AIプロジェクトの進め方とは?よくある悩みやその対策、失敗事例、成功のポイントを解説
AIプロジェクトの進め方とは?よくある悩みやその対策、失敗事例、成功のポイントを解説近年多くの企業でAIが導入されている流れに乗っかり、「ウチもAIを導入しよう!」と考えている企業も多いのではないでしょうか?
ですが、ちょっと待ってください。AIプロジェクトは多大な労力・時間を要するものであり、行き当たりばったりで立ち上げても必ず失敗してしまいます!
本記事では、AIプロジェクトの正しい進め方や注意点などを詳しく解説します。最後までご覧いただき、AIプロジェクトを成功へと導いてください!
AIプロジェクトとは?
AIプロジェクトとはなに?費用や成功率はどれぐらいか気になっている方もいるのではないでしょうか。この章では以下3点について解説していきます。
- 課題を解決するためにAI導入を進める計画
- 成功率は3%程度
- AIプロジェクト費用はおおよそ40万円~
それぞれ解説していきます。
1.課題を解決するためにAI導入を進める計画
AIプロジェクトとは、自社や顧客が抱える課題を解決するために、AI導入を進める計画です。昨今ではどの業界も人手不足が深刻化しており、対策となるAIを導入する企業が増えています。
しかし、導入する企業が増えているものの、AIプロジェクトの進め方がわからず、導入に失敗している企業も多くいるのが現状です。
結論、AIプロジェクトの進め方としては、小規模から導入し、導入効果が得られた状態で広げていくのがおすすめです。
2.導入の成功率は3%程度
令和2年度戦略的基盤技術高度化・連携支援事業(中小企業のAI活用促進に関する調査事業)によると、中小企業における平均AI導入率は3%未満だったそうです。
参考記事:令和2年度戦略的基盤技術高度化・連携支援事業(中小企業のAI活用促進に関する調査事業)
これほどまでに成功率が低い主な理由は以下の3点です。
- 目標があいまい
- コストメリットがない
- データを扱える人材がいない
これらの要素をすべて解決するのは簡単ではありません。
3.AIプロジェクト費用はおおよそ40万円~
AIプロジェクトを進めるうえで必要となるのは費用です。
開発フェーズや開発日数により金額は変動しますが、主な金額感は以下のとおりです。
開発フェーズ | 費用(目安) |
---|---|
ヒアリング | 0円 |
コンサルティング | 40万円~200万円 |
PoC検証 | 100万円~数百万円 |
本開発 | 月額80万円~250万円 × 人月 |
運用 | 月額60万円~200万円 × 人月 |
参考記事:AIsmiley「AI・人工知能の導入費用相場は?実装から運用の流れとコスト」
あくまでも参考費用のため、AIプロジェクトの詳しい金額感が知りたい場合は、実際に見積りを依頼してください。AIプロジェクトの詳しい内容は以下の章で解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
AIプロジェクトの進め方を4つのステップで解説
AIプロジェクトは、主に以下4つの段階に分けられます。
段階 | 実施すること |
---|---|
1. 企画段階 | プロジェクトの方向性を定める |
2. 調査段階(PoC) | AI開発に必要な情報を集める |
3. 開発段階 | 本番モデルの開発・テストを行う |
4. 運用段階 | 開発したAIの社内運用体制を整える |
以下、プロジェクト全体の土台を固める「企画段階」から、みていきましょう!
1:企画段階
AIプロジェクトの「企画」は、以下4つの流れで進めるのが一般的です。
- 課題設定:自社の課題は何なのか、その課題がAIによって解決できるのかを検討する
- データ確認:自社にAI導入が必要と判断した場合、その分析に必要なデータが揃っているのかを確認する
- チーム結成:データが揃っていると確認できれば、プロジェクトに関わるメンバーを集めてチームを結成する
- 目的・目標設定:プロジェクトの目的を明確にし、目標達成のためにするべきことを検討する
2:調査段階(PoC)
AIプロジェクトの企画が完了したら、続いて「調査」を実施しましょう。この段階では、AI開発に必要な情報を集めるために「PoC」が必要です。
新しいアイデアやコンセプトの実現可能性と効果を検証するプロセスのこと。AIプロジェクトにおけるPoCでは、まず小規模で開発を行い、本格的な導入が実現可能かどうかを検証します。
具体的には、モデル開発に必要なデータが十分に揃っているか、うまく社内でオペレーションできるかなどをチェックしましょう。また、PoCを行う際は既存のAIやRPAなどのツールを導入するのか、それとも新しくAIツールを開発するべきなのか検討をするようにしましょう。既存のツールで課題を解決できれば、コストも抑えられ、すばやい導入が可能になります。
既存のツールでは課題が解決できないと判断した場合に、新しいAIツールの開発に着手するのがおすすめです。
3:開発段階
調査が完了したら、いよいよ「開発」へ移ります。
AI開発は、以下4つの流れで進めるのが一般的です。
- 要件定義:PoCの結果を基に、AIモデルの具体的な仕様を決定する
- データ収集:開発に必要なデータを収集する(PoCよりも多くのデータが必要になる)
- 本番モデル開発:収集したデータを基に、本番モデルを開発する
- テスト導入:開発したモデルが問題なく稼働するか、実際の現場でうまくオペレーションできるかをチェックする
4:運用段階
開発が終わったら、最後は「運用」段階へ移りましょう。
AIプロジェクトは、AIモデルを開発して終わりではありません。開発したAIモデルを下記3つのような流れで、社内で適切に運用できる体制を整える必要があります。
- システム連携:開発したAIを社内システムと連携させる
- 本番運用:実際に社内で運用する
- データ更新・モデル改善:最新のデータを常に学習させ、必要に応じてモデルの改善も行う
なお、PoCについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
→生成AIのPoC開発とは?メリットやデメリット、流れ、料金体系を解説
AIプロジェクトの進め方でよくある悩みとその対応策
ここでは、AIプロジェクトにおいてよくある悩み、およびその対応策を以下5つのケースで紹介します。
- ケース1:どの開発会社を選べばいいかわからない
- ケース2:社内での認証承認が得られない
- ケース3:社内の機密情報がOpenAIに学習されないか不安
- ケース4:社内のどの業務にAIが使えるか想像できない
- ケース5:どのツールやサービスを選べばいいのかわからない
それぞれを解説していきます。
ケース1:どの開発会社を選べばいいかわからない
AIプロジェクトにおいてよくある悩み1つ目が、「どの開発会社を選べばいいかわからない」です。たしかに最近ではAI開発を請け負う企業が多数存在するため、どの企業を選ぶべきか悩むのも無理ありません。
対策
開発会社は以下4点を基に選びましょう。
- AIに関する知見があるか:データ基盤構築に知見があるか、最新のAI情報を把握しているかをチェックする
- AI開発の実績が豊富か:大手企業に対する開発実績があるか、自社の業界内での開発実績があるかをチェックする
- 予算が合っているか:予算内で開発を行ってくれるかをチェックする
- 担当者が真摯な態度か:担当者が自社のプロジェクトに対して、真剣に向き合ってくれるかをチェックする
ケース2:社内での承認が得られない
AIプロジェクトにおいてよくある悩み2つ目が、「社内での承認が得られない」です。予算やセキュリティリスクなどの要因から、AIの社内導入に対して消極的な企業が多いのも事実です。
対策
社内での承認が得られない主な原因は、「AIに関する理解が浅い」からだと考えられます。そのため、社内セミナーなどを実施し、AIに関する正しい認識を社内全体で共有するのが効果的です。
ケース3:社内の機密情報がOpenAIに学習されないか不安
AIプロジェクトにおいてよくある悩み3つ目が、「社内の機密情報がOpenAIに学習されないか不安」です。OpenAI社のChatGPTは入力した内容を学習に利用するため、自社の機密情報も学習データとして利用されないか不安ですよね。
対策
社内の機密情報を学習されたくない場合は、OpenAI APIを利用しましょう。OpenAI APIを使えば、ChatGPTに機密情報を入力したとしても、その情報が学習に使われることはありません。
OpenAI APIの具体的な活用方法としては、例えば自社のチャットサービスとOpenAI APIを連携させ、ChatGPTに応答させるなどが挙げられます。
ケース4:社内のどの業務にAIが使えるか想像できない
AIプロジェクトにおいてよくある悩み4つ目が、「社内のどの業務にAIが使えるか想像できない」です。実際にAIツールを導入したことがなければ、具体的にどう業務に役立つのかなかなかイメージしにくいですよね。
対策
まずはネット上で、他社のAI活用事例を調べてみましょう。さまざまな企業の事例が見られるので、自社に合った活用方法がないか探してみてください。
もし調べても分からない場合は、AIの開発や導入コンサルを請け負う会社に相談するのも手です。
なお、弊社でもAIの社内導入などについて、無料相談をご用意しています。興味がある方は気軽にご連絡ください。
→無料相談で話を聞いてみる
ケース5:どのツールやサービスを選べばいいのかわからない
AIプロジェクトにおいてよくある悩み5つ目が、「どのツールやサービスを選べばいいのかわからない」です。さまざまなAIツール・サービスが存在するため、どれを選ぶべきか悩むのも無理ありません。
対策
まずはネット上でAIツール・サービスの紹介記事を読み、それぞれの特徴を見極めましょう。また、AIツール・サービスに詳しい外部企業に相談するのも手です。
なお、弊社は生成AI専門のメディアとして最新情報を収集・発信しており、最新のAIツール・サービスについてもアドバイスできます。
→最新のAIツール・サービスについて話を聞いてみる
AIプロジェクトの進め方の失敗事例3選
ここでは、AIプロジェクトでよくある失敗事例を以下の3つ紹介します。
- AIを導入することが目的になっている
- AIに詳しい人材が社内にいない
- AI開発に必要なデータが足りない
1.AIを導入することが目的になっている
AIプロジェクトのよくある失敗事例1つ目が【AIを導入することが目的になっている】です。近年多くの企業でAIが導入されている流れに乗っかり、「ウチもAIを導入しよう!」と考えている企業も多いのではないでしょうか?
しかし、この考え方は危険です。なぜなら、AIに任せたい仕事がある訳ではなく、ただAIを導入したくてプロジェクトを立ち上げてしまっている可能性があるからです。
実際、プロジェクトを立ち上げた後に結局「AIは必要ない」という結論に至り、プロジェクトが頓挫した事例も数多くあります。
2.AIに詳しい人材が社内にいない
AIプロジェクトのよくある失敗事例2つ目が【AIに詳しい人材が社内にいない】です。例えば、外部企業に委託してAIを社内導入したとします。
しかし、もしもAIに詳しい人材が社内にいなければ、トラブルが起きた際は誰にも相談できませんよね?
また、AIへの追加学習やアップデートを誰も実施できません。AIプロジェクトは、AIを導入したら終わりではなく、社内での運用体制が整えられて初めて成功となるのです。AIに詳しい人材が社内に一人もいなければ、プロジェクトは絶対に成功しません。
3.AI開発に必要なデータが足りない
AIプロジェクトのよくある失敗事例3つ目が【AI開発に必要なデータが足りない】です。
X社では当初、工場の製造工程の一部にAIを導入する予定でプロジェクトを発足。
ところが、プロジェクトの途中で予定が変更になり、一部だけではなく全工程でAIを導入することに。工程数が増えれば当然、膨大な量のデータが追加で必要になるが、C社ではその分のデータを用意できておらず。
結局、全行程にAIを導入するのは難しいという判断になり、無駄な時間を費やすという結果になってしまった。
上記のように、必要なデータを事前に準備できずに、AIプロジェクトが頓挫してしまうケースもよくあります。
なお、その他のAI企業導入失敗事例について知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
→生成AIの企業利用・開発のリスクとその対策を解説!開発失敗事例も紹介
AIプロジェクトを成功させるために気をつけるべきポイント3選
AIプロジェクトを成功させるために気をつけるべきポイントは、以下の3点です。
- AIを導入する必要性について十分検討する
- AIに詳しい人材を社内で育成する
- まずは小規模でAIを導入する
1.AIを導入する必要性について十分検討する
まずは、そもそもAIを導入する必要性が本当にあるのか、社内で十分に検討するようにしましょう。
具体的に、自社の課題は何なのか、その課題がAIによって解決できるのか議論が必要です。こうすることで、AIプロジェクトの目指すべき方向性もより明確になります。
「とりあえずAIを導入すること」が目的となり、意味のないプロジェクトを立ち上げることがないよう注意しましょう。
2.AIに詳しい人材を社内で育成する
AIプロジェクトを進める前に、必ずAIに詳しい人材を社内で育成しましょう。
AIプロジェクトを成功させるには、開発や運用の段階でAIに関する深い知見が必要です。仮に開発・運用をすべて外部企業に委託するとしても、万一のトラブル時に迅速に対応できるメンバーが社内にいれば、それだけで安心ですよね。
プロジェクトの対象メンバーにはセミナーや勉強会を開催するなどして、AIに関する知見を深めてもらいましょう。
3.まずは小規模でAIを導入する
AIを社内で導入する際は、まずは小さな規模で導入するようにしましょう。(例:一部の部署で試験運用してみる etc.)いきなり大規模で導入しようとすると、莫大な予算・時間がかかる上、万一トラブルが起きた際の修正も大変です。
一方小規模であれば、開発・運用のハードルも低く、課題が発生した際の軌道修正もちょっとした労力で済みます。
まずは小規模で運営しながら少しずつ改善を加えて、徐々に規模を拡大していくのがおすすめですよ。
AIプロジェクトの成功事例3選
ここでは、実際にAIプロジェクトに成功した以下3つの事例を紹介します。
- 【江崎グリコ】バックオフィスの業務効率化
- 【SOYOKAZE】送迎計画作成業務を効率化
- 【キユーピー】原料検査工程を自動化
1.【江崎グリコ】バックオフィスの業務効率化
江崎グリコ株式会社では、バックオフィス部門において、社内問い合わせ業務に多くの時間が割かれていることが課題となっていました。そこで同社では、下記のような改革を実施し、業務負担を大幅に改善したのです。
実施したこと | 結果 |
---|---|
Allganize社のAIチャットボット「Alli」を導入 | 社内問い合わせ対応件数が31%減少 |
Alliの案内シールを作成し、社員に配布 | 社内の文化として、「まずはチャボットに聞いてみよう」という雰囲気に |
同社のAIプロジェクトが成功したのは、【ただAIを導入するだけでなく、それを全社員に浸透させる工夫を凝らした】からだと考えられます。
2.【SOYOKAZE】送迎計画作成業務を効率化
高齢者介護事業を展開する株式会社SOYOKAZEでは、デイサービス利用者の送迎計画作成業務に多くの時間を割かれていました。
そこで下記のとおり、送迎計画作成業務にAIを導入し、業務時間の大幅短縮に成功したのです。
実施したこと | 結果 |
---|---|
パナソニックカーエレクトロニクス社の「DRIVEBOSS」を導入 | 送迎計画作成の所要時間が、平均30分/日→18分/日に短縮(八王子ケアセンターそよ風では、1時間/日→15分/日に大幅改善) |
一部施設から試験運用し、徐々に導入施設を拡大 | 全施設でスムーズに運用が成功 |
同社のAIプロジェクトが成功したのは、【いきなり全施設にAIを導入せず、一部施設から試験的に運用した】からだと考えられます。
3.【キユーピー】原料検査工程を自動化
キユーピー株式会社では、ポテトサラダの原料検査工程において、原料のニンジンに夾雑物や変色がないかを目視で確認していました。
この工程における検査員の負担が大変大きかったため、同社では下記のような改革を実施し、業務負担の軽減に成功したのです。
実施したこと | 結果 |
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自社開発のAI原料検査装置を導入 | ニンジンの原料検査工程が自動化 |
生産現場の意見をヒアリング | ・ボタン1つで誰でも操作可能・簡単に分解・洗浄可能・コンパクトでスペースが不要など、現場での使い勝手も抜群 |
同社のAIプロジェクトが成功したのは、【生産現場の声も反映させながら、AIをより良いものへ改善していった】からだと考えられます。
なお、製造業でのAI活用事例について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
→【ChatGPT×製造業】トヨタ系列も中小も!AI活用事例10選
AIプロジェクトの進め方を理解し成功に導こう
以下、本記事のまとめになります。AIプロジェクトは、以下の4段階に分けられます。
- 「企画」
- 「調査(PoC)」
- 「開発」
- 「運用」
AIプロジェクトの主な失敗事例としては以下3点です。
- 「「AIを導入すること」が目的になっている」
- 「AIに詳しい人材が社内にいない」
- 「AI開発に必要なデータが足りない」。
AIプロジェクトを成功させるには、以下の3点が重要です。
- 「AIを導入する必要性について十分検討する」
- 「AIに詳しい人材を社内で育成する」
- 「まずは小規模でAIを導入する」
AIプロジェクトは成功率は3%と言われているほど、多くの時間・労力を要するものであり、思いつきで立ち上げても必ず失敗してしまいます。本記事で解説した内容を基に、しっかりと準備をしておきましょう。
最後に
いかがだったでしょうか?
弊社では
・マーケティングやエンジニアリングなどの専門知識を学習させたAI社員の開発
・要件定義・業務フロー作成を80%自動化できる自律型AIエージェントの開発
・生成AIとRPAを組み合わせた業務自動化ツールの開発
・社内人事業務を99%自動化できるAIツールの開発
・ハルシネーション対策AIツールの開発
・自社専用のAIチャットボットの開発
などの開発実績がございます。
まずは、「無料相談」にてご相談を承っておりますので、ご興味がある方はぜひご連絡ください。
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