LangChainを使った開発とは?流れ、費用相場、開発事例を紹介

LangChain 開発 事例

LangChainは、大規模言語モデルの革命的な力を持つ技術ツールです。

例えば、情報の抽出や自動処理が可能で、開発においてもさまざまな効果が期待できます。

この記事を読めば、LangChainの真価や機能、開発の流れ、費用や実際の開発事例まで、より詳しく理解できます。LangChainの活用方法やその有益性を深く知る手助けとなるでしょう。

LangChainを組み込むことで、従来の方法よりも作業の効率が大幅に向上します。自動化された情報処理が可能になり、開発や分析タスクの時間短縮など。高精度なデータ分析をおこなうことで、仕事の質も一段と高まります。

目次

Langchainとは

LangChainは、ChatGPTやその他の言語系モデルの機能拡張を効率的に実装するためのライブラリです。現在、PythonとJavascriptで利用可能なライブラリが提供されています。

Pythonは全機能をサポートしているため、Pythonの使用をおすすめします。

LangChainを使用すると、以下の問題点を克服可能です。

  • ChatGPTが持っている情報が最新でない場合
  • 長文を一度に入力できない場面
  • 複雑な計算への回答が難しいとき

例えば、長文のPDFから情報を取得したいとき、LangChainを用いれば手軽に対応可能です。煩雑なコーディングは必要なく、短いコードで多くのことが実現できます。

参考記事:LangChainとは

参考記事:LangChainとは?主な機能やChat APIと組み合わせた使い方を解説!

なお、Langchainについて知りたい方はこちらをご覧ください。
【Langchain】何ができるのかや日本語での使い方、GPT-4との連携方法を解説

LangChainの機能

LangChainの機能は以下の6つがあります。

  • Models:LLMの選択
  • Prompt:プロンプトの管理と最適化
  • Indexes:外部データの利用
  • Chains:複数プロンプトで一連の処理の実行
  • Agents:ツールの実行
  • Memory:対話履歴の保持

それぞれ解説していきます。

Models:LLMの選択

「Models」モジュールは、複数の異なるモデルを継ぎ合わせて利用するための機能です。

通常、各モデルのライブラリを個別に理解し、特定の記法でのコーディングが求められます。しかし、Modelsの導入によってその必要がなくなりました。

LangChainには、さまざまなモデルが統合されており、ユーザーはこれらを簡潔に切り替えたり、組み合わせたりが容易です。

Modelsの機能により、開発者の生産性が向上し、より幅広い応用が可能です。コーディングの複雑性も大幅に軽減され、効率的な作業が期待できます。

Prompt:プロンプトの管理と最適化

LangChainの「Prompt」モジュールは、開発プロセスを大幅に効率化します。LLMを使用したアプリの開発には、プロンプトの管理と最適化が不可欠です。

もし、チームがソフトウェアを開発する際、さまざまなコーディングスタイルを使うとわかりにくくなります。Promptモジュールの統一的なコーディング手法を採用すれば、よりシンプルに作業ができます。

Promptモジュールなら実装コストを削減するだけでなく、より効率的な開発が可能です。

Indexes:外部データの利用

LangChainの「Indexes」機能により、ユーザーは外部データソースを有効活用できます。一般的に、ChatGPTへの指示はテキストベースのプロンプトを通じて提供されます。

LangChainの「Indexes」は、PDFやCSVなどの外部ファイルからの情報を利用してChatGPTに指示を出せるのです。

Indexesにより、データ駆動型のインタラクションの範囲が広がり、ChatGPTへの指示の効率が向上します。

Chains:複数プロンプトで一連の処理の実行

「Chains」機能は、一度の指示で複雑な内容の返答を受け取れます

一つの問いかけの結果を基に、次の問いかけをおこなえます。順に問いかけることで、より詳細かつ高品質な返答をAIからの受け取りが可能です。

例えば、長文の内容を分けてそれぞれの部分を要約する。その後、すべてを統合して一つの要約文を作成するような応用ができます。

以上をまとめると、

  • 細かい点までの確認や複数のステップを含む内容の問いかけも、一度の操作で効率的に受け取れる。
  • ユーザーは複雑な内容もシンプルな手順で理解しやすく取り組める。

「Chains」は、連続的な問いかけをおこないたい場合や、より深い理解を求める際に非常に役立つ機能です。ユーザーが「Chains」機能を使えば、時間の節約とともに、質の高い情報を効率的に受け取れるのです。

Agents:ツールの実行

「Agents」は、異なるツールを連携させて、特定のタスクを達成するための機能です。

複数の特定のツールやソフトウェアを一つのフローで連携させて、より複雑な作業をシンプルにおこなえます。

例えば、Googleの検索エンジンを使用して情報を収集し、その後Pythonのプログラムを使ってデータをグラフ化できます。できたグラフを適切に調整することも可能です。

「Agents」を活用すれば、複数のツールを個別に操作する手間を省けます。データの収集から処理までの流れがスムーズになり、時間の節約が可能です。

「Agents」の活用により、通常であれば手間となるツール間の連携やデータのやりとりを、一元的に管理・操作できます。ユーザーは効率的に作業をおこなえ、質も向上できるのです。

Memory:対話履歴の保持

「Memory」は、過去の返答や活動の履歴を維持し、後から再利用できる機能です。

通常、ChainsやAgentsなどのモジュールを使用した際、その状態は保存されません。特に、ChatGPTのような会話モデルを使う場面で、各問いかけは互いに関連性がなく独立しています。

ユーザーとの以前のやりとりを元に次の返答を作りたい場合、通常の状態ではその前の情報は利用できません。しかし、Memoryを使えば、過去の会話の内容を基に新しい回答を生成します。

「Memory」機能は、一度得られた情報や回答を無駄にせず、再利用可能です。ユーザーとの連続したやりとりができ、より質の高いコミュニケーションがとれます。

通常の会話モデルの利用だけでは、前回のやりとりの内容を持ち越すことができません。したがって、連続性のある対話が難しいです。

Memory機能はこの問題を解決し、よりリアルタイムでの自然な会話を実現します。

Langchainを使った開発の流れ

LangChainを使った開発は以下の流れでおこないます。

  • 業務ヒアリング
  • 要件定義・設計
  • プロンプトテンプレートの作成・検証
  • ワークフローの構築
  • 学習元データの準備・整形
  • ベクターストアの構築
  • LLMとの連携・検証

それぞれの流れについて解説します。

業務ヒアリング

業務ヒアリングは、AI開発の企画段階で課題の特定と目標設定をする重要な工程です。

ビジネスの現場で直面している問題を明らかにし、AIを活用してどう改善していくかを明確にします。そのためにヒアリングは必須です。

例えば、売上向上を目指している企業が、「20%の売上増加」を目標にしたと仮定します。現在の売上データや顧客の購買傾向などの情報をもとに、どのようなAI技術を取り入れるべきかを考えましょう。

ヒアリングをしっかりおこなえば、AI開発の方向性を明確にし、予算や期間内で最大の効果を得られる可能性が高いです。無駄な投資を避け、事業の効率を高めるための正確な計画を立てることができます。

要件定義・設計

要件定義は、目標や要望を具体的な計画へと変換する作業です。

事業やプロジェクトを成功へと導くためには、初期段階で正確な方向性を持つ必要があります。経営陣や最終ユーザーの意向を把握し、具体的な開発内容に変換する役割が要件定義です。

例えば、建物を建てる際、「どんな部屋が必要か」「どれだけの広さが必要か」など、細かい部分まで設計することを想像してください。要件定義も同様に、プロジェクトの基盤となる部分を詳細にまとめます。

要件定義をしっかりおこなうことで、開発の全体像が明確になり、無駄な時間やコストを減少できます。要求と予算の調和もはかれ、効果的なプロジェクト推進が期待できるのです。

開発プロジェクトの初期段階での要件定義は、その後の進行や成果物の質に大きく影響します。計画的に取り組めば、全体の効率アップにつながります

参考記事:システム開発の「要件定義」とは?進め方やコツを解説

プロンプトテンプレートの作成・検証

プロンプトテンプレートは、特定の反応や情報をAIモデルから引き出すための質問や指示を形式化するものです。成功の鍵となるこのステップは、高品質な応答を得るための基盤を築く役割を果たします。 

プロンプトテンプレートの正確な設計は、AIの応答の質を大幅に向上させます。例えば、AIモデルに対して「XXの詳細を教えてください」と指示すると、具体的な情報が返される可能性が高いです。

ユーザーは、期待する情報を簡単かつ迅速に受け取れるため、時間の節約と効率化が期待できます。

プロンプトテンプレートの作成と検証のプロセスは、目的に応じた最適な応答を得るための基盤を築くものです。プロセスを適切に実施することで、AIモデルの出力の精度と効率化につながり、ユーザーエクスペリエンスを向上させられます。

ワークフローの構築

ワークフローの構築とは、業務プロセスを効率化し、作業の流れを明確にするための手法です。効率的なワークフローは、業務の進行をスムーズにします。

ワークフローの適切な構築は、業務の効率向上の鍵です。明確なワークフローは、作業者の混乱を減少させ、ミスのリスクを低減します。

ワークフローの構築は、業務の複雑さや変動を考慮に入れ、それに応じて最適な作業手順や流れを設計しましょう。作業者は明確な指示や方針のもとで、迅速かつ的確に業務を遂行できます。

学習元データの準備・整形

AIの効果を最大限に引き出すには、適切な学習元データの準備が欠かせません。

以下のプロセスを経て準備しましょう。

  1. 適切な情報源からデータを収集
  2. データを解析しやすくするため、一貫性のある形式に変換

上記のプロセスを経て、AI学習の環境を整える土台が完成します。正確な学習結果を得るため、データの質と整形の工程は非常に重要です。適切に準備されたデータを用いて、AIの精度を上げていきましょう。

ベクターストアの構築

ベクターストアとは、テキストやコードなどの膨大なデータや各単語や文書を数値ベクトルに変換し、保存するデータベースです。ベクトル化されたデータは、類似度検索や自然言語処理などのさまざまなアプリケーションで活用可能です。

ベクターストアの構築は、以下の流れでおこないます。

  • データ収集:ベクトル化したいデータを集めます。テキストなら、Webサイトや書籍。コードなら、ソースコードなどの形式で収集します。
  • データ加工:収集したデータは、ベクトル化前に加工が必要です。例えばテキストなら、HTMLタグや記号などの不要な情報を除去します。
  • ベクトル化:加工したデータを、ベクトル化します。
  • ベクターストアへの保存:ベクトル化されたデータは、ベクターストアに保存。

ベクターストアを構築すれば、高速な類似度検索や自然言語処理の精度向上などのメリットが得られます。

LLMとの連携・検証

LLMとの連携・検証は、AI技術を効果的に活用する過程で必須となります。LLMとの連携はAIの性能を最大限に発揮させます。

連携の理由は、社内環境に合わせた最適化が可能だからです。例えば、独自のシステムを持つ企業では、その特性を考慮したAIの適用が不可欠です。

ユーザーは、連携後の本番環境でのAIの高い精度と効率的な運用が期待できます。運用中のフィードバックをもとにした学習や新たなAIモデルの開発を進めて、継続的な精度向上へつなげます。

なお、生成AIの開発について知りたい方はこちらをご覧ください。
生成AI開発のベストな環境の作り方!エンジニアが開発の流れを解説

Langchainを使った開発の費用相場

LangChainを使った開発の費用相場は2種類あります。

  • プロトタイプ開発
  • ソリューション開発

プロトタイプ開発は、社内用に適した小規模プランです。費用は120万〜160万円/月で、期間は2〜4ヶ月です。

ソリューション開発は、社外用の大規模プラン。費用は開発期間によって変わります。したがって、ご相談いただければお見積りを出させていただきます。期間は4ヶ月〜です。

なお、生成AIツールの開発費用相場について知りたい方はこちらをご覧ください。
生成AIツールの開発費用相場を詳細に解説!コストを削減する2つの方法も紹介

Langchainの開発事例3選

LangChainの開発事例について3つ紹介します。

  • 多数のPDFの内容を即座に理解
  • LangChainの特長を利用したアプリ制作
  • コマンドや検索機能を活用した調査タスクの自動処理

それぞれ詳しく解説します。に理解を紹介します

多数のPDFの内容を即座に理解

LangChainによって、数多くのPDF文書の中から、求める情報を速やかに引き出す事例を紹介します。

ChatGPTとLangChainの組み合わせが重要です。最初に、PDFからの情報収集がおこなわれ、得られたテキストはいくつかのセクションに分けられます。続いて、LangChainの機能を駆使して、各テキスト部分の間のつながりを示すベクトル情報が作成されます。

作られたベクトル情報は、ChatGPTによって活用され、ユーザーの質問に対して、関連する情報をPDFから即座に取得が可能です。

LangChainの特長を利用したアプリ制作

LangChainとChatGPTの組み合わせで、専門的なコーディングスキルなしでデータ分析がおこなえます。したがって、容易に新しいアプリ制作が可能です。

アプリを使用する際、ユーザーは単に自然な言葉で指示を与えます。指示を与えるだけでデータ分析の流れを始めから終わりまでスムーズに進められます。

初期の前処理ステップからデータセットの整備、そして分析結果の視覚化まで、ユーザーにとって手間のかからない形での分析が可能です。

例えば、データの特定の傾向や変動を知りたい場合、簡潔な言葉で問い合わせます。問い合わせると適切なデータセットの準備や分析結果の視覚化までを一気に実行できます。

LangChainは大規模言語モデルの有効活用を推進しており、データ分析をもっと身近に、そして手軽にしたい多くのユーザーにとって、大きなメリットです。

コマンドや検索機能を活用した調査タスクの自動処理

LangChainを使うと、公にアクセス可能な情報を取得する際の手動の作業を劇的に効率化できます。サイバーセキュリティ業界の影響は計り知れません。

公開されている情報を使っての調査、略してOSINTは、Linuxの指令の適用やGoogleでの調査を中心とした技術を駆使して情報を取りまとめる方法です。このプロセスは通常、手間と時間を多く取ります。

そんなときこそLangChainの出番です。ユーザーが簡単な日本語で指示を与えるだけで、LangChainはそれを適切なLinuxの指令やGoogleの調査クエリに変換。情報の収集や分析を自動的に進めてくれます。

結果として、LangChainの導入により、公開情報の調査プロセスがスムーズになり、迅速かつ正確な情報の収集が実現できます。

参考記事:LangChainの活用事例5選

弊社のLangchain開発実績

弊社は開発する際に、LangChainを頻繁に使用しております。

例えば、ここで紹介させていただく自律型AIエージェントはLangChainを使って開発しています。

AIと対話をするだけで業務フロー図の作図や、マニュアル作成、要件定義を半自動で行うことが可能です。

これにより、全体の工数を(この例の場合)50%以上削減することができます。

今後ITエンジニアが不足すると言われる中で、上流工程を担当する人は特に不足していくと思われます。IT業界の方や、社内DXを行う方にとって有用な事例になればと思います。

こちらがGPT-4が生成した業務フロー図(病院システムの例)になります。

LangChainを使った開発に興味がある方には、まずは無料相談をご用意しております。
こちらからご連絡ください。

まとめ:LangChainで業務を効率化させよう

LangChainは、大規模言語モデルを核とした先進的な技術を持つツールです。

LangChainの機能には、自然言語処理技術を活用した情報抽出や、ユーザー指示に基づく自動タスク処理が含まれます。

開発の流れは、LangChainの機能を最大限活用しながら、ユーザーの要求に合わせてカスタマイズして進めましょう

LangChainを使った開発の費用は変動します。なぜなら、具体的な要求やカスタマイズの度合いによって異なるからです。

LangChainへの投資価値は数々の成功事例で証明されています。例えば、PDFの内容の瞬時な理解や、コマンドや検索機能の自動処理など、多岐にわたります。

実績を見ても、LangChainはビジネスの多様なシーンでの応用が期待されるツールです。データ解析や自動処理タスクの効率化のためにLangChainをとりいれてみてはいかがでしょう。

興味のある方はぜひ弊社までお問い合わせください。

サービス紹介資料

生成系AIの業務活用なら!

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最後に

いかがだったでしょうか?

弊社では

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まずは、「無料相談」にてご相談を承っておりますので、ご興味がある方はぜひご連絡ください。

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投稿者

  • Hiromi Sai

    ChatGPTメディア運営 / テクニカルライター リベラルアーツ専攻。大学休学中は、Webマーケティング会社のマネージャーとしてライター、ディレクター100名のマネジメントをする。南米のチリとタイでの長期居住歴を持つ。

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