生成AIはプロジェクトマネジメントでどう活用する?活用術5選を徹底解説!

生成AI プロジェクトマネジメント 活用術 5選

プロジェクトマネージャーのみなさん、エクセルやパワポだけでなくAIも活用していますか?イオン銀行など各社で、AIを使ったマネジメントの自動化が進んでいます!

もし現段階でAIが使いこなせていないなら、あなたが請け負うプロジェクトの過半数は失敗に終わってしまうでしょう……

スタンディッシュ・グループの研究によると、時代おくれのITツールのせいで、プロジェクトの65%が頓挫しているとのこと。マネジメントにも革新的なAIを取り入れていかなくてはいけません。

そこで当記事では、Harvard Business Reviewの論文「AIはプロジェクトマネジメントをどう変えるか」を参考に、AI時代のプロジェクトマネジメントの形態を紹介。AIの活用方法や必修のスキルも取り上げています。

最後まで読むだけで、AI時代に向けた「具体的な対策」がとれるようになります。

目次

プロジェクトマネジメントにおける生成AIの活用術5選(プロンプト付き)

プロジェクトマネジメントでは、以下のシーンで生成AIを活用できます。

  • プロジェクト計画書のドラフト作成
  • タスク分解とWBS(Work Breakdown Structure)の草案作成
  • リスクの洗い出しとリスクマネジメント案の提案
  • 提案のためのプロトタイプ作成
  • プロジェクト進捗報告の要約・文章化

それぞれの活用方法と具体的なプロンプト例をご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

プロジェクト計画書のドラフト作成

プロジェクト計画書は、目的・スコープ・スケジュール・体制などを整理し、関係者と共通認識を持つための「設計図」のような資料です。特に立ち上げフェーズでは、計画の説明や承認を得るために欠かせません。

しかし、白紙から構成を考えて文書化するには、情報整理力とドキュメントスキルの両方が必要となり、時間もかかります。ここで生成AIを活用することで、計画書の「たたき台」を素早く作成できるというわけです。

プロンプト例

新規ECサイト開発プロジェクトの計画書のドラフトを作成してください。プロジェクトの目的、スコープ、体制、主なマイルストーンを含めてください。

実際に生成されたプロジェクト計画書のドラフトがこちらです。

箇条書きや表などを使いながら、見やすい形でまとめられていますね!

タスク分解とWBS(Work Breakdown Structure)の草案作成

WBS(Work Breakdown Structure)とは、プロジェクト全体の作業を階層的に分解して整理する手法を指しています。プロジェクトの全体像を把握しやすくなり、タスク漏れや見積もりミスを防ぐうえでも有効です。

生成AIを使えば、プロジェクト概要を伝えるだけで主要なタスクをフェーズごとに自動で整理してくれるため、初期案作成の時間を大幅に短縮できます。

プロンプト例

社内向け業務支援アプリ開発プロジェクトのWBSを作成してください。フェーズごとに主要なタスクを階層構造で整理し、開発・テスト・リリースまでの流れを含めてください。

実際に生成されたWBSがこちら。

プロジェクトを進めるうえで必要なタスクが、しっかり段階的にまとめられていますね!

リスクの洗い出しとリスクマネジメント案の提案

プロジェクトには、納期遅延・品質不良・リソース不足など、さまざまなリスクが潜んでいます。これらを事前に洗い出し、対策を講じておくことで、トラブル発生時の被害を最小限に抑えることが可能です。

なお、生成AIを活用すれば、プロジェクトの概要を入力するだけで、想定されるリスクとその回避・緩和策をリストアップしてくれます。リスク管理計画のたたき台として有効です。

プロンプト例

中規模の業務システム刷新プロジェクトにおいて想定される主要なリスクと、それぞれの対策案を表形式で提案してください。

それぞれのリスクとその対策が表形式でわかりやすくまとめられていますね!

提案のためのプロトタイプ作成

クライアントや社内関係者への提案時には、完成イメージを具体的に伝えるためにプロトタイプが必要です。実際の機能を備えていなくても、操作画面や画面遷移の雰囲気が伝わるだけで、合意形成がスムーズになります。

生成AIは、画面構成案や画面コピーの草案、UIワイヤーフレームの設計方針などを素早く提示できるため、初期プロトタイプの作成支援に役立ちます。

プロンプト例

社内の申請業務を効率化するためのWebアプリについて、ログイン後のダッシュボード画面の構成案と、主なUI要素の説明を提案してください。

実際にできたプロトタイプがこちらです。

出力された構成案は、HTML形式などのお好みの形式に出力し直せます。

プロトタイプ作成を効率化したい方は、ぜひ真似してみてください。

プロジェクト進捗報告の要約・文章化

プロジェクトの進行状況を関係者に伝えるには、定期的な進捗報告が欠かせません。ただし、タスクの進捗や課題の発生状況を毎回整理し、簡潔にまとめる作業は手間がかかるうえ、伝え方にも注意が必要です。

そこで生成AIを活用すれば、箇条書きの情報や進捗ログから報告文を自動で要約・整形でき、定型レポートの作成や報告メールの文面作成が効率化されます。

プロンプト例

以下の情報をもとに、プロジェクトマネージャーがステークホルダーに提出する週次進捗報告書の文章を作成してください。

開発フェーズ:第3週目(全6週)

完了タスク:画面設計(100%)、API設計(90%)

遅延タスク:外部システム連携(進捗40%、本来60%)

課題:仕様変更の影響により外部システムとの連携要件が変更

今後の対応:今週中に再設計とベンダー確認を行う予定

実際に作成された進捗報告がこちらです。

箇条書きで指定した内容がしっかり盛り込まれていますね!

現在と生成AI時代のプロジェクトマネジメントの違い

まずはプロジェクトマネジメントの「現在」と「生成AIが普及した時代」とで違う点を5つ、以下の表で大まかにみていきましょう。

スクロールできます
現在生成AI時代
プロジェクト計画の立案・策定将来性の見積もりから打ち合わせまで時間がかかる瞬時に成功が見込める計画を選出、続々とプロジェクトが立ち上がる
プロジェクトチームの編成・管理「学び直し」でチームをAIに適応させる
プロジェクトの管理予定変更からフィードバック収集まで人力で行う予定変更からフィードバック収集までAIで自動化、アジャイルな進行ができる
評価及びレビュー先入観が混じる評価・レビューのため、振り返る項目が限られる異なる項目を横断しながら大局的な振り返りが可能で、先入観が混じりにくい
AIへの深い理解AIの得手不得手、AI倫理への理解が求められる

生成AIの導入に伴い、プロジェクトマネージャーの業務内容は激変します。

まず本来プロジェクトマネージャーが担っていた、プロジェクトの計画立案・管理・振り返りについては、AIによる自動化が普及。人間の手を介したプロジェクトマネジメントが、ほぼ不要になります。

ただAI時代からはプロジェクトチームの編成・管理、つまり「対人のマネジメント」が業務の中心に。さらに新しいビジネスツールである、AIへの深い理解も求められてくるのです。

ここからは、上表で示した5つの変化について、より詳しく解説していきます。

プロジェクト計画の立案・策定

AIが普及した時代では、次々と新規プロジェクトの立ち上げが行われるでしょう。人力で計算せずとも各プロジェクト計画案の将来性が把握でき、現在と比べて軽いフットワークで有望なプロジェクトから始められるのです。

まずAIなら人間を圧倒する処理速度で、プロジェクト開始に要するリソースや新規プロジェクトの成功率が見積もれます。さらに各プロジェクト計画に対し、開始の優先順位を自動決定。打ち合わせの手間が省けます。

次いで人間による計画立案・策定とは違って、先入観なく意思決定してくれるのもAIの魅力。従来なら日の目を見なかったプロジェクト計画が、AIによって再評価されるかもしれません。※1

プロジェクトチームの編成・管理

AIが普及するにつれて、プロジェクトチームでもAIを使った業務が当たり前になっていきます。とはいえ現状、スプレッドシートやスライドしか扱えないプロジェクトチームがまだまだ多いのも事実です。

そこでAI時代を前に、メンバー全員に「学び直し」の機会が必要不可欠。さらにプロジェクトマネージャーについては、メンバーの「ITでの苦手分野」を熟知して対策を講じなくてはいけません。

じつはもうすでに、AI時代に先んじて社員の学び直しを推進している企業もあります。例えば空調メーカーのダイキン工業は「ダイキン情報技術大学」を始動。若手年配関係なくAI人材の育成に励んでいます。※2

プロジェクトの管理

AI時代にはプロジェクトの方向転換が、より容易になるでしょう。例えば現在普及が進む「アジャイル型」のプロジェクトは、AIの導入によって管理体制が万全となります。

まずAIならリスクの予測が瞬時に可能。そして具体的なリスク対策をスタッフに提案してくれます。さらに技術発展の速度によっては、今後「プランを自動調整してくれるAI」も期待できるでしょう。

また予定変更がつきものの「アジャイル型」プロジェクトは、AIとの相性が抜群。フィードバックの収集から関係者への変更の周知まで、AIなら自動化が可能です。AI時代には「アジャイル型」が、プロジェクトの標準仕様になってくるでしょう。※1

評価及びレビュー

AI時代になると実行中のプロジェクトは規模の大小問わず、高度な評価・レビューが受けられるでしょう。

まずAIならシステムやソフトウェアのテストから、スタッフのヘルスチェックまで、振り返りの自動化が可能。すでに海外ではAIによる自動化が進んでいて、システム効率・コスト効果の改善が実証されています。

例えばイギリス・ロンドンの地下鉄「エリザベス線」では、入り乱れる路線と電車の管理にAIを導入。年中無休で厳正な安全テストを実現しています。

またAIならプロジェクトの総合的・大局的な振り返りが可能です。項目の異なるチェックリストを横断しながら、先入観のない評価・レビューを提供してくれるでしょう。※1

AIへの深い理解

AI時代のプロジェクトマネージャーは、人材の管理にはあまり労力を割きません。それ以上にAIをうまく活用しながら、プロジェクトの改善に勤しむことになるでしょう。

したがってこれからのプロジェクトマネジメントには、AIの知識が欠かせません。

まず「AIにできること/できないこと」を熟知していないと、根本の課題設定が不可能。「AIは何かすごいことができる」など漠然とした理解では、プロジェクト計画の立案すら難しいのです。

さらに学習データに潜む「文化的な偏見」への理解も必要。コンプライアンスを遵守しながらAIを活用するためには、このような「AI倫理」も学ばなくてはいけません。※1

ちなみに学習データの管理・加工にはデータベースが必要不可欠。そのデータベースだけでも、いくつかの種類に分かれています。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

プロジェクトマネジメントにおけるAIの活用事例

ここからは、プロジェクトマネジメントにおけるAIの活用事例を5つ紹介していきます。

各活用事例は「Harvard Business Review」の内容を参考にするだけでなく、日本国内での事例もいくつかピックアップ。海外の論文を読むよりも、AI活用の感覚が容易に掴めるはずです。

プロジェクトポートフォリオ管理の最適化

プロジェクトポートフォリオ管理(PPM)にAIを導入すれば、各プロジェクトについて段取りを考える手間が省けます。AIは「プロジェクトの優先順位付け」に長けており、人間よりも迅速な意思決定が可能なのです。

まずAIを使えば、「成功の見込めるプロジェクト」や「今すぐ開始可能なプロジェクト」が容易に特定できます。実例を挙げると「スガキコシステム株式会社/スガキヤ」や「春日井製菓株式会社」ではノーコードAIツール「UMWELT」を導入。生産計画の立案から在庫管理まで自動化を進めているのです。※3

さらにAIなら先入観なく、事実ベースでの意思決定が可能。都合の悪い情報を無視する「確証バイアス」が生じません。

プロジェクトマネジメントオフィスのサポート

プロジェクトの円滑な進行には、それを補佐するプロジェクトマネジメントオフィス(PMO)が欠かせません。このPMOにAIを導入すれば、各プロジェクトに対するバックアップ体制が強化できるでしょう。

AIなら各プロジェクトに対する監視体制が強化可能。プロジェクトの進捗やコンプライアンス遵守など、AIが自動できめ細かなチェックを実施してくれるのです。

例えば国内だと「株式会社イオン銀行」が、FRONTEOの「KIBIT」を使ってコンプライアンスチェックを自動化しています。※4

またAIは、PMOの業務に対するアシストも可能。フィードバックの収集・ステークホルダーの分析・リスク評価など雑多な業務を代行してくれます。

リスクマネジメントの効率化

AIなら人間が見落とすようなリスクも検出可能。さらには具体的なリスク対策まで示してくれます。近い将来プロジェクトマネージャーに代わって、AIが行動計画の調整を担うでしょう。

まずリスクを洗い出すには、ユーザーからのフィードバックや現場の行動計画など、データが必要。AIならそれらの収集を自動でこなしてくれます。

さらにAIなら明確な基準がない「リスク因子」の特定も可能。先入観を挟まず、過去のデータだけを参照にリスクを洗い出してくれます。

また将来的に生成AIの技術が発展すれば、行動計画の調整まで自動化していくでしょう。ユーザーや現場から集めたリアルタイムの声をもとに、AIがより安全な行動計画を生成してくれるのです。※5

プロジェクトマネジメント用AIアシスタントの出現

プロジェクトマネージャーと現場スタッフの間に生成AIを挟むだけで、スムーズな進捗管理が実現できます。

まずプロジェクトマネージャー側はAIを活用することで、適切なタスクの割り当てが可能に。例えばGPT-4を搭載した「PMOtto.ai」は人間の出した無茶なタスク案に対して、現場のキャパシティを踏まえた代替案を出してくれます。※6

そして現場側もAIを活用すれば、音声やチャット経由でスピーディーにタスクの進捗報告が可能に。実際「Oracle Project Management」など、現場でのAI活用が進んでいます。※7

テストの効率化

AIを導入すればプロジェクトの規模を問わず、複数のシステム&ソフトウェアに対して事前のテストが可能です。AI時代では中小・ベンチャー企業でも大企業と同等の検証を経て、サービスがリリースできているでしょう。

なお現状として、全テストの自動化までは実現していません。ただソフトウェアのGUI(グラフィカルユーザインタフェース)については、AIによる操作テストが実用化済みです。

その実例としては、TechMatrixのUIテスト自動化ツール「Ranorex」が挙げられます。Ranorexなら、デスクトップアプリ・Webアプリ・モバイルアプリに対して画面上での検索やマウス操作などの「パフォーマンス測定」が可能です。※8

AIによる業務効率化は日進月歩。新たなAIツールが出てきては、SNSで「バズって」います。詳しくは以下の記事をご覧ください。

生成AI時代のプロジェクトマネージャーに求められること

ここからはプロジェクトマネージャーに向けて、「生成AI時代に欠かせないスキル」とその「身につけ方・身につけるべき分野」を紹介していきます。

AIを活用して単純作業を自動化するには、当然その知識が必要です。

ただAIの知識だけでは不十分。単純作業に反比例して増える「対人業務」を円滑に遂行するスキルが求められてくるのです。

したがって以下、生成AI時代のプロジェクトマネージャーに欠かせないスキルを4つピックアップ。まずは基本の基本、「AIへの深い理解」から詳細をみていきましょう。

AIへの深い理解

プロジェクトマネジメントにAIを取り入れるなら、「AIの得手不得手」や「学習データの扱い方」については最低限必修。この2つへの理解が欠けていると、AIが「コンプライアンス違反」や「ハルシネーション」を起こしてしまうかもしれません。

まずAIは「人間にもできる作業」を素早くこなすのが得意。ですが作業の意味を全く理解していません。したがって人間による、適切な課題設定が必要不可欠なのです。※9

さらにAIを形作る「学習データ」についても、扱い方を学ばなくてはいけません。例えば商用利用の場合は10万件を超えるデータに対して、ラベリングや外れ値の除去など適切な加工が求められます。※10

こうしたAI活用に関する知識を体系的に学びたい方には、「人工知能プロジェクトマネージャー試験」の受験も選択肢のひとつです。この試験では、AI技術そのものに加え、AI導入プロジェクトの企画・実行・ガバナンスなど、マネジメント視点での知識が問われます。

AIを安全かつ効果的にプロジェクトに導入するために、こうした資格を通じて基礎から学ぶのも有効です。

ソフトスキル

AIの導入に伴って、プロジェクトマネージャーは今まで以上に複雑な業務に取り組むこととなります。したがってAIの知識などハードスキルだけでなく、経験知つまり「ソフトスキル」も身につけなくてはいけません。※11

ただ「ソフトスキル」と呼ばれるものは、コミュニケーション能力や問題解決力など、多岐に渡ります。※12

その中で1つだけを挙げるなら、企業文化を上手に伝える「ストーリーテリング」のスキルが最重要。プロジェクトを円滑に進めるためには、企業の良い文化・理念を伝えて現場スタッフを感化する必要があるのです。

一例を挙げるとスタッフ全員が企業文化に愛着をもつだけで、コンプライアンス違反が防げます。

リーダーシップ能力

各プロジェクトの保守・管理、つまり「マネジメント」はほぼAIで代替可能。したがってAI時代のプロジェクトマネージャーには、他者を巻き込んで組織を成長させていく「リーダーシップ能力」のほうがより求められます。※13

AI時代に必要なリーダーシップは決して「他者に指示を出して管理するもの」ではありません。むしろその逆で「他者を手助けして、自主性を発揮してもらうもの」となります。

そこで1つ身につけたいリーダーシップの要素が、相手の話を共感・肯定しながら聞く「傾聴力」です。他者を巻き込むには、相手との信頼関係が肝要。普段から相手の話に耳を傾け、適宜手助けができるプロジェクトマネージャーになりましょう。

戦略的思考

ロングスパンで物事を考えていく「戦略的思考」も、成長を重んじるプロジェクトマネジメントには欠かせません。この戦略的思考の具体的な手法はさまざまですが、当記事では「SWOT分析」を紹介します。

「SWOT分析」は、自社の内外からプラス要因とマイナス要因を洗い出す分析手法。列挙した各要因を以下の表に当てはめるだけで、「社内の何を変えるべきか」や「社外の何が利用できるか」などが理解できます。※14

プラス要因マイナス要因
内部環境Strength=強みWeakness=弱み
外部環境Opportunity=機会Threat=脅威
  • 内部環境|自社内のコントロール可能なものごと/人材・商品・サービス
  • 外部環境|自社外のコントロールできないものごと/社会・市場・競合他社
  • 強み(S)|自社の長所
  • 弱み(W)|自社の短所(改善すべき箇所)
  • 機会(O)|自社に好ましい社会・市場の変化
  • 脅威(T)|自社に悪影響をもたらす社会・市場の変化

またリソースが概算できる「フェルミ推定」や、細かな戦術まで考えられる「マインドマップ」など、学ぶべき手法はほかにもあります。どの業務にも活かせるので、AI時代に関係なく身につけておきたいものです。

生成AI時代のプロジェクトマネジメントチェックリスト

ここからはプロジェクトマネジメントに携わるみなさんが「どこまで生成AI時代への備えができているか」をチェックしていきます。

以下にHarvard Business Reviewから引用したチェックリストを掲載。当てはまる箇所にチェックを入れて、リスト下部の結果をみてみましょう。※15

AI時代に向けた準備のチェックリスト(引用)

  • 最新ステータスの更新を含め、全てのプロジェクトの正確な一覧を作成する時間を取ることはできるか。
  • プロジェクトのデータを収集し、クリーニングし、構造化するためのリソースに数カ月間の投資ができるか。
  • 月例の進捗状況報告書など、旧来のプロジェクトマネジメントの習慣を捨てる覚悟はあるか。
  • プロジェクトマネジャーたちにこの新しいテクノロジーをトレーニングするという投資の準備はできているか。
  • プロジェクトマネジャーたちはこれまでの安全地帯を離れて、プロジェクトの管理方法を根本的に変えることに前向きであるか。
  • 新しいテクノロジーを受け入れて採用し、リスクの大きい意思決定においてもテクノロジー主導で実施する覚悟が組織にあるか。
  • このテクノロジーが組織のためによりよいパフォーマンスを学習する間、誤りを許容する覚悟があるか。
  • プロジェクトマネジメントにAIを適用するという、このプロジェクトのエグゼクティブスポンサーは、組織の中で変革を主導する能力と信用を有しているか。
  • 上級リーダーは、自動化のメリットが目に見えるようになるまで、数カ月から1年間は待つという意志を持っているか。
引用:AIはプロジェクトマネジメントをどう変えるか

チェックリストの結果確認

  • チェックの数が9個 → AI時代への準備は整っています。これからも気を抜かずにソフトスキルやリーダーシップを磨いていきましょう。
  • チェックの数が7〜8個 → AI時代への準備がまだ済んでいません!チェックがなかった箇所を改善してから、AI導入・DXに取り掛かりましょう。
  • チェックの数が6個以下 → 準備以前に、「AI時代の肌感覚」を身につけなくてはいけません。当メディア「WEEL」の他記事を参考に、AI時代の予習をしておきましょう。

AI時代は目と鼻の先。アメリカ・中国だけでなく、日本でも「AIとの共存」に向けた戦略会議が行われています。

国内の詳しい動向は、以下の記事をご覧ください。

プロジェクトマネジメントにおすすめの生成AIツール

プロジェクトマネジメントで生成AIを利用するなら、以下ツールの導入がおすすめです。

  • ChatGPT
  • Gemini
  • Copilot
  • ClickUp
  • Asana

以下では、ツールの概要や具体的な活用方法まで、詳しく紹介していきます。

ChatGPT

参考:https://openai.com/ja-JP/chatgpt/overview/

ChatGPTは、OpenAIが開発したチャット型のAIツールです。自然言語での対話を通じて、文章の生成・要約・アイデア出し・プログラミング支援など、幅広い業務に対応できます。

プロンプト次第で柔軟な対応ができるため、プロジェクト計画書のドラフト作成や、会議議事録の要約、アイデアブレストのファシリテーションにも活用可能です。

特にプロジェクトマネージャーが資料作成や進捗報告を行う際、効率よくアウトプットを得る手段として使えます。

Gemini

参考:https://gemini.google.com/app?hl=ja

Geminiは、Googleが開発したマルチモーダルなAIツールです。テキストだけでなく画像やコードなどの処理にも対応しています。

Google Workspaceとの連携にも強みがあり、GmailやGoogle Docs、Google Sheetsと統合した業務支援が可能です。

プロジェクトマネジメントでは、進行管理の自動レポート化、Googleカレンダーとの連携によるスケジュール調整支援、Googleスプレッドシートでのデータ分析補助などに活用できます。

Copilot

参考:https://copilot.microsoft.com/chats/BJtebDYWX4jG9SKwHT7DB

Copilotは、MicrosoftのAIアシスタント機能で、Word・Excel・PowerPoint・TeamsなどのMicrosoft 365製品との連携に強みがあります。

プロジェクト管理の現場では、Excelを使った進捗データの要約、Wordでの報告書作成、PowerPointでの提案資料の自動生成など、日常業務を効率化できるのが特徴です。

特にTeamsと連携することで、会議メモの要約や、アクションアイテムの抽出にも役立ちます。

ClickUp

参考:https://clickup.com/

ClickUpは、タスク管理・ドキュメント作成・目標管理などを一元化できるオールインワン型のプロジェクト管理ツールです。

AIアシスタント「ClickUp AI」を搭載しており、会議メモの要約、ステータスレポートの自動生成、ドキュメントの構成提案などを支援します。

プロジェクトマネジメントにおいては、WBSの作成や進捗レポートの自動作成、メンバーとのコミュニケーション効率化に大きく貢献できます。

Asana

参考:https://asana.com/ja

Asanaは、チームのタスク・プロジェクトの進捗を可視化・管理できる人気のワークマネジメントツールです。

AI機能「Asana Intelligence」が搭載されており、タスク優先度の提案、リスクの自動検出、プロジェクトのボトルネック分析などに対応。プロジェクトマネージャーはこれを活用して、チームの負荷を可視化し、早期の問題発見と対策が可能になります。

プロジェクトマネジメントに生成AIを活用する際のリスク・注意点

生成AIは便利ですが、プロジェクトマネージャーが使用する際は、以下のようなリスク・注意点が存在します。

  • 入力内容が学習されて機密情報が漏れる恐れがある
  • 誤情報や偏った情報を生成するリスクがある
  • 人間のチェックが疎かになる恐れがある

以下でそれぞれのリスクや注意点を解説していくので、ぜひ利用前に目を通しておいてください。

入力内容が学習されて機密情報が漏れる恐れがある

商用のAIツールの中には、ユーザーからの入力を学習データとして再利用する仕様のものもあります。これを知らずに、機密情報を入力すると、情報漏洩してしまうリスクがあるため注意しましょう。

特にプロジェクトマネジメントの現場では、未発表の製品情報・外部ベンダーとの契約条件・人員配置など、外部に漏れてはならない情報を扱う機会が多くあります。

社内規定で生成AIの利用を制限する、API版などセキュリティ設定が可能な環境を使用する、個人や機密に関する情報は入力しないなど、明確なルール作りと運用が重要です。

誤情報や偏った情報を生成するリスクがある

生成AIは、大量のデータをもとに回答を生成しますが、常に正確な情報を出力するとは限りません。誤った知識や、特定の偏った視点に基づいた情報が混在することがあり、そのまま鵜呑みにすると判断ミスを招く恐れがあります。

例えば、プロジェクトマネジメント手法や工程の進め方に関するアドバイスをAIに求めた際、組織の文化や業界特性に合わない提案を受け取る可能性があります。

また、リスク評価やスケジュール見積もりなど、重要な意思決定にAIの出力を使う場合には、人間の専門的な知見による確認が不可欠です

AIの出力を参考情報として活用しつつ、最終判断は必ず人間が行うという原則を徹底することが、安全で効果的な活用につながります。

人間のチェックが疎かになる恐れがある

生成AIは便利で即応性も高いため、ドキュメント作成や分析などの業務を効率化できますが、その利便性ゆえに人間の確認や判断を省略してしまうリスクもあります。

特にプロジェクトマネジメントでは、スケジュールリソース配分リスク評価などに関して人の判断が重要であり、AIの提案を無条件に採用することは危険です。

例えば、進捗報告や会議資料の要約をAIに任せすぎると、微妙なニュアンスや現場特有の事情が抜け落ちる可能性があります。結果として、誤解を招いたり、関係者の信頼を損なったりするので注意しましょう。

AIはあくまで「支援ツール」であり、最終的な確認と判断はプロジェクトマネージャー自身が責任を持って行うべきです。使い方を誤れば、生産性を上げるどころか、プロジェクトの精度を下げる要因になりかねません。

生成AIのセキュリティリスクについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

プロジェクトマネジメントにAIを活用して「対人業務」に移行しよう

AI導入に伴うプロジェクトマネジメント業務の変化を、もう一度以下の表で振り返ってみましょう。

スクロールできます
現在生成AI時代
プロジェクト計画の立案・策定計画の将来性の見積もりから打ち合わせまで時間がかかる瞬時に成功が見込める計画を選出、続々とプロジェクトが立ち上がる
プロジェクトチームの編成・管理「学び直し」でチームをAIに適応させる
プロジェクトの管理予定変更からフィードバック収集まで人力で行う予定変更からフィードバック収集までAIで自動化、アジャイルな進行ができる
評価及びレビュー先入観が混じる評価・レビュー、振り返る項目が限られる異なる項目を横断しながら、大局的な振り返りが可能、先入観が混じりにくい
AIへの深い理解AIの得手不得手、AI倫理への理解が求められる

AIはプロジェクトそのものに対するマネジメントを、あらかた代行してくれます。各プロジェクトでは、計画段階での「予測」や実行段階での「リスクマネジメント」が自動化。さらにはプロジェクトの最終局面、アプリなどの「ソフトウェアテスト」についてもAIに任せられるのです。

ただプロジェクトマネージャーの仕事がなくなるわけではありません。対プロジェクトの業務が減る分、対人業務の割合が増えていくのです。したがってこれまで以上に、他のスタッフを巻き込む「リーダシップ能力」など人間力が求められるでしょう。

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監修者田村 洋樹

株式会社WEELの執行役員として、AI導入支援や生成AIを活用した業務改革を中心に、アドバイザリー・プロジェクトマネジメント・講演活動など多面的な立場で企業を支援している。

これまでに累計25社以上のAIアドバイザリーを担当し、企業向けセミナーや大学講義を通じて、のべ10,000人を超える受講者に対して実践的な知見を提供。上場企業や国立大学などでの登壇実績も多く、日本HP主催「HP Future Ready AI Conference 2024」や、インテル主催「Intel Connection Japan 2024」など、業界を代表するカンファレンスにも登壇している。

投稿者

  • Hiromi Sai

    ChatGPTメディア運営 / テクニカルライター リベラルアーツ専攻。大学休学中は、Webマーケティング会社のマネージャーとしてライター、ディレクター100名のマネジメントをする。南米のチリとタイでの長期居住歴を持つ。

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