生成AIの開発ステップを初心者でもわかりやすく解説!開発を成功させるためのポイントも紹介
WEELメディア事業部AIライターの2scです。
自社用生成AIの開発をご検討中のみなさん!生成AI開発の流れはご存知ですか?
将来的に1兆7,774億円まで市場規模が拡大するとの予測もある生成AI。(※1)そんな生成AIは、ITベンダーへの開発委託が可能です。
ただ、開発を成功させるにはクライアント側の協力も大事。当記事では、そんな生成AI開発の流れ・必要な対応を4つのステップに分けてご紹介します。
完読いただくと、生成AI開発の大まかなイメージがつかめます。ぜひ、最後までお読みください。
基本的な生成AIの開発ステップ
生成AIの開発は、クライアント企業とITベンダーの二人三脚で進んでいきます。その基本的な流れについては下記の4ステップです。
- 構想フェーズ
- PoCフェーズ
- 実装フェーズ
- 運用フェーズ
まずは、生成AI開発の各ステップについて徹底解説。以下、構想フェーズから順を追ってみていきましょう。
構想フェーズ
構想フェーズでは、どのような生成AIを開発するのか、その目標・方向性を固めていきます。具体的にはまず、下記を実施して判断材料を集めます。
- 社内の要望・課題の洗い出し
- 市場ニーズの調査
- 競合他社の動向調査
- 社内稟議・予算計画立案
そして、集めた情報をもとに「生成AI開発の必要性」を判断。生成AIを開発する意義が認められた場合は、次のPoCフェーズに移ります。
PoCフェーズ
次のPoC(Proof of Concept / 概念実証)フェーズでは、ITベンダーが主体となって、開発計画の実現可能性を探っていきます。
具体的な作業内容としては、生成AIのプロトタイプを作成して、立てた目標が達成できるかを判断するものになります。より詳細な手順は下記のとおりです。
- データクレンジング:データ中のエラー・ノイズ・欠損を除去する前処理
- 正規化:単位や表記のブレをなくす前処理
- アノテーション:データに説明・注釈のタグを添えて分類を行う前処理
- GPUの確保:計算用のハードウェアを用意する
- 開発言語の決定:Pythonが一般的
- フレームワーク・ライブラリーの決定
- 生成AIのプロトタイプ開発
- 目標達成度の評価
- 検証結果の文書化
- クライアントへの提出
- 完成したAIモデルのソースコード提出
- トランスペアレンシー(透明性)の評価
なお、PoC検証は要件定義→設計→開発→テストの試行錯誤を繰り返す「アジャイル開発」で進んでいきます。
場合によって期間・工数が増える点には、注意が必要です。
実装フェーズ
完成した生成AIのプロトタイプを業務で使えるようにするには、実装フェーズが欠かせません。この実装フェーズではまず、下記を通して生成AIとそれを活用するためのシステムを開発していきます。
- アルゴリズムの最適化
- モデルのチューニング
- ユーザーインターフェースの開発
…etc.
次に、完成した生成AI・システムをクライアント企業の業務に実装。これで開発はひと段落つきます。
運用フェーズ
生成AIの開発自体は、実装後も終わりません。最後の運用フェーズでは、開発した生成AIが当初の目的を果たせているかを継続的に評価。具体的には、下記をクライアント企業・ITベンダーの二人三脚で重ねていきます。
- ユーザーへのヒアリング
- 改善点の洗い出し
- 生成AIの更新・改善
更新・改善を繰り返して、競合他社に負けない生成AI文化を社内に築きましょう。
なお、PoC開発について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
生成AI開発を外注する際に必要な対応
ここからは、生成AIの開発をITベンダーに外注する際に、クライアント企業側で必要な対応を先ほどの4ステップに分けてお伝えしていきます。まずは、構想フェーズでの対応からご覧ください。
構想フェーズで必要な対応
生成AI開発の構想フェーズで、クライアント側に求められる対応は情報収集です。具体的には、下記の判断材料・情報が必要です。
- 生成AIの知識
- 生成AIにできることの限界
- 目標に関係しそうな生成AI技術
- 社内のリソース
- 開発に割ける予算
- ROI(Return On Investment / 費用対効果)の見積もり
- 開発に割ける時間
- 開発に割ける人員
- 開発に応用できそうな社内のノウハウ
ここで集めた判断材料が、先の読めないPoCフェーズでの指針となります。生成AIの開発を成功させるためにも、入念にリサーチを行いましょう。
PoCフェーズで必要な対応
ITベンダー主導で進むPoCフェーズにも、クライアント側で必要な対応があります。それは、生成AIのトレーニングに使うデータの用意です。下記の手順で、社内に眠るデータを加工していきましょう。
- 社内データの収集
- データのスキャン・電子化(紙媒体の場合)
- 前処理(コストを抑えたい場合)
- データクレンジング:データ中のエラー・ノイズ・欠損を除去する前処理
- 正規化:単位や表記のブレをなくす前処理
- アノテーション:データに説明・注釈のタグを添えて分類を行う前処理
なお、前処理についてはITベンダーに委託することもできます。人員・時間を割けない場合は、外注をご検討ください。
実装フェーズで必要な対応
続く実装フェーズにおいて、クライアント側で必要な対応はフィードバックです。生成AIそのものやシステムのUIを試運転して、改善点をITベンダーに伝えていきましょう。
運用フェーズで必要な対応
最後の運用フェーズでも、クライアント側からのフィードバックが重要。開発後もITベンダーとコミュニケーションを密にとって、定期的に改善点・レビューを投げかけていきましょう。
生成AI開発を成功させるポイント
続いては、生成AI開発を成功させるためのポイントを徹底解説。下記の3点について、具体的に気をつけたいことを掘り下げます。
- 生成AIへの理解を深める
- 生成AIを開発する目的を明確にする
- 更新や調整がしやすいアルゴリズムにする
まずはすべての基礎となる「生成AIへの理解」から詳しくみていきましょう。
生成AIへの理解を深める
開発を成功させるには当然、生成AIの特性への理解が欠かせません。特に、生成AIの場合は望ましくないイレギュラー(ハルシネーション / 不適切な回答…etc.)がしばしば起こりますので、それらに取れる対策を知っておく必要があります。
生成AIの開発を成功させるためにも、下記の知識をマスターしましょう。
- 生成AIの得意分野と苦手分野
- 生成AI特有のリスク
- ハルシネーションが起こりやすい場面
- プロンプトエンジニアリング
- AI倫理
また、生成AIの機能を拡張する周辺技術(RAG / 自律型AIエージェント / ブラウジング…etc.)についても知識があると、開発できるソリューションの幅が広がります。
生成AIを開発する目的を明確にする
明確な目的なしに、生成AIの開発は成功させられません。「生成AIの導入・開発」はあくまで手段ですので、下記を徹底的に洗い出すことが先決です。
- 生成AIなしで課題が解決できないか
- 既存・大手の生成AIで代用できないか
- 課題の原因・解決策が言語化できているか
目的を明確にしてから、生成AIの開発にあたりましょう。
更新や調整がしやすいアルゴリズムを選ぶ
生成AIを開発する際には、アルゴリズムのメンテナンス性を重視してください。いくら生成AIといえど、最新のデータによる更新や不具合の調整が定期的に行われないと、レガシーシステムになってしまいます。ITベンダーとの共同のもと、長期的な運用も見据えた生成AIを開発しましょう。
なお、生成AIのもつリスクについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
生成AI開発を外注する際の相場
最後に、生成AIの開発をITベンダーに外注する際の相場を下表でお見せします。
工程 | 内容 | 相場 |
---|---|---|
1.課題のヒアリング | クライアント企業の要件・課題を把握、生成AIが適用できそうな場面を探る | 多くの場合、無料 |
2.要否判断 | 生成AIの有用性・実現可能性を評価、開発の要否を判定する | 約40万~100万円 |
3.データの前処理 | 社内データを加工、生成AIの学習工程で使えるようにする | 約200万〜3,000万円 |
4.PoC検証 | 生成AIのプロトタイプを開発、実用化までトライアンドエラーを繰り返す | 約300万〜500万円 |
5.システム開発 | PoC成功後、業務に組み込める形の生成AI搭載システムを開発する | 約80万〜250万円/月 × 人月 |
6.ユーザーへのヒアリング 7.改善点の洗い出し | ユーザーからのフィードバックを集め、システムを継続的に改善していく | あわせて、約60万〜120万円 |
ちなみに相場は、下記によって変動します。
- エンジニアの人数
- 期間
- 生成AIモデルの種類
…etc.
まずは、複数のITベンダーで相見積もりを取るところから始めてみましょう。
なお、生成AI開発時の相場について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
生成AI開発の達成には、各ステップへの理解が必要
当記事では、生成AI開発の流れを下記の4ステップに分けてご紹介しました。
- 構想フェーズ
- PoCフェーズ
- 実装フェーズ
- 運用フェーズ
生成AI開発は、クライアント企業とITベンダーの二人三脚で進んでいきます。技術的な面はITベンダーにお任せするのが基本ですが、クライアント側にも下記への注意が求められます。
- 生成AIへの理解を深める
- 生成AIを開発する目的を明確にする
- 更新や調整がしやすいアルゴリズムを選ぶ
リサーチ・準備を徹底して、生成AI開発を成功へ導きましょう。
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