ChatGPTとGoogle Bard どう使い分ける?自然言語処理専攻の大学院生が解説!
皆さん、ChatGPTとGoogle Bard使い分けられていますか?
結局、ChatGPTに慣れちゃったのでBardは使ってないという方が多いんじゃないでしょうか。
しかし、周りからは「Bardは良いぞ!」「流石天下のGoogleだ!」という声がちらほら……。
そこで、自然言語処理を専攻している院生にChatGPTとBardの違いについて聞いてみると、専門的で面白い示唆をくれたので今回記事化いたしました。
BardとChatGPTの技術的な違いから紐解き、そこから導き出されるそれぞれの得意不得意なことを理解することで、効率的に利用できると思います!
ChatGPTについての概要
ChatGPTは、2022年11月にアメリカのOpenAI社が開発した高度なチャットAIです。
このAIは、GPT(Generative Pre-trained Transformer)という先進的なモデルを基盤にしているため、多くの言語処理タスクで優れた性能を発揮します。
ChatGPTには、無料で使用できるモデル「GPT-3.5」と有料で利用できる「GPT-4」があります。ただし、使用には一定の制限があり、3時間で25メッセージまでといった制限があるため注意しましょう。
ChatGPTが特に注目されているのは、人間のように自然な回答を生成できる点です。大量のデータから学習しているので、多様な質問にも瞬時に答えることができます。
なお、ChatGPTの活用方法について知りたい方はこちらをご覧ください。
Google Bardについての概要
Bardは、2023年3月にGoogleがリリースした対話型AIサービスで、ChatGPTと同じく自然な言葉で質問できるところが特徴です。
このAIは「PaLM2」という先進的なモデルを基にしています。2023年2月に初めて発表された後、しばらくの間は進展がありませんでしたが、5月に日本でも使えるようになりました。
Bardの一番の特徴は、Googleの検索エンジンを活用してインターネット上の最新情報を基に回答を生成する点です。さらに、リアルタイムで情報が更新されるため、常に最新のデータに基づいた回答が得られます。
音声入力にも対応しているので、手がふさがっているときでも使用できるため便利です。
なお、Google Bardの使い方について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
関連記事:10分で分かるGoogle Bard日本語版の使い方解説!最新活用事例10選も紹介
なお、Google Bardについて知りたい方はこちらをご覧ください。
→10分で分かるGoogle Gemini日本語版の使い方解説!最新活用事例10選も紹介
ChatGPTとBardを使うメリット・デメリット
ここでは、ChatGPTとBardのメリットとデメリットを紹介します。
ChatGPTとBardは、非常に便利なツールですがデメリットもあります。メリットを知ることはもちろんですが、デメリットを知ることの方がとても重要です。
なぜなら、デメリットを知ることでChatGPTやBardを使用する際の注意点や対策方法がわかるからです。
ぜひ、以下を参考にしてChatGPTとBradを安全に効率よく活用してください。
ChatGPT
ChatGPTは、幅広い業務で活用やカスタマイズなどができる便利なツールですが、セキュリティ面や回答の精度などで課題があります。
以下の内容を参考に、ChatGPTを有効活用してください。
メリット
- さまざまな業務を効率化できる:資料作成や情報収集などを自動化することで作業効率を上げることが可能です。
- 高度な自然言語処理:人間らしい対話が可能であり、自然な文章を生成できます。
- カスタマイズ可能:ファインチューニングを通じて、特定の業務に合わせてカスタマイズできます。
- 多様な応用範囲:文章生成や要約、質問応答、プログラムコード生成など多くの用途で活用が可能です。
デメリット
- コストがかかる:GPT-4やAPIを利用する際に費用がかかります。
- セキュリティ:機密情報や個人情報を扱う場合、データの安全性を完全に保証できません。
- 精度の限界:誤った情報を生成する可能性があります。
- 倫理的問題:AIが生成する内容が、不適切または偏見を含む可能性があります。
- 最新情報に対応していない:GPT-3.5は2021年9月までの情報にしか対応していません。有料版GPT-4のプラグインを使用することで最新情報に対応可能です。
ChatGPTは、効率性や柔軟性、カスタマイズなどのメリットがあります。これらの機能を使用することで、多様な業種や用途で高いパフォーマンスを発揮します。
一方で、コストやセキュリティ、精度の限界などのデメリットも考慮しましょう。特に、機密情報や個人情報を扱う場合は、セキュリティ対策が必要不可欠です。
これらの要点を総合的に判断し、ChatGPTの導入と活用を検討することが重要です。
Bard
Bardは、多彩なコンテンツ生成や最新情報に対応していますが、セキュリティ面や出力した情報源を明記できないなどのデメリットがあります。
以下を参考にして、Bardを使うメリットとデメリットを把握してください。
メリット
- 多様なコンテンツ生成:ニュースやブログ、詩など多彩な文章を作成可能です。
- 最新情報に対応:Googleから新しいデータを取得し、常に最新情報で対応します。
- 多言語に対応:日本語や韓国語などを含む40以上の言語に対応しています。
- 音声コマンドに対応:音声での操作や文章の読み上げも可能です。
デメリット
- 誤情報の生成:間違った情報を出力することがあります。
- 情報源を明記できない:情報の出典をリンクで示すことができないため、信憑性が確認できません。
- セキュリティ:機密情報などの情報を漏えいする可能性があります。
- 有料になる可能性がある:現在は無料ですが試験運用終了後には有料になる可能性があります。
Bardは多様な文体でのコンテンツ生成が可能で、最新情報をGoogleから取得できる点が強みです。さらに40以上の言語に対応しており、音声コマンドでの操作も可能なため多様なニーズに応えられます。
一方で、誤情報を生成するリスクがあり、出典の明示が難しいため信憑性に課題があります。セキュリティ面でも機密情報の漏えいリスクが考えられるでしょう。
Bardは、現在無料で利用できますが、将来的には有料化される可能性もあるためコスト面でも注意が必要です。
比較
モデルと学習データについて、それぞれ比較していきます。
モデルの違い
ChatGPTとBardは、それぞれ異なる特性を持つAIモデルを使用しています。
ChatGPTは、「GPTシリーズ」というモデルをベースにしており、入力された文の続きを自然に生成する能力があります。
例えば、「むかしむかし」というフレーズに対して、「あるところに」と続ける確率が高いです。その理由は、ChatGPTがそのような続きを一般的であると学習しているからです。
一方で、Bardは「PaLM2」というモデルを使用しています。
このモデルは、ChatGPTと同じような学習方法を使いつつ数学的な問題解決や多言語対応など、より多様なタスクに対応しています。つまり、Bardはただ文章を生成するだけでなくプログラミングや多言語対応など、より高度なタスクにも対応可能です。
さらに、Googleは以前「LaMDA」というモデルを使用していました。このモデルは、自然な会話ができると評価されていました。
現在は「PaLM2」が主流となっていますが、この自然な会話生成能力は「PaLM」にも引き継がれていると考えます。
要するに、ChatGPTは一般的な文の生成に優れ、Bardは多様なタスクと多言語に対応しているというわけです。それぞれのモデルには得意とする領域がありますので、用途に応じて選ぶことが重要です。
学習データの違い
ChatGPTとBardは、それぞれ違うデータセットで学習しているため、その性能や対応範囲も異なります。
具体的には、ChatGPTはWikipediaやWebサイトから収集した約45TBのデータを使用していますが、そのデータは2021年9月までのものです。一方で、Bardはウェブ上の文書、プログラムのコード、人々の会話など、さまざまな情報源から学習しています。
特に注目すべき点は、Bardの学習データには最新情報が含まれている点です。そのため、Bardは最新のトピックスにも対応できます。さらに、Bardは学習データに多くの非英語データが含まれているため、多言語対応能力が高いです。
また、Bardは倫理的な観点から、ヘイトスピーチなどの問題のあるデータは学習に使用しないよう制限しています。この制限により、Bardはより安全で信頼性の高い対話が可能です。
簡単に言えば、ChatGPTは広範ながらもやや古いデータで学習しているのに対し、Bardは多様で最新のデータを使っているためより広範の質問に対応でき安全性も高いと言えます。
なお、ChatGPTとGoogle Bardを実際に使用して比較したことについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
関連記事:Google BardとChatGPT 実際に使って徹底比較してみた
違いから、ChatGPTとBardの使い分けの提案
ChatGPTとBardは各々異なる特性と能力を持つため、どちらを使用するかは具体的な使用目的や状況によります。
以下に、それぞれの特性を考慮した使い分けの提案を行います。
ChatGPTの利用がおすすめのケース
ChatGPTを利用した方がおすすめのケースを紹介します。
以下のような場合は、Bardを使用するより効率よく作業できるため参考にしてみてください。
言語モデルを使い分けしたい場合
ChatGPTの有料版を使用すると、GPT-3.5とGPT-4の両方を柔軟に使い分けることが可能です。GPT-3.5は約1.75兆のパラメーターを持っています。しかし、GPT-4はそれを大きく上回る約100兆のパラメーターを有しているため、回答の精度が大幅に向上しています。
もしGPT-3.5での回答が不十分だと感じた場合、GPT-4に簡単に切り替えることが可能です。そのため、より高精度な回答を得られる可能性が高くなります。
このような柔軟性と高度なカスタマイズが求められる場合には、ChatGPTの活用がおすすめです。
長文コンテンツの作成
ChatGPTは、長文のコンテンツ作成において非常におすすめです。
記事やブログの投稿、さらにはビジネスメールの作成など、多くの文書作成タスクでその力を発揮します。
なぜなら、インターネット上のテキストデータに基づいて高度に訓練されているからです。
そのため、人が普段読むような自然な文章が生成されます。短い文章から長いブログ記事まで対応可能です。
プラグインを使用したい場合
ChatGPTは、特定のプラグインを使って特別なタスクを実行できます。
例えば、SEOプラグインを使えば、CgatGPTはウェブサイトの検索エンジン最適化を手助けしてくれます。
このような特化した機能はBardにはないため、ウェブマーケティングなどの特定のビジネスニーズに対応する場合には、ChatGPTがおすすめです。
Bardの利用がおすすめのケース
Bardを利用した方がおすすめのケースを紹介します。
以下のような場合は、ChatGPTを使用するより効率よく作業できるため参考にしてみてください。
最新情報のリサーチ
BardはGoogleのPathways Language Modelを採用しているため、リアルタイムでGoogle Searchから最新情報を取得して回答を生成します。
例えば、市場調査や科学的研究、ニュースの追跡など最新かつ正確な情報が求められる場面に最適です。
つまり、Bardを使用することで古いデータに基づいた回答ではなく、常に最新の情報で質問に答えることができます。
使いやすいモデルを使用したい場合
Bardは使いやすい設計がされていて、一度質問を投げかけた後でもその内容を編集することができます。これは、質問がわかりにくい場合や、追加の情報を加えたいときに便利です。
さらに、Bardは複数の回答オプションを提供することができるので、ユーザーは最も適した回答を選ぶことができます。加えて、回答を音声で読み上げる機能もあり、視覚的な情報だけでなく聴覚的な情報でも理解を深めることが可能です。
テキストだけでなく画像も提供してほしい場合
ビジュアルコンテキストの機能によって、Bardは単なるテキスト情報だけでなく、関連する画像も提供できます。
具体的には、ある特定の建築物や歴史的な場所について質問をした場合、Bardはその場所の画像を同時に表示してくれます。これは視覚的な情報が重要な場合、例えば学習やプレゼンテーションの資料作成などに最適です。
視覚的な学習者にとっては、テキストだけでなく画像を通じて情報を得られるため、理解がより深まります。
ChatGPT・Bardを使用する際の注意点
ChatGPTやBardを使用する際にいくつかの注意点があります。
これから紹介する注意点を知らないと、大きな問題に発展して法的なトラブルやプライバシー侵害につながる可能性があります。
以下のポイントを押さえておくことで、ChatGPTやBardをより安全に、そして効果的に使用できるようになるでしょう。
ぜひ、参考にしてください。
機密情報の入力を避ける
ChatGPTはユーザーからの情報を保存し、後で使うことができる権利を持っています。これは、あなたがChatGPTに何を言ってもそれがプライベートな情報であるとは限らないということです。
特に、機密情報をこのサービスと共有する場合、そのデータはAIのアルゴリズムに完全にアクセス可能になります。簡単に言えば、ChatGPTとのやり取りはプライベートな会話ではないと考えた方がいいです。
そのため、機密情報や個人情報などは絶対に共有しないようにしましょう。
誤情報を出力されることがある
ChatGPTやBardなどは、便利なツールですが、回答を完全に信じてはいけません。
なぜなら、AIは大量のテキストデータから回答を生成するだけで、その内容が必ずしも正確ではないからです。
具体的には、AIが学習したデータに誤情報や偏見が含まれている場合、それがそのまま回答に反映される可能性があります。また、AIは「わからない」という回答を避ける傾向があり、不正確な情報を提供することもあります。
要するに、AIの回答は参考程度に留め、最終的な判断は人間が行うべきです。AIを使う際は、回答の正確性を確認しましょう。
使用規約とプライバシーポリシーを確認する
サービスを利用する前に、必ず使用規約とプライバシーポリシーを確認してください。これは、あなたの情報がどのように取り扱われるのか、どのような目的でデータが保存されるのかを明確にするためです。
簡単にスキップしてしまいがちですが、後でトラブルになることを避けるためにも、しっかりと内容を確認しましょう。
なお、生成AIを使用する際のリスクや注意点について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
関連記事:生成AIの企業利用・開発のリスクとその対策を解説!開発失敗事例も紹介
ChatGPTとGoogle Bardを上手く使い分けよう!
BardとChatGPTは両方とも文章生成AIであり、
人間のように自然な文章を生成しますが、それぞれのAIはモデルと学習データの点で異なる特性を持ちます。
その違いと使い分け方法を簡潔に説明します。
モデルの違い
- ChatGPTはOpenAIが開発し、基本モデルは「GPT-3.5」(無料版)や「GPT-4」(有料版)。
人間のように回答し、次の単語や文の予測が得意。 - BardはGoogleが開発、基本モデルは「PaLM 2」。
多言語や高度なプログラミングタスクに対応可能。
学習データの違い
- ChatGPTは2021年9月までのWikipediaやCommon Crawl等から集めた約45TBのテキストデータを使用。
- Bardはウェブ上の文書、プログラムコード、会話データなど多様なソースから学習。
最新情報にも対応し、非英語データの割合が高い。
使い分け方法
使い分け方法に関して、改めて表を載せていますのでご確認ください。
特性 | 選択するべきLLM | 理由 |
---|---|---|
回答の速さ | Bard | Bardはパラメータ数が比較的少なく、内部的な処理が速いため |
規制の有無 | ChatGPT | ChatGPTは規制が比較的緩く、倫理的に反していると判断した質問にも答える可能性があるため |
リサーチ | Bard / ChatGPT(有料版) | Bardは最新の情報を扱う能力があるため 有料版のChatGPTは、プラグインを活用することで最新情報を取得可能。 |
推論 | ChatGPT | GPTの方が学習データが大きく、言語の細かいニュアンスの理解、より自然な文章の生成が可能なため |
文生成の精度 (英語) | ChatGPT | ChatGPTはパラメータ数も多く、大量の英語データで学習しているため |
文生成の精度 (英語以外) | Bard | Bardは多言語のデータで学習しているため |
プログラミングの精度 | Bard | プログラムコードに関するテキストを多く学習しているため |
これらの情報を基に、どちらのAIが自分のニーズに最も適しているか判断いただけると幸いです!
最後に
いかがだったでしょうか?
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