迅速に配送するためにアメリカで行った5つの方法
事例②Slack
ビジネス向けメッセージアプリとして、日本でも多くの企業が導入するSlackではChatGPTと連携できるようになり話題となりました。
もともと、リマインド機能やカスタムレスポンスなどの機能はありましたが、ChatGPTが導入されたことで、さらにできることが増えました。まだ、利用できない機能もありますが、発表によればチャットボットとの会話ができたり、チャンネルでの会話内容を要約したり、自動返信ができたりと業務効率を上げる便利な機能が追加されます。
参考資料:ChatGPT app for Slack を発表
事例③Bain & Company
アメリカに本社を置くコンサルティング会社のBain & CompanyはOpenAI社と提携し、GPT-4とDALL-Eを使った一般公募コンテスト「Create Real Magic」を開催しました。
これは、コカ・コーラの過去に使われていたロゴやボトル、マスコットなどの画像素材を基に、GPT-4とDALL-Eで新たなクリエイティブを生成するというコンテストです。AI技術のおかげでイラストを描く技術がなくても、想像力があれば誰でも参加のできるキャンペーンを実施しました。
参考記事:「Create Real Magic」: コカ・コーラは OpenAI と提携し、AI ツールでデジタル アートワークを変革します
さらに、海外の活用事例について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
→海外でバズったヤバいChatGPT・AI活用事例35選
生成AIの国内開発に注目が集まる!
この記事では、企業における生成AIの事例や活用法を具体的に解説しました。代表的な事例は、以下のとおりです。
- NEC the WISE:NECが開発したAI技術の集合体
- Zinrai:富士通が提供する多機能AIプラットフォームサービス
- Hitachi AI Technology/H:日立が開発した複雑な現代ビジネスの予測困難な状況に対応するためのAI技術
- ConnectAI:パナソニックコネクトの自社特化AIアシスタントサービス
- NISSIN-GPT:日清食品ホールディングスが開発した、業務生産性の向上と創造的な活動の支援のためのAI
- KIBIT:FRONTEOによって開発された数学的アプローチを用いるAIエンジン
- HEROZ Kishin:HEROZ株式会社が将棋AIの開発で培った深層学習と機械学習技術を基に開発したAI
- 文部科学省:2024年度から、科学研究に特化した生成AI(人工知能)を開発
生成AIが急速な発展を見せる中、企業においても生成AI開発が大きな課題となっています。未来を見据えて、準備をしていく必要がありそうですね。
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