業務の自動化ができるAIエージェントとは?RAGとの違いや活用・開発事例を詳しくご紹介
WEELメディア事業部AIライターの2scです。
みなさん!ついに「生成AIに仕事を丸投げできる時代」が到来しようとしています。
その鍵は、生成AIを搭載したソリューション「AIエージェント」にあります!
AIエージェントなら、RPAでの自動化が困難だった非定型業務の自動化が可能。業務の部分的な効率化にとどまらず、完全自動化まで目指せるかもしれないんです!
当記事では、そんなAIエージェントを徹底解剖!定義・できること・開発事例を余すところなくお伝えしていきます。
AIエージェントとは?
様々な解釈がありますが、弊社・株式会社WEELが定義するところの「AIエージェント」は……
特定の業務に特化してフローを(半)自動化する生成AIツール
になります。運用時のイメージとしては下図のとおりで、各業務に配属したAIエージェントに指示を出して成果物を得るという、人間相手のような運用体制が期待できます。
より具体的に説明すると、このAIエージェントは生成AIと従来のソフトウェアプログラム(RPA・Bot・データベース…etc.)を組み合わせたソリューションです。
その強みは、生成AIによる理解力・判断能力とソフトウェアプログラムによる知覚能力・実行能力を兼ね備えている点にあります。
両者のいいとこ取りをした結果、これまで人間にしかできなかった『抽象的・曖昧な判断』も含めて業務が自動化できるようになっているんです。
AIエージェントとRAGの違い
AIエージェント同様に「RAG(Retrieval Augmented Generation)」も、生成AIとソフトウェアプログラムからなるソリューションです。
このRAGは質問を受けた際に、外部データベース中の関連情報を参照(カンニング)して回答を生成するというもの。学習範囲外の社内情報についてもある程度正確な回答が提供できるため、業務用チャットボットに採用されてきました。
そんなRAGを搭載したチャットボットは情報探索の効率化という面で、極めて実用的なAIツールといえます。ただ、このRAG搭載型チャットボットにも限界があって……
- あくまでチャットボットのため、実業務の遂行まではできない
- コンテンツを生成させる場合も、こまめに指示を出す必要がある
以上のとおり「業務自動化」までは果たせませんでした。
一方、AIエージェントはRAGのコンポーネントに加えて、入出力の機構も完備。RAGとの違いとしては……
AIエージェント | RAG | |
---|---|---|
コンポーネント | RAG(記憶の機構)+入出力の機構 | 外部データベース等 |
できること | ・学習範囲外の知識への回答 ・半自律的な判断 ・実業務の遂行 | ・学習範囲外の知識への回答 |
以上のとおりで、半自律的な判断・実業務の遂行まで行えます。
なお、AIエージェントの事例について詳しく知りたい方は、下記の記事も合わせてご確認ください。
AIエージェントの種類
AIエージェントは自動化のレベルによって、下記の2種類に細分化できます。
- 組込み型AIエージェント
- 自律型AIエージェント
以下、それぞれの定義・能力について詳しくみていきましょう!
組込み型AIエージェント
「組込み型AIエージェント」は、特定の業務のみを半自動的に遂行するAIエージェントの一種です。
タスクに最低限必要なソフトウェアプログラムのみを搭載していて、AIが判断して処理を行うのがその特徴。搭載される生成AIは制限の中で、限定的に判断力を発揮します。
この組込み型AIエージェントは、現時点でも十分に実用化可能なソリューションです。具体的には、社内の各業務に特化型のAIエージェントを配属することで……
このように広域での業務自動化が可能。指示を出すだけで、一定の成果物が得られるようになります。
自律型AIエージェント
一方「自律型AIエージェント」は幅広い業務を全自動で遂行する、組込み型AIエージェントの進化形。こちらでは、各タスクに必要なソフトウェアプログラムがまとめて同梱されています。
タスクに応じて、使用するソフトウェアプログラムや遂行の手順までを自律的に決定できるのが強みです。
しかし、生成AIによる裁量が大きいため、安定してタスクを遂行することが現状は難しいと考えています。
ですが、この自律型AIエージェントが実用化された暁には……
このように「業務の完全自動化」が叶うかもしれません。
なお、現時点での自律型AIエージェントについて詳しく知りたい方は、下記の記事も合わせてご確認ください。
AIエージェントにできること
ここまででご紹介したAIエージェントなら、「柔軟性のある業務効率化」が目指せます。具体的には、生成AIやRPAでできていた業務に加え、下記のような業務まで代行できると考えられます。
- 人間的な判断を伴う業務
- 自社専用の複雑な業務
- 定期発生する非定型業務
以下、AIエージェントが代行しうる各業務について、詳細をみていきましょう!
人間的な判断を伴う業務
AIエージェントであれば、暗黙知・相場観・肌感覚を織り込んだ人間的な判断が可能。その判断に基づいて、下記のような業務がアドリブでこなせます。
- 手書き書類の電子データ化・表記統一
- データの収集・取捨選択からの分析・判断
- 問い合わせ対応
- 仕入れ業務
- 業務フローの改善
…etc.
人間による確認は必要ですが、幅広い業務での活躍が期待できそうです。
自社限定の複雑な業務
自社限定の複雑な業務も、AIエージェントの得意分野です。RAGを内包しているAIエージェントなら、社内のノウハウをもとに下記のようなことができてしまいます。
- 専門的なWeb記事の作成・入稿
- 専門領域でのコンサルティング
- 新人教育
…etc.
慢性的な人手不足に悩む専門領域で、人間の負担が減らせるかもしれません。
定期発生する非定型業務
アドリブ力に長けたAIエージェントなら、下記のような「いつもの非定型業務」も自動化できます。
- 受発注業務
- 問い合わせ対応
- メールマガジンの作成・送信
…etc.
これらの非定型業務は業界問わず普遍的であるため、ノウハウ・事例が蓄積していて、容易にAIエージェントが開発・導入できるでしょう。
また、コア業務に割ける時間・労力が増えるので、目に見える形での業務効率化が果たせるかもしれません。
AIエージェントの活用事例
ここまで、AIエージェントについてご紹介してきましたが、実際にどのようにAIエージェントが活用されているかイメージがつかない方もいるでしょう。次に、AIエージェントの活用事例についてご紹介します。
SNSマーケティング
AIエージェントを活用すれば、24時間365日稼働できるマーケターを作ることができます。
上記ポストは、SNS運用を完全自動化できる「Astral」でSNSの投稿を作成している様子の動画が公開されています。
Astralは、特定のサイトへのログインや、最新情報の検索、欲しい情報を取得してからその内容に沿ったSNS投稿文を投稿するといった一連の流れを自動的に行うことができます。
精度や柔軟性についてはどれほどのものか分かりませんが、トレンド情報などなどを取り扱うアカウントであれば、設定次第で最新情報をいち早く配信できるでしょう。
マニュアル作成
上記ポストでご紹介している「ManualForce」は、作業中のPCの動きを記録し、AIがその記録をもとに操作手順とスクリーンショットを含むマニュアルを自動作成することができます。
NECグループのBPO会社であるNECビジネスインテリジェンスでは、業務システムの操作マニュアル作成をAIで自動化するためManualForceを全14統括部に導入し、作成時間を83%も削減することに成功しました。
このように、AIエージェントは視覚的な情報からでもさまざまな行動を行うことができるため、幅広いシーンで活用することが可能です。
格闘ゲーム
長年多くのプレーヤーから愛されている格闘ゲームの「ストリートファイター」ですが、最新の「ストリートファイター6」ではAIを活用したモードが導入されました。
通常、トレーニングモードでは練習相手のキャラクターに特定の動作を等間隔でさせたり、あらかじめプログラミングされた「NPC」と呼ばれる敵と戦ったりすることが主流でした。
しかし、ストリートファイター6では、全世界のプレイヤーのプレイスタイルを学習してそっくりな動きで戦うAIプレイヤーの「まねもんくん」を導入しています。
これにより、人間に近い動きをするトレーニング相手と戦えるようになっただけではなく、自分の知らないトレンドのコンボを見ることができたり、自分のレベルにあった対戦相手といつでも簡単に対戦することができるようになりました。
弊社のAIエージェント開発事例
弊社・株式会社WEELでは、AIエージェントの開発を承っております。
ここでは、そんな弊社が開発したAIエージェントの事例を2つご紹介。
問い合わせ対応の自動化
弊社は過去に、メールでの問い合わせ対応を自動化するAIエージェントを開発しております。
これまで、メールでの問い合わせ対応は自動化が困難な領域でした。従来型のルールベースやRPAでは、下記のような限界があったのです。
● 問い合わせメールと営業メールの判別ができない
● 顧客のニーズの理解が難しい
● 顧客別の状況を踏まえた返信文が用意できない
対して、上記の課題も生成AIを搭載した自律型AIエージェントであれば克服できる、と弊社は判断しました。最終的には、以下の処理を遂行するAIエージェントを開発し、問い合わせ対応の自動化に成功しています。
「お問い合わせ対応の自動化」
- 受信したメールがお問い合わせか否かを判断
- お問い合わせの場合、メールからニーズを抽出
- ニーズを生成AIが分類・判断し、ルールベースに沿って適切な返信文を生成
- 返信文を含むメールを作成
- Slackに通知
この問い合わせ対応であれば、業界問わずAIエージェントが活躍できるはず。今後の普及が期待できそうです。
プレスリリースの自動作成
弊社では、プレスリリースを自動作成するAIエージェントの開発事例もございます。
プレスリリース・Web記事の作成自体は、汎用品の生成AI(ChatGPT・Claude 3…etc.)でも可能です。ただ、生成AI単体の場合は下記のような課題がありました。
● リアルタイムの情報や社内のノウハウが反映できない
● ルール・トンマナの反映が難しい
そこで弊社は、上記の課題をある程度克服したAIエージェントを開発。人間が手作業で行った場合、完成度が60%と高い完成度のプレスリリースをわずか数秒で用意することに成功しています。
そのAIエージェントの動作・しくみとしては……
「プレスリリースの自動作成」
- ブリーフシートを読み込む
- ブラウザの検索結果・過去の社内文書・社内ルール…etc.を参照
- 参照した情報をもとに、プレスリリースを作成
以上のとおり。RAGとWebブラウジングを合わせることで、プレスリリースに専門性と網羅性をもたせています。
AIエージェントの技術的課題と今後
AIエージェントはベースの生成AI同様、発展途上の技術。現時点では下記のような課題を抱えています。
- 生成AIのハルシネーションによる判断ミス・誤動作
- タスク遂行時の一貫性の不足
- APIや計算リソースにかかるコスト
ただ、これらの課題は「AIエージェントの伸びしろ」と言い換えることもできます。実際、生成AI技術の進歩は目覚ましく、下記については今後の早期実現が期待できそうです。
- RAG Fusion等による、判断ミス・誤動作の軽減
- LLMのコンテキストウィンドウ増加による、理解力・一貫性の向上
- 小型LLMの発展にともなう、オフライン・ノートPC内での業務自動化
将来的には、各人のノートPCでAIエージェントが活躍する……という時代が到来するかもしれません。
なお、Claude 3で作れるAIエージェントについて詳しく知りたい方は、下記の記事も合わせてご確認ください。
AIエージェントで効率化の先「自動化」を目指そう
当記事では、業務効率化の期待の新星「AIエージェント」について解説しました。最後にもう一度、AIエージェントの特徴を振り返っていきましょう!
まず、WEELにおけるAIエージェントの定義とは……
特定の業務に特化してフローを(半)自動化する生成AIツール
以上のとおり。自動化のレベル・適用範囲によって「組込み型AIエージェント」と「自律型AIエージェント」に細分化できましたね。
このAIエージェントであれば、RAGにない「入出力の機構」を備えており、下記のとおり効率化の先にある「自動化」まで目指せます。
- 人間的な判断を伴う業務
- 自社限定の複雑な業務
- 定期発生する非定型業務
AIエージェントの登場により今後、生成AIツールの活用範囲はますます広がっていくはず。生成AIが業務に自然と組み込まれ、ユーザーが意識せずとも活用できるようになる……時代はそう遠くないのかもしれません。
最後に
いかがだったでしょうか?
AIエージェントの導入することで、業務効率化を超えた“自動化”を目指すことができます。非定型業務の自動化や柔軟な判断力を持つAIで、業務フローを革新するチャンスです。
株式会社WEELは、自社・業務特化の効果が出るAIプロダクト開発が強みです!
開発実績として、
・新規事業室での「リサーチ」「分析」「事業計画検討」を70%自動化するAIエージェント
・社内お問い合わせの1次回答を自動化するRAG型のチャットボット
・過去事例や最新情報を加味して、10秒で記事のたたき台を作成できるAIプロダクト
・お客様からのメール対応の工数を80%削減したAIメール
・サーバーやAI PCを活用したオンプレでの生成AI活用
・生徒の感情や学習状況を踏まえ、勉強をアシストするAIアシスタント
などの開発実績がございます。
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