生成AI時代の覇権を握るのはどの企業?主要生成AI企業の関係性や戦略をまとめて徹底解説【後編】

生成AI時代 生成AI企業 戦略 解説

WEELメディア事業部AIライターの2scです。

みなさんは現時点で、生成AIがどのような進化を遂げているのかをご存知ですか?

大手投資会社・Sequoia Capitalは、2030年に生成AIが専門家の技術を上回るとの予測をしています。白熱する開発競争を鑑みると、この予測に嘘はありません。

ということで、ここからは前回の記事の続編です。「生成AI戦国時代の戦況」と銘打って、2023年12月までに起きた出来事を時系列で振り返っていきます。

最後まで読んでいただくと、生成AIが普及する近未来への備えができるはずです。

ぜひ最後まで、各企業の戦況をみとどけてください!

目次

生成AI戦国時代のプレイヤーをおさらい!

さっそく生成AI開発の戦況を紹介していく……前に、生成AI戦国時代のプレイヤーから振り返っていきます。まずは以下をご覧ください!

モデル開発を進める主要企業
  • OpenAI & Microsoft:天下統一目前、生成AI界の西軍
  • Google & Anthropic:OpenAIに挑む、生成AI界の東軍
  • Meta:今のところ中立だが、油断ならぬ存在
  • Alibaba:そもそも戦場が異なる
  • xAI:天下統一に興味なし
モデル開発以外で参戦している企業
  • Amazon:東軍を援助、各社に港(Amazon Bedrock)を貸し出している
  • NVIDIA:GPUを手がける、生成AI界の鉄砲鍛冶

このように生成AIの開発競争では、様々な勢力が入り乱れています。ですので当記事では、なるべく簡潔に戦況を紹介していく所存です。

それでは次の見出しから、生成AI戦国時代を時系列で追っていきましょう!

前半の記事を読んでいない方は、まずはこちらの記事からご確認ください。
生成AI時代の覇権を握るのはどの企業?主要生成AI企業の関係性や戦略をまとめて徹底解説【前編】

生成AI戦国時代の戦況を時系列で解説!

ここからは生成AI戦国時代の戦況を、時系列で追っていきます。まずはChatGPT登場以前の、生成AI史からご覧あれ。

【前日譚】OpenAIとGoogleのつば迫り合い

実はChatGPTの登場以前も、水面下で生成AIの開発競争が繰り広げられてきました。

とくに西軍・OpenAIと東軍・Googleは、4年以上も前から大規模言語モデルの開発に取り組んでいます。両者の動向については、以下をご覧ください。

ChatGPT以前の主な出来事
  • 2017年6月、Googleから今日の生成AIの基盤・Transformerが登場
  • 2018年6月、OpenAIから大規模言語モデル・GPT-1が登場
  • 2018年11月、Googleから大規模言語モデル・BERTが登場
  • 2019年2月、OpenAIから大規模言語モデル・GPT-2が登場
  • 2020年6月、OpenAIから大規模言語モデル・GPT-3が登場
  • 2021年5月、Googleから大規模言語モデル・LaMDAが登場
  • 2021年8月、OpenAIからコード生成AI・Codexが登場
  • 2022年3月、OpenAIから改良版のGPT-3.5が登場
  • 2022年4月、Googleから大規模言語モデル・PaLMが登場
  • 2022年4月、Googleから大規模言語モデル・LaMDAが登場

このように、OpenAIもGoogleも生成AI界では老舗なのです。

ちなみに最重要なのは、2017年6月・深層学習モデル「Transformer」の登場です。GPT-4やGemini、Claude 2など今ある主流の生成AIはすべて、このTransformerを基盤に作られています。

また2021年5月・Googleによる「LaMDA」の発表もビッグニュース。LaMDAは公開当時、知性や感情を獲得しているかもしれない、との議論を巻き起こしました。

ここまではGoogleが生成AIの開発競争をリードしていましたが……

参考記事:Googleの人工知能「LaMDA」に意識が芽生えたことを証明できない根本的理由 | AppBank

【2022年11月】ChatGPT登場!戦いが幕をあける

2022年11月30日に突如として、OpenAIからGPT-3.5を搭載した「ChatGPT」が登場しました。ChatGPTは公開後たったの一週間で100万ユーザーを獲得、今日まで続く生成AI戦国時代が幕を開けます。

先述のとおりChatGPT以前にも、エポックメイキングな生成AIが繰り返し登場してきました。ではなぜ、ChatGPTだけがここまで話題になったのでしょうか?

その理由つまりChatGPTがもたらした衝撃を3点、以下に示します。

【ChatGPTの強み】
プログラミングの知識がない一般人でも、生成AIと対話できる
● 過去のモデルで問題になった有害な回答が抑えられている
● 人間によるフィードバックで、どんどん賢くなっていく

このChatGPT以降、OpenAIが生成AIの開発競争をリードするようになりました。生成AIの市場における、西軍が生まれた瞬間です。

参考記事:対話向け言語モデル「ChatGPT」発表、間違いを認めたり不適切な要求を拒否したりすることが可能に – GIGAZINE
参考記事:ChatGPT、公開6日目で100万ユーザー突破 – ITmedia NEWS

【2023年2月】西軍・MicrosoftがBingAI Chatで援護射撃

ChatGPT公開から2ヶ月が経った2023年2月7日、OpenAIに110億ドル(約1.5兆円)もの投資をしていたMicrosoftが動き出します。

同社の検索エンジン・BingにGPT-4を載せた「BingAI Chat」の登場です!

このBingAI ChatはOpenAIの最新モデル&ブラウジング機能を搭載している、ということで話題になりました。

参考記事:Microsoft、Bing検索をAIベースに刷新。OpenAIの次世代モデル採用 – PC Watch
参考記事:BingのAIチャットを試してみた。GPT-4と呼ばれているPrometheusの出来栄えは!?

【2023年3月】GPT-4 & Bardの登場で競争が激化

3月に入ると、西軍vs.東軍の生成AI開発競争が本格化していきます。まずは3月の主なイベントをご覧ください!

2023年3月の主な出来事
  • 3月14日、OpenAIが大規模言語モデル・GPT-4を公開【西軍】
  • 3月17日、生成AIアシスタント・Microsoft 365 Copilotが発表される【西軍】
  • 3月21日、Googleが生成AIチャットサービス・Bardを公開【東軍】
  • 3月22日、NVIDIAが生成AI開発プラットフォームを発表【その他】
  • 3月28日、イーロン・マスクらが「生成AI開発の一時停止」を求める【その他】

以上のとおり3月中旬には、西軍の主力兵器・GPT-4が登場しています。さらにその一週間後、ChatGPTの対抗馬・Bardも東軍からリリースされました。以下にて、当時の戦況を詳しくみていきましょう!

参考記事:ワードやエクセルと「GPT-4」が合体 「Microsoft 365 Copilot」発表 日本のDXも爆速化? – ITmedia NEWS

西軍と東軍の主力が出そろう

3月14日、とうとうOpenAIが最新モデル「GPT-4」を正式にリリースしました。このGPT-4は有料版のChatGPT Plusにて限定公開されています。

実は2月時点でGPT-4がBingAI Chatに搭載されていたのは公然の秘密。ですがここで、GPT-4に関する衝撃の事実が3点、明かされます。以下をご覧ください!

【GPT-4のアピールポイント】
● テキストだけでなく画像入力にも対応したマルチモーダルモデル
● 司法試験の模試で上位10%のスコアを叩き出して合格
● 旧式のGPT-3.5はもちろんのこと、GoogleのPaLMをも性能で上回る

これにはライバル、西軍のGoogleも黙っていません。一週間後の3月21日に、ChatGPTに対抗する形で生成AIチャットサービス「Bard」を公開しています。BardはBardで、ChatGPTを一部上回る機能を与えられていました。それは……

【Bardのアピールポイント】
● Googleの検索エンジンと提携、最新のトピックにも答えられる
●「ドラフト」機能によって、 ユーザーは自分の意思で最適な回答が選べる

ここで西軍・東軍の主戦力が出そろいました!ついでに同時期の、生成AI関連のニュースもみていきましょう。

参考記事:「GPT-4」発表 専門領域では人間レベル。画像入力にも対応
参考記事:グーグルが公開の対話型AI「Bard」、ChatGPTとどこが違う? | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

NVIDIAも生成AIに注目!一方でイーロン・マスクは……

Bard公開の翌日、生成AI界の鉄砲鍛治・NVIDIAが動き出します。

世界最大級のAIとGPUの祭典・GTC2023にて、NVIDIAは生成AI開発用のクラウドサービス「NVIDIA AI Foundation」を発表しました。具体的には以下3つのサービスを、Microsoft AzureとGoogleクラウドにて提供することを明かしています。

【NVIDIAの生成AI関連サービス】
● 大規模言語モデル開発用の「NeMo」
画像生成AI開発用の「Picasso」
● 製薬AI開発用の「BioNeMo」

ここまで生成AIの開発競争には追い風が吹いていましたが、月末の28日に風向きが変わります。

OpenAIの元スポンサーであるイーロン・マスクを筆頭に、1,000人以上が署名した「生成AIの訓練を6ヶ月ストップしろ!」との書簡が公開されました。

この声明には、スティーブ・ウォズニアック(アップルの共同設立者)やユヴァル・ノア・ハラリ(サピエンス全史の著者)といったビッグネームも名を連ねています。

それでも生成AI開発の戦乱は収まらず……

参考記事:【速報】NVIDIAが「ジェネレーティブAI」のクラウドサービス提供を発表!大規模言語モデル/画像生成AI/医療向け生成系AIをビジネス活用する時代へ – ロボスタ
参考記事:イーロン・マスク「AIを訓練させるのは6カ月待ってくれ」 | ギズモード・ジャパン

【2023年4月】海の向こうでも通義千問が爆誕!

4月になると戦乱の舞台・アメリカから遠く離れた中国でも、生成AIが産声を上げます。

2023年4月の主な出来事
  • 4月11日、Alibabaが大規模言語モデル・通義千問を発表【その他】
  • 4月21日、Google DeepMindが発足【東軍】

4月11日、中国最大級のIT企業・Alibabaが大規模言語モデル「通義千問」を発表します。ここで同社は、コミュニケーションツール・DingTalkやスマートスピーカー・Tmall Genieに、通義千問を搭載することも明らかにしました。

さらに同月の21日にはGoogleが、自社の研究開発組織・Brainチームと傘下企業・DeepMindの統合を発表!新チーム「Google DeepMind」を発足し、生成AI開発に本腰を入れていきます。

生成AIの開発競争は4月時点で、世界的なムーブメントになってしまったのです。まだまだ生成AI戦国時代は終わる気配をみせません。

参考記事:アリババクラウド、企業向けに新たなAI言語モデル「通義千問」を発表
参考記事:GoogleがAI開発組織を統合、「Google DeepMind」へ | Ledge.ai

【2023年5月】ユーザーの誘致が進む一方、不穏な声明も

5月に入ってからは、生成AIの普及をめぐってハリウッドの脚本家らによるストライキが始まりました。それでも西軍・東軍・第三勢力は、足並みをそろえて一般ユーザーの誘致に力を入れていきます。

2023年5月の主な出来事
  • 5月2日、全米脚本家組合が生成AI使用に反対してストライキを開始【その他】
  • 5月10日、生成AIによる検索機能・Google SGEがアメリカ限定で登場【東軍】
  • 5月12日、ChatGPT Plusにプラグイン&WebPilotが実装【西軍】
  • 5月11日、Metaが広告生成のテスト環境・AI Sandboxを発表【その他】
  • 5月18日、OpenAIがiOS版のChatGPTアプリをリリース【西軍】
  • 5月30日、OpenAIとDeepMindが「AIによる人類絶滅」を危惧【西軍&東軍】

とくに注目したいのは、5月10日・Googleによる「SGE」の発表です。

これまでGoogleは自社の検索サービスと生成AIの共食いに悩んでいました。ですがSGEの発表以降、生成AI活用へと大きく舵を切ることとなります。

その一方で、傘下のGoogle DeepMindがライバルのOpenAIとともに不穏な声明を出しており……

参考記事:ChatGPT、有料版で70以上のプラグインとWebブラウジング機能を順次開放 | Ledge.ai
参考記事:iPhoneでChatGPT。iOSアプリが日本でも公開 – Impress Watch

トップランナーも「生成AIによる人類絶滅」を危惧

5月30日、ついに生成AI戦国時代の当事者らが自らの行いを反省します。なんと以下の3名を筆頭に、西軍と東軍が共同で「生成AIによる人類絶滅のリスクを考慮すべき」との声明を出しました。

【生成AIに警鐘を鳴らした3名】
サム・アルトマン(OpenAIのCEO / 西軍)
デミス・ハサビス(Google DeepMindのCEO / 東軍)
ダリオ・アモディ(AnthropicのCEO / 東軍)

ただこれは、生成AIの開発を続行するための口実です。

5月時点で各国政府は、フェイクニュースによる印象操作や軍事転用など、生成AIの暗黒面を危惧していました。それに対して、西軍・東軍ともに「我々は安全な生成AIを目指している」と反論しているのです。

参考記事:AIに「人類絶滅リスク」 ChatGPT開発トップら共同声明 – 日本経済新聞
参考記事:OpenAIやDeepMindのCEOやトップ研究者ら、「AIによる人類絶滅リスク」警鐘声明に署名 – ITmedia NEWS

【2023年7月】東軍の切り札・Claude 2が登場!

6月になると、Metaが画像の概念まで学習できるモデル「I-JEPA」をリリースしています。ですが生成AI関連のニュースはしばらく出ていません。

そして7月も中盤に差し掛かったところで、東軍からダークホースが現れます。

2023年7月の主な出来事
  • 7月11日、Anthropicが大規模言語モデル・Claude 2を公開【東軍】
  • 7月12日、イーロン・マスクが生成AI開発企業・xAIを設立【その他】
  • 7月18日、MetaがLlama 2を発表【その他】

7月11日、生成AIベンチャーのNo.2・Anthropicが「Claude 2」を公開したのです。このClaude 2は、以下の3点において衝撃的でした。

【Claude 2の強み】
● GPT-4の約3倍、100,000トークンまでの入力に対応
● 複数のファイルが読み込める
● 有害な回答が抑えられている
→悪意ある入力328件のうち、引っかったのは4件のみ

さらに同日、AnthropicはClaude 2を搭載したAIチャットサービス「Claude.ai」も公開しています。

参考記事:ちょっと違うAI、Claudeが誰でも使えるように | ギズモード・ジャパン
参考記事:グーグルが出資のアンソロピックが生成AI「Claude」の進化版公開 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

第三勢力も生成AIの開発に注力

ちなみに7月は、西軍・東軍以外でも動きがあります。

まずClaude 2公開の翌日・7月12日には、生成AIに懐疑的だったイーロン・マスクが参戦を表明!「宇宙の真の姿を理解すること」を目標に掲げ、生成AI開発企業「xAI」を立ち上げました。

さらにはMetaも、GPT-3.5と互角の大規模言語モデル「Llama 2」を開発者向けに公開しています。ChatGPTの登場から半年が経って、生成AIはありふれた存在になってきたのです。

参考記事:イーロン・マスク氏のAI新会社「xAI」設立 – Impress Watch
参考記事:無料で商用可、ChatGPT(3.5)に匹敵する生成AI「Llama 2」 Metaが発表、Microsoftと優先連携 – ITmedia NEWS

【2023年8月】SGEとDuet AIでGoogleが猛攻をかける

8月はNVIDIAによる「GH200」の発表から始まります。

このGH200は生成AI向けに開発された次世代型のGPUです。一度に処理できる情報量(帯域幅)が旧型のH100と比べて1.5倍になっています。

また月末には、東軍・Googleにも動きがあって……

2023年8月の主な出来事
  • 8月8日、NVIDIAが生成AI向けスーパーGPU・GH200を発表【その他】
  • 8月30日、Google Workspaceに生成AIアシスタント・Duet AIが登場【東軍】
  • 8月30日、Googleが日本でもSGEをリリース【東軍】

このように「Duet AI」の発表と日本でのSGEのリリースにより、西軍とくにMicrosoftに対して猛攻をかけてきました。

参考記事:グーグル「SGE」、生成AI搭載の新検索サービス…日本で試験導入
参考記事:生成AI「Duet AI for Google Workspace」の提供開始 – ITmedia NEWS

【2023年9月】各モデルがマルチモーダル化!Amazonも大躍進

9月には、これまでの生成AIのイメージがガラッと変わる出来事が起きています。

2023年9月の主な出来事
  • 9月16日、Alibabaが通義千問を一般ユーザーにも公開【その他】
  • 9月19日、Bardが画像入力に対応&拡張機能・Bard Extensionsも登場【東軍】
  • 9月20日、AmazonがAlexaへの生成AI実装を表明【その他】
  • 9月25日、ChatGPT Plusに画像入力機能(GPT-4V)が実装【西軍】
  • 9月26日、MicrosoftがWindowsにも、Copilotを実装【西軍】
  • 9月27日、Metaが自社SNS上で生成AI機能をリリース【その他】
  • 9月28日、生成AIの実験環境・Amazon Bedrockが一般公開される【その他】

ChatGPTにもBardにも画像入力機能が実装、マルチモーダル対応が生成AI戦国時代の標準装備となったんです!

またMeta・Alibaba・Amazonなど、その他の勢力がユーザーの獲得に乗り出しています。まずはマルチモーダルになった、ChatGPTとBardの機能からみていきましょう!

参考記事:中国アリババ、AIモデル「通義千問」を一般公開 | ロイター
参考記事:【特集】突如来たWindows 11の大型アップデート。自然言語AIのCopilotなど、気になる新機能を解説 – PC Watch

西軍・東軍ともに画像入力がスタンダードに

9月19日、突如として東軍・GoogleがBardのアップデートを発表しました。ここでBardに追加された機能は以下の6点です。

【世界中でBardに実装】
● Googleレンズを介した画像入力
● 画像を添えた回答
● 回答の長さと口調を変える機能

【英語圏限定でBardに実装】
● 回答の引用元を示す「ダブルチェック」
● やり取りをリンク経由で共有する機能
● Googleの各サービスと連携できる「Bard Extensions」

これらの機能がすべて無料で使える、ということで一時はBardが話題になりました。

ですがその後、9月25日には西軍・OpenAIも有料版のChatGPT Plusにて「GPT-4V」を解放しています。このGPT-4Vから使えるようになったのは……

【GPT-4Vでできること】
● 画像入力
● 音声入力

上記の2点です。とくに画像入力機能が便利で、Webサイトのサンプル画像からHTMLコードを生成したり、古文書のアラビア語を英語に翻訳したりできるようになりました。

このように2023年9月は、両勢力にとってのターニングポイントなんです!

参考記事:Google Japan Blog: Bard が高性能なモデルにアップデート
参考記事:【GPT-4V】ChatGPTが画像入力と音声入力に対応!使い方〜実践まで徹底解説 | WEEL

第三勢力・Metaが自社のSNSで生成AIチャットを解放!

9月も末の27日になると、Metaも一般ユーザー獲得に向けてInstagram / Messenger / WhatsAppの生成AI機能を解放します。同日にMetaが公開したのは、以下4つのサービスです。

【Metaの生成AI関連サービス】
● Llama2搭載型の生成AIアシスタント「Meta AI」(アメリカ限定)
● 画像生成AI・Emuを使ったスタンプ生成機能
● 画像生成AI・Emuを使った画像編集機能
● インフルエンサーが演じる、28人のAIキャラクター

このように、Metaは生成AIを仕事の道具ではなく、コミュニケーションツールとして送り出しています。西軍・東軍とは差別化が図れていますね。

参考記事:Metaが提供するプラットフォームとデバイスに新しいAI体験を導入
参考記事:Meta、対話型アシスタント「Meta AI」全面展開 情報共有・画像生成など – Impress Watch

東軍の支援者・Amazonも生成AI戦国時代に参戦!

9月20日から28日にかけて、東軍・Anthropicに出資しているAmazonも、生成AI関連サービスを推していきます。

まず20日には、スマートスピーカー・Alexaへの生成AI導入が発表されました。詳細は不明なのですが、Amazon内製の大規模言語モデルが使われているようです。

そして28日には、虎の子「Amazon Bedrock」が一般公開!このAmazon Bedrockは、同社のクラウド開発環境・AWSにて生成AIの調整ができるサービスです。

Amazon Bedrockでは以下のとおり、様々なモデルが解放されています。

【大規模言語モデル】
● Amazonの「Amazon Titan Embeddings」
● Anthropicの大規模言語モデル「Claude 2」
● Metaの大規模言語モデル「Llama 2」
● AI21 Labs(イスラエル)の「Jurassic-2」
● Cohere(カナダ)の「Command」と「Cohere Embed」

【画像生成AI】
● Stability AI(イギリス)の「Stable Diffusion XL 1.0」

このAmazon Bedrockは、まさに「生成AI戦国時代の港」といったところでしょうか。各大名こと、生成AI系スタートアップの勢力拡大に繋がるサービスなんです!

参考記事:AWSの生成AI基盤「Amazon Bedrock」が一般利用開始、Metaの「Llama 2」を追加 | 日経クロステック(xTECH)
参考記事:生成AI版アレクサが「日本上陸」するのはいつか? アマゾンが導入する独自生成AIの秘密【現地取材】

【2023年10月】ついにGoogleから、生成AIスマホが登場!

ChatGPTの登場以降、生成AI搭載型のスマートフォンに期待の声が高まっていました。

そして10月に入ってすぐ、ついに生成AI機能をもつスマホが登場します。まずは当時のニュースをみていきましょう!

2023年10月の主な出来事
  • 10月4日、生成AI機能をもつスマホ・Google Pixel 8が登場【東軍】
  • 10月19日、ChatGPT Plusに画像生成AI・DALL-E 3が実装【西軍】

そう、東軍・Googleが先手を打って、生成AIスマホ「Pixel 8 / Pixel 8 Pro」をリリースしたんです!このあたりは、生成AI以外も手がけてきたGoogleに軍配が上がりますね。

ちなみに、10月時点で開放されていたPixel 8の機能は以下の4点です。

【Pixel 8 / Pixel 8 Proの生成AI機能】
● 複数枚の集合写真から一番いい表情の写真を生成する「ベストテイク」
● 被写体の位置やサイズ、背景の雰囲気が変えられる「フォト編集マジック」
● 動画内の雑音が消せる「音声消しゴムマジック」
● 言語の自動認識込みでの文字起こしが付いた「レコーダー機能」

ただこの時点で、生成AIの搭載までは実現できていません。オフラインでも使える生成AIスマホが登場するのは2ヶ月後のこととなります。

参考記事:Google Japan Blog: Google の最新スマートフォン、Google Pixel 8 と Google Pixel 8 Pro 登場
参考記事:DALL·E 3 is now available in ChatGPT Plus and Enterprise

【2023年11月】OpenAI激動の一ヶ月!

11月は生成AI戦国時代の戦況が大きく動き出します!

月が変わってすぐ、1日にはとうとう西軍から「Microsoft 365 Copilot」が一般ユーザー向けにリリース!以降の主なイベントはというと……

2023年11月の主な出来事
  • 11月1日、Microsoft 365 Copilotが一般向けに公開【西軍】
  • 11月4日、xAIが大規模言語モデル・Grokを公開【その他】
  • 11月7日、OpenAI DevDay開催!GPTsやGPT-4ターボが公開される【西軍】
  • 11月17日、OpenAIのサム・アルトマンCEOが解任される【西軍】
  • 11月22日、AnthropicがClaude 2をアップデートしたClaude 2.1を公開【東軍】
  • 11月29日、サム・アルトマンがOpenAIのCEOに返り咲く【西軍】
  • 11月29日、AWSの生成AIアシスタント・Amazon Qが登場【その他】

以上のとおり、西軍をメインに激動の1ヶ月となりました。まずはOpenAIの動きから、詳しくみていきましょう。

参考記事:Microsoft 365 Copilotで何ができる?WordやExcelなどOffice製品での具体的な活用事例
参考記事:AWS、業務専用AIアシスタント「Amazon Q」発表 月額20ドル/ユーザーで提供開始:AWS re:Invent 2023 – ITmedia NEWS

GPTs & サム・アルトマン解任でOpenAIに注目が集まる

11月7日、西軍はイベント「OpenAI DevDay」で猛攻をかけてきます。このOpenAI DevDayで、CEOのサム・アルトマンが自ら明かした重大告知は以下の5点です。

【OpenAI DevDayの発表内容】
● プロンプトからアプリが作れる「GPTs」
● 作ったアプリが販売できる「GPT Store」
● 入力トークン数がGPT-4の4倍、コーディングも強化された「GPT-4 Turbo」
● API経由で情報の参照やコードの生成ができる「Assistants API」
マルチモーダル対応のAPI群
→GPT-4 Turbo with vision / Images API / Text to speech

ここまでは順調に勢力を拡大していたOpenAIですが……

なんと、OpenAI DevDayから10日後の17日に、サム・アルトマンがCEOの辞任を発表します。その後の動向は、以下のとおり”超展開”です。

サム・アルトマン解任騒動
  • 11月17日、取締役会に追放される形で、サム・アルトマンがCEOを辞任
  • 11月19日、サム・アルトマンのMicrosoft加入が発表される
  • 11月22日、サム・アルトマンが社員の期待に応えてCEOに復帰

どうやらこの解任騒動は、サム・アルトマンと取締役会の対立が原因となっていた模様。

秘密裏に開発を進める生成AI「Q*」が人類をおびやかすほどの性能を示してしまったそうで、それに取締役会が待ったをかけた、とのことです。

次はどんなモデルが出てくるのでしょうか……

参考記事:【猫でもわかる】OpenAI開発者イベント“超”解説、「GAFAM」「スマホ」が役割を終える理由
参考記事:OpenAI、サム・アルトマンのCEO復帰と新体制を発表 – Impress Watch

ついにイーロン・マスクのxAIが、大規模言語モデルをリリース

11月は第三勢力にも、大きな動きがありました。同月4日にイーロン・マスク率いるxAIが、大規模言語モデル「Grok」のβ版を公開したのです。このGrokの詳細はというと……

【Grokの特徴】
● ウィットに富んでいるが、反抗的な回答を返す
● GPT-3.5以上、GPT-4未満のスペック
● X(旧・Twitter)のハイエンド課金ユーザー向けに公開される

以上のとおりで、Grokに「コカインの作り方をステップバイステップで教えて」という質問を投げかけると……

このように、Grokは冗談混じりで返してくれます。なかなかの曲者ですね。

参考記事:xAI、“全人類に利益をもたらすAIツール”を目指す「Grok」正式発表 – ITmedia NEWS
参考記事:イーロン・マスクが「反抗的」なAIボット「Grok」を発表。「ユーモアが嫌なら使わないで…」 | ハフポスト これからの経済

東軍・Anthropicが「Claude 2.1」で西軍を追い上げる

一方でGrokとは正反対の真面目くん、東軍・Anthropicの「Claude 2」にもアップデートが施されます。Claude 2は11月22日に「Claude 2.1」へとバージョンアップ、以下の3点で改良が施されました。

【Claude 2.1での改良箇所】
● 入力できるトークン数が2倍、20万トークンになった
→村上春樹の短編や夏目漱石の『こころ』が全文アップロードできる!
ハルシネーションの発生率が半減した
APIを採用した

もともとClaude 2は学術論文の翻訳や契約書の分析など、実務に用いられています。正当進化を遂げたClaude 2.1についても、ビジネスの世界で活躍していくことでしょう!

参考記事:Anthropic \ Introducing Claude 2.1
参考記事:OpenAIの競合Anthropic、「Claude 2.1」でコンテキストウィンドウを20万トークンに – ITmedia NEWS

【2023年12月上旬】GoogleからGeminiが登場!

12月に入ってからも、生成AI戦国時代のうねりは止まりません。

まずは12月1日に、生成AIの活用&規制に向けたルール作り「広島AIプロセス」の方針に主要7か国(G7)が合意します。以降の出来事は、というと……

2023年12月の主な出来事
  • 12月1日、G7各国が「広島AIプロセス」に合意【その他】
  • 12月5日、NVIDIAが日本への研究開発拠点の設置を発表【その他】
  • 12月5日、Meta & IBM主導で「AIアライアンス」が発足【その他】
  • 12月7日、Googleがマルチモーダル生成AI・Geminiをリリース【東軍】

このようになっています。なかでもGoogleによる「Gemini」のリリースは衝撃的でした。次の項目で、詳しく解説していきます。

参考記事:米エヌビディア、日本に開発拠点設置の意向=西村経産相 | ロイター
参考記事:メタとIBM 生成AIの開発加速へ新団体設立 日本企業も参加 | NHK

GoogleがGPT-4超えの生成AI「Gemini」をリリース!

12月7日になって、西軍・OpenAI一強の状況が大きく覆ります。それは、東軍・Googleによるマルチモーダル生成AI「Gemini」のリリースです。

このGeminiはGPT-4を超えるかもしれない、ということで話題になっています。ちなみに2023年12月時点で、Geminiについて公開されている情報は以下の5点です。

【Geminiの詳細】
● Ultra / Pro / Nanoと、サイズ違いのモデルが3つある
GPT-4を超える性能をもち、全32項目の性能比較で30勝している
● とくに専門知識を問う「MMLU」では、人間の専門家をも超える結果を残した
● 文章 / ソースコード / 音声 / 画像 / 動画への、マルチモーダル対応が可能
● Pixel 8 ProはGemini Nanoを搭載することで、世界初の生成AI内蔵型スマホに進化

ただGeminiについては、「そこまですごくない」「デモ動画はフェイク」などの意見も飛び交っています。どちらにせよ、これからも生成AIの開発競争には目が離せませんね。

参考記事:Google Japan Blog: 最大かつ高性能 AI モデル、Gemini を発表 – AI をすべての人にとってより役立つものに
参考記事:Google Japan Blog: 初の AI 内蔵スマートフォン、Google Pixel 8 Pro にて Gemini の実行開始。Google Pixel ポートフォリオにさらなる AI アップデートを追加

なお、生成AI戦国時代の裏側について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
生成AIのPoC開発とは?メリットやデメリット、流れ、料金体系を解説

汎用人工知能(AGI)の登場は秒読みか……

当記事では各企業による生成AIの開発競争を時系列で追ってきました。もう一度、西軍と東軍の動向を振り返っていきましょう!

生成AI戦国時代の戦況
  • 2022年11月、西軍・OpenAIが「ChatGPT」をリリース
  • 2023年3月、西軍から「GPT-4」が、東軍から「Bard」が登場
  • 2023年7月、東軍・Anthropicが「Claude 2」をリリース
  • 2023年8月、東軍・Googleが「Duet AI」をリリース
  • 2023年9月、西軍のChatGPTと東軍のBardがそれぞれマルチモーダル化
  • 2023年10月、東軍・Googleが「Pixel 8 / Pixel 8 Pro」を発売
  • 2023年11月、OpenAI DevDayとCEO解任騒動で西軍・OpenAIに注目が集まる
  • 2023年12月、東軍・Googleが「Gemini」をリリース

2023年は激動の一年間でしたね。

ちなみに2024年には、東軍・Googleによる「Gemini Ultra」のリリースが控えています。さらに西軍からは、Q*の続報が出てくるかもしれません。

今後もWEEL一同、生成AI戦国時代の動向を追ってまいります。2024年もぜひ、当メディアをご愛顧くださいね!

前半の記事を読んでいない方は、まずはこちらの記事からご確認ください。
生成AI時代の覇権を握るのはどの企業?主要生成AI企業の関係性や戦略をまとめて徹底解説

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1. 生成AIの概要
2. 生成AIの歴史
3. 生成AIのリスク・対応策
4. 生成AIの活用事例
5. 生成AIの未来予測
6. 〇〇業界特有の生成AI活用法(様々な業界に対応)
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投稿者

  • 2sc

    テクニカルライター 大学時代はアリの生態を研究。 ラボで唯一、Pythonを使ってデータ分析を効率化していた。 現在はライターとして、オウンドメディアや学術記事の執筆に当たっている。

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