【OpenGPTs】LangChain搭載のオープンソース版無料GPTsを使ってみた
メディア事業部AIライターの植田です。
LangChainは、2023年11月7日に、OpenGPTsを発表しました。OpenGPTsは、自分で目的にあったGPTsをカスタマイズできる機能です。これにより、それぞれの業務に特化したGPTsを作成して、より業務を効率化できるようになりました!
本記事では、OpenGPTsの概要や機能について実践しながら紹介します。
最後まで読むと、自分で簡単なGPTsを作れるようになるでしょう。
ぜひ、最後までご覧ください。
OpenGPTsの概要
2023年11月7日、LangChainは、OpenGPTsを発表しました。
OpenGPTsは、OpenAIのGPTsと似たようなものを作れるオープンソースです。このOpenGPTsは、Langchain、LangServe、LangSmithの上で動かせます。
OpenGPTsを使うことで、GPTsを使用する際に毎回プロンプトを入力せずとも、自分がカスタマイズしたGPTsをすぐ使用できるようになりました。
OpenGPTsでは、以下の要素を自分でコントロールできます。
- どの自然言語モデル(LLM)を使用するか
- どんなプロンプトを使うのか
- どのツールを使うのか
- どのベクトルデータベースを使うのか
- どのretrieval algorithmを使うのか
- チャット履歴を保存したデータベース
また、2023年11月21日時点で、OpenGPTsには以下の特徴があります。
- Sandbox
今あるチャットボットのインポート、テスト、修正が可能です。
- Custom Actions
OpenAPIを使用してチャットボットの追加機能を定義できます。
- Knowledge Files
チャットボットが参照するための追加ファイルを添付できます。
- Tools
Webブラウジングや画像生成などの基本的なツールを利用できます。ただ、画像生成機能は11月21日現在、まだ実装されていません。
- Analytics
チャットボットの利用データを表示、分析できます。
- Drafts
作成したチャットボットの下書きを保存、共有できます。
- Publishing
完成したチャットボットを一般公開できます。
- Sharing
チャットボットの共有の設定や管理ができます。
また、2023年11月21日時点ではまだ実装されていませんが、今後以下の機能が実装される予定です。
- Marketplace
他のユーザーが作成したチャットボットを検索、導入できます。
OpenGPTsで使えるLLM
ユーザーは、OpenGPTsで自分が利用したいLLMを選択できます。2023年11月21日現在、OpenGPTsでは、4つのエージェントタイプ(LLM)をあらかじめ使用できるように設定されています。
- GPT 3.5 Turbo
- GPT 4(Azure OpenAI)
- Claude 2
- Claude 2(Amazon Bedrock)
このデフォルトのエージェントタイプはさらに追加される予定です。
他にも、独自のLLMも利用できます。
OpenGPTsで使えるツール
OpenGPTsでは、自分が使いたいツールを自身で設定して利用できます。
また、OpenGPTsでは、2023年11月21日現在、以下の9つのツールが使えるようになっています。
- DuckDuckGo Search
DuckDuckGoは、プライバシー保護に特化した検索エンジンです。DuckDuckGoで検索しても、検索履歴やどのサイトを見たのかがデータとして残りません。そのため、ユーザーがみたい情報だけ検索結果として出てくる「フィルターバブル」を避けられます。
- Tavily Search
Tavilyは、ネットでの調べ物を自動化するAIツールです。これにより、自分の調べたいことをより簡単に調べられます。
- Tavily Search (Answer Only)
上のTravily Searchでは、その答えになった根拠も一緒に出力されます。一方、こちらは、答えのみを出力するTravily Searchです。短い出力結果が必要なときに使用されます。
- You.com Search
You.comは、検索結果をもとに、ユーザーの質問に答える検索エンジンです。AIと対話をしながらネット上の調べ物ができます。
- SEC Filings (Kay.ai)
Kay.aiを使用して、米国証券取引委員会(SEC)のデータを検索します。
- Press Releases (Kay.ai)
Kay.aiを使用して、プレスリリースを検索します。
- Arxiv
arXivに投稿された論文から検索できます。arXivでは、物理学や数学、工学などさまざまな分野の論文が公開されています。
- PubMed
PubMedに投稿された文献から検索できます。PubMedは生命科学や生物医学に関する文献を検索できるサイトです。
- Wikipedia
Wikipediaの文章の中から検索できます。
OpenGPTsの料金体系
2023年11月21日現在、OpenGPTsはオープンソースのフレームワークなので、無料で使うことができます。
なお、LangChainについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
→LangChainを使った開発とは?流れ、費用相場、開発事例を紹介
OpenGPTsの使い方
現在、OpenGPTsを利用するには、2つの方法があります。
- ホスト版を利用する。
- バックエンドで実行する
- フロントエンドで実行する
ホスト版
こちらは非常に簡単で、以下のリンクにアクセスすることで利用できます。
opengpts-example-vz4y4ooboq-uc.a.run.app
簡単にOpenGPTsを動かしたい場合は、ホスト版を利用することをおすすめします。ホスト版では、使用するLLMやツールを選択できます。
バックエンド
バックエンドでOpenGPTsを起動するには、まず以下のコマンドでGithubのリポジトリをクローンします。
git clone https://github.com/langchain-ai/opengpts.git
クローンしたら、ディレクトリに移動し、以下のコマンドを実行して依存関係のインストールを行います。
cd backend
pip install -r requirements.txt
バックエンドは、エージェント構成とチャットメッセージ履歴の保存に Redis を使用するので、環境変数の設定が必要です。
export REDIS_URL=...
次に、使用する言語モデルも環境変数に設定する必要があります。デフォルトではOpenAIが使用されるので、OPENAI_API_KEYを環境変数に設定します。
export OPENAI_API_KEY="sk-..."
ここまでできたら、バックエンドサーバーを起動します。
langchain serve --port=8100
これで完了です。
バックエンドで、さらに詳細な設定が行えるので、詳しくは以下のGitHubリポジトリからご確認ください。
フロントエンド
バックエンドと同じように、リポジトリをクローンした後に以下のコマンドを実行してください。
cd frontend
yarn
yarn dev
実行したら、http://localhost:5173/にアクセスすることで利用できます。
以上がOpenGPTsの使い方です。
ここからはホスト版で実際に使って検証を行っていきます。
OpenGPTsを実際に使ってみた
では、実際に、OpenGPTsを利用してみましょう。以下では、ホスト版を利用します。
例えば、以下のように設定してみましょう。
- Agent Typeは「GPT4(Azure OpenAI)」を選択します。
- System Messageに「あなたはAIの専門家です。ビジネスでAIを使うにはどうすればいいかを質問しますので、その質問に答えてください。」と記入します。
- Toolsでは「Arxiv」「You.com Search」「Press Releases(Kay.ai)」「Wikipedia」を選択します。これにより、GPTsはAIの最新情報をもとにして回答できます。
このように、ビジネスへのAIの利活用をアシスタントするGPTsを作ってみました。
このGPTsに対して、書類作成の効率化の質問をすると以下のような回答が得られました。
「AIを書類作成の効率化に使用するためのいくつかの方法があります:
自動文書生成:AIは、特定のテンプレートに基づいて文書を自動的に生成することができます。これは、契約書、レポート、メールなどの定型的な文書に特に有用です。
自然言語処理(NLP):AIは、文書の内容を理解し、要約、翻訳、または校正を行うことができます。これにより、文書作成の時間を大幅に短縮することができます。
音声認識:AIは、音声をテキストに変換することができます。これにより、手でタイピングする必要がなく、時間を節約することができます。
予測テキスト:AIは、ユーザーが入力する次の単語を予測することができます。これにより、タイピング速度を向上させることができます。
これらの機能を持つAIツールを使用することで、書類作成の効率を大幅に向上させることができます。具体的なツールとしては、Google DocsのSmart Compose、Grammarly、Otter.aiなどがあります。」
このように、さまざまな業務に対して、GPTsを作成することで、業務を効率化できます。
なお、自分専用のチャットボットを作成できるAIについて知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
→【DocsGPT】GPT-4を使って自分専用AIチャットボットを作れるオープンソース
OpenGPTsの推しポイントであるカスタマイズ性は本当なのか?
OpenGPTsの特徴は、ChatGPTより自分に合ったカスタマイズができることです。
ChatGPTでも上と同様の指示を出して結果を比較してみましょう。
ChatGPTとの比較
以下のプロンプトを入力します。
あなたはAIの専門家です。ビジネスでAIを使うにはどうすればいいかを質問しますので、質問に答えてください。
書類作成の効率化にAIを使いたいです。どのようにAIを使えば良いですか?
そうすると、以下のように回答が出力されます。
ビジネスにおける書類作成の効率化にAIを活用する方法には、いくつかのアプローチがあります。以下に具体的な方法を挙げてみましょう。
1. **テキスト生成と編集支援**: AIは、文章の自動生成や編集の支援に使用できます。たとえば、報告書や提案書の草案を作成する際、AIは関連情報を基にコンテンツを生成し、文体や文法の誤りを指摘することができます。
2. **テンプレートとフォーマットの自動化**: 特定のドキュメントタイプに適したテンプレートをAIが提供し、自動的にフォーマットを整えることが可能です。これにより、文書の一貫性と専門性が保たれます。
3. **音声認識と変換**: 会議やインタビューの音声記録をテキストに変換することで、記録の効率化が図れます。AIを使った音声認識技術は、時間を大幅に節約し、書き起こしの精度を高めることができます。
4. **データ分析と要約**: 大量のデータや長い文書から重要な情報を抽出し、要約することがAIの強みです。これにより、意思決定に必要な情報を素早く提供できます。
5. **機械翻訳**: 国際ビジネスでは、多言語の文書を扱うことがよくあります。AIによる機械翻訳は、異なる言語間での文書作成と理解を支援します。
6. **カスタマイズとパーソナライゼーション**: AIは、顧客やビジネスパートナーに向けた文書を個々のニーズに合わせてカスタマイズすることも可能です。
これらのアプローチを取り入れるには、適切なAIツールやソフトウェアを選定し、従業員がこれらのツールを効果的に使用できるようにトレーニングを行うことが重要です。また、AIの活用には、データのプライバシーやセキュリティ、倫理的な側面も考慮する必要があります。
今回、OpenGPTsとChatGPTどちらでもGPT4を使ったので、出力にはあまり違いがありません。しかし、OpenGPTsでは、Toolsを利用したので、Toolsを用いた検索結果が回答に反映されています。
ChatGPTでも検索結果を反映させることはできますが、OpenGPTsの方が、どこから検索するかを一括で設定できるので、よりカスタマイズ性に優れています。
一方、ChatGPTの方は、簡易的で扱いやすいです。
そのため、簡易的に使いたい場合は、ChatGPT、よりカスタマイズしたい場合は、OpenGPTsを使うというように使い分けると良いでしょう。
Claude2
もうワンパターンカスタマイズしたGPTsを作成してみましょう。
言語モデルはClaude2を選択します。
System MessageとToolsは、以下のように設定します。
Pubmedを選択することで、生命科学や生物医学に関する文献を検索できるようになり、他のツールと組み合わせることで、最新の医学についての情報を取得できるようになります。
このGPTsに、最新の癌の治療法について聞いてみましょう。
最新の癌の治療法について教えて
以下の回答が出力されました。
癌の治療法は常に進歩しています。最近の研究では、CAR-NK細胞療法や特定のヒストンメチル基転移酵素(HMT)を標的とした新しい阻害薬の開発などが注目されています。
CAR-NK細胞は、CAR T細胞療法の問題点である移植片対宿主病(GVHD)や神経毒性などの副作用を回避できる可能性がある細胞療法です。特定の腫瘍抗原を認識するCARをNK細胞に発現させることで、腫瘍細胞に対する殺傷能力を高めています。
一方、HMT阻害薬はエピジェネティックな調節を標的とした新しい分子標
途中で出力が止まってしまっていますが、pubmedを使って最新の文献から情報を引っ張ってきているので、かなり専門的な用語を使って教えてくれています。
このように、自分の目的に合わせて、言語モデルやツールを組み合わせることで、様々なタスクに特化させたGPTsを作成することができます。
この記事を読んで、気になった方は是非試してみてください!
OpenGPTsを使いこなそう
これまでOpenGPTsを説明してきました。
OpenGPTsは、2023年11月にLangChainによって発表された機能です。このOpenGPTsは、自分で利用するLLMを選択できます。また、さまざまな機能が搭載されており、今後もアップデートが予定されています。他にも、設定済みのツールが9つあり、それらを使った検索も可能です。
OpenGPTsを使用することで、映画「アイアンマン」がトニー・スタークが自分のアイアンマンスーツをカスタマイズするように、自分のGPTをカスタマイズできます。
OpenGPTsは、うまく利用すると大幅な業務効率化につながるフレームワークですので、この記事を読んで気になった方は、一度機能を試してみて、是非仕事等でも活用してみてください。
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