【生成AI×教育】学校における生成AIの使い方ガイド!活用事例やデメリット、注意点まで徹底解説

教育現場における生成AIの活用方法を知っていますか?

生成AIとは、問いかけに対してまるで人間と会話しているかのような回答ができるAIです。生成AIはさまざまな分野で導入が進んでおり、学校でも先生の負担を減らすとの期待があります。

この記事では、生成AIの種類から生成AIが教育現場でできること・実際の活用事例・生成AIを使用する際の注意点まで詳しく解説します。

目次

教育現場で生成AIを活用するには環境整備が急務

生成AIは、教育現場をサポートする強力なツールです。人材不足が深刻な教育現場では、先生や学校経験者の業務効率化に役立ち、子どもにとっても学習のパートナーとして知識向上やスキルアップに役立つでしょう。

生成AIを教育に生かすには、環境整備が大切です。ガイドラインやルールの基で利用しましょう。活用法を間違えると、業務効率が逆に悪化して教育の質が悪化するなど本来の目的とは異なる結果になりかねません。

ここでは、教育現場の現状と生成AIを教育現場で活用するメリット・デメリット、文部科学省が掲げる生成AIのガイドラインを解説します。

教育現場における生成AIの現状

ChatGPTが2022年末に登場し、広く生成AIが認知されて以来、教育現場でも活用が広がっています。

生成AIを学校教育で活用しているのはもちろん、ナガセ・学研ホールディングス・atama plusなど、教育事業を展開している企業での導入も活発です。

立場や考え方によって生成AIに対する印象は違うでしょう。生成AIは、既存の教育や仕事のやり方を抜本的に変えるポテンシャルを持ち、積極的に利用したいと考える人がいる一方で、リスクが大きいと考える人もいます。そのため、多くの現場では導入や活用が出来ていないのが現状です。

生成AIを活用して効率化できる領域は多岐にわたります。教える側にも教育を受ける側にもそれぞれメリットがあり、学校や塾の運営効率化にも役立つでしょう。

しかし、生成AIが学習した内容は必ずしも正しい物ばかりではありません。出力の信頼性はユーザーが最終的に評価、判断を下す必要があります。また、著作権侵害や個人情報流出のリスクなど、リテラシーが身についていない状態で生成AIの自由な使用を奨励すると教育に好ましくない影響を与える可能性もあるでしょう。

教育現場での生成AI活用には、ガイドラインを基に制定したルールの下で正しく利用できるかが重要なポイントです。

文部科学省が掲げる生成AI利用のガイドライン

生成AIの教育現場での活用をめぐりさまざまな議論がある中、文部科学省は社会に急速に普及しつつある現状を踏まえて、生成AI活用のガイドラインを定めています。このガイドラインは初等及び中等教育段階におけるものです。

生成AIは今後更に日常生活に浸透していくと思われる新技術であり、使いこなす力を付ける教育が重要です。一方、情報の正確性を自分一人では判断できない、過剰に依存した結果重要なスキルが身につかないなどの懸念もあります。

この状況を考慮し、文部科学省は生成AIを「限定的」に教育現場に導入することが重要としています。例えば、英会話の対話相手として使う、アイデア出しのサポート、プログラミングなどです。

逆に適切でないとする活用法には、作文や小論文などの課題にそのまま流用する、教科書など品質が担保された教材を使う前に安易に利用するなどが挙げられています。

教育現場で生成AIの活用を考えている場合には、まずこのガイドラインに目を通すことをおすすめします。

生成AIと教育に関するニュース

近年では、教育分野における生成AIの活用が注目されているため、連日関連したニュースが多く取り上げられています。

ここでは、2024年4月現在で取り上げられている最新のニュースを一部ご紹介します。

特定非営利活動法人タイプティーは、GIGA端末の活用やCanvaなどを利用した教材作成、AI活用、プログラミング教育について学べる参加型ワークショップ「GIGAGIG 2024」を5月3日(金・祝)に開催する。

引用元:Canvaや生成AIなど、新しい教育を体験できる教員向けワークショップを5月3日に開催

まず1つ目は、教員向けにCanvaをはじめとしたITツールや生成AIの活用方法を教えるワークショップが開催されるというニュースです。

独学で学ぼうとするとかなりの時間や根気が必要になるので、こういったワークショップを開催してくれるのはありがたいですよね。

学研ホールディングス(HD)子会社の学研メソッドは小中学生向けのオンライン学習システムに生成AIを搭載している。

「数学のグラフの理解度が10%も上昇しているんだ。本当にすごいね」

児童・生徒の学習状況に合わせて、やる気を引き出す励ましのメッセージが生成AIによって作成される。

引用元:学校現場、学習サービスが続々生成AI導入 誤情報懸念も人手不足解消や教育の質向上に

次は、オンライン学習サービスにAIロボを導入したというニュースです。文部科学省や学習サービスの大手が、教育の質の向上や人手不足の解消を目的に導入を進めており、全国から指定された約50の生成AIパイロット校で導入されています。

励ましのメッセージをAIが生成することで、子供の学習時間が伸びる効果が現れているとのことなので本格導入を期待したいですね。

生成AIを教育現場で活用するメリット

生成AIを教育現場で活用するメリットには、以下のような点があります。

  • 資料作成など授業準備の効率化
  • 授業計画の最適化
  • 多様な情報源を活用できる
  • 生徒の理解度に合わせた授業準備ができる

生成AIを活用すれば、文字だけでなく、画像やプレゼンテーションなどさまざまな形態の資料を作成できます。そのため、授業準備に掛かる時間を大幅に削減できるのが大きなメリットです。

単純作業をAIに任せれば、先生はより創造的な授業を実現するための準備に注力できます。それは生徒にとっても価値の高いコンテンツとなるため、限られた時間を効率的に活用することに繋がります。

生成AIを教育現場で活用するデメリット

生成AIを教育現場で活用すると、以下のようなデメリットもあります。

・不正確な情報の使用による教育の質低下
・個人情報の流出リスク
・生徒との関係が希薄になる

上記以外にも、学生が生成AIを活用して論文などの課題を提出した際に、教育評価が難しくなるという課題があります。

学生が自分の力ではなく、生成AIのみを使用して論文を作成したことに気づけないと、学生の成長を阻害する要因にもなりかねません。次に、生徒目線で見たときに生成AIの活用にはどのようなメリットがあるか見てみましょう。

  • 自分の理解度に合った学習サポート
  • 自分に最適な学習リソースへのアクセス
  • モチベーションの向上
  • いつでも好きな時に気になる点を理解できる
  • 外国語の情報も翻訳して日本語で学べる

現在では、教科書だけでなく動画やウェブサイトなどさまざまなソースから無料で学べる環境があります。生成AIは自分に適したソースを教えてくれたり、アクセスするためのリンクも提示してくれたりします。意欲があれば、高度な内容もすぐに理解できるでしょう。

なお、日本企業におけるChatGPTの導入事例が知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

文部科学省が指定する「生成AIパイロット校」

日本政府は、生成AIをあらゆる場面で活用しようとしています。ビジネスでの活用はすでに進んでいるため、次は民間組織での活用に注目しているのです。

その一環として、文部科学省が行っている「リーディングDXスクール事業」では、指定校において1人1台の端末とクラウド環境を活用した教育実践を推進しており、生成AIの活用にも焦点を当てています※1

指定校は、既存の指定校に加えて「生成AI指定校」として選ばれ、生成AIの教育利用や校務利用をしていきます。実践した成果については、成果報告会において実践事例を発表することが必要です。

まとめると、この事業は、文部科学省が学校での生成AIの利用を推進するために支援をするという内容です。

今後、生成AIを活用していることで国からの補助金がもらえたり、注目を浴びて生徒の応募が集まったりする可能性があると考えられます。

このように、生成AIの教育現場での活用は次第に進んできているのです。

そこで、ここからは生成AIの基本のきから教育現場での活用事例までご紹介していきます。

なお、生成AI活用に欠かせないリテラシーについて知りたい方はこちらをご覧ください。

そもそも生成AIとは

生成系AIとは

生成AIは自然な会話による回答が可能なAIであり、文章・楽曲・画像・プログラムのコードなど幅広いものを作成できます。

生成AIは、ディープラーニングを用いた機械学習モデルというAIの新しい形態をとっています。これにより、AIがクリエイティブな成果物を自己生成することが可能となりました。

例としては、テキスト生成AIの「ChatGPT」などが挙げられます。生成AIは、人間の作業をサポートする道具としての役割が期待されており、実際にさまざまな分野において多くの活用事例があります。

その一方で、生成AIの回答は必ずしも正確とは限らないため注意も必要です。生成AIを利用する際には、人間の手によるチェックが重要です。

生成AIの種類

生成AIには大きく4種類があります。

具体的には、テキスト生成・画像生成・動画生成・音声生成に分けられます。

テキスト生成ChatGPTBingAIGoogle BardClaude2
画像生成DALL-E2MidjourneyStable DiffusionBing Image Creator
動画生成RunwayKaiberSynthesia2short.ai
音声生成SpeechifyMurf.aiNotevibesUberDuck.ai

テキスト生成

テキスト生成AIとは、機械学習と自然言語処理技術を組み合わせて人間が理解できる自然なテキストを生成するAIです。文法ルール・語彙知識・文脈などを考慮して、使い方や意味が適切な文章を作成します。

コンテンツ制作や文書作成など、多岐にわたって活用されています。

画像生成

画像生成AIとは、AIを用いて新しい画像を作成する技術です。

主に機械学習やディープラーニングを活用して既存の画像データからパターンや特徴を学習し、新しい画像を生成します。

画像生成AIは、デザインや画像編集・映画やゲームの効果など多くの分野で活用されており、効率的で創造的な画像作成の方法として活躍が期待されています。

動画生成

動画生成AIとは、動画やテキストから新しい動画を生成するAIです。

アメリカのランウェイリサーチ社は、2023年2月に動画生成AIモデル「Gen-1」を発表し、3月にはテキストから動画を生成する「Gen-2」を発表しました。

しかし、動画生成AIには学習データの著作権問題などの課題があり、商用サービスとしての実用化はまだ難しいとされています。将来的な展開に期待が高まりますね!

音声生成

音声生成AIとは、指示通りに人工的なナレーションを生成するAIです。

動画編集時にナレーションを追加したいけれど自分の声は恥ずかしい…というときに、AIを代替手段として活用できます。また、音声生成AIを利用することで、個人情報の保護にもつながります。

ただし、音声がロボットっぽく聞こえてしまうのが懸念点です。

生成AIが得意なこと

生成AIの活用事例を紹介します。主に業務で使われるのは、ChatGPTやGoogle Bardのようなテキスト生成AIです。

文章の要約

生成AIでは、入力した文章の要約が可能です。文字数の指定をした要約もできるので、長い文章を短くまとめたいときに便利です。

また、記事の内容を簡潔に知りたい場合にも、生成AIに要約してもらうことで効率的に情報を得られます。文章を読む時間を短縮できるため、業務効率化につながります!

メールの文章作成

生成AIを利用して簡単にメールの文章作成をすることができます。数個のキーワードを入力するだけでタイトルや文章を生成できます。

また、相手からのメールに対して自分の思いを加味した返信メール案の作成も可能です。文章を丁寧語に変更してもらうことも可能なので、言い回しが不安という方にも便利な機能です。

翻訳

外国語の資料の翻訳は、生成AIが得意とする領域のひとつです。膨大なデータを学習したLLMの登場により、これまでの機械翻訳に比べて飛躍的に精度が向上し、自然な文章で翻訳ができます。日本語以外の言語で書かれた情報を自然な日本語で読めれば、アクセスできる情報の範囲が劇的に広がるでしょう。

翻訳にも気を付けるべき点があります。生成AIが持つ大規模言語モデルはあらゆる言語の情報を学習していますが、翻訳の精度は学習した言語の情報量や質などに比例します。

そのため、英語など世界で多く使われている言語は多くのデータを学習していますが、少数の人が利用している言語は学習データが少なく、翻訳精度も低下する可能性があります。

プログラム作成

生成AIは、プログラムコードの生成も可能です。Pythonなど主要なプログラミング言語のデータを学習し、文法に基づいたコード生成ができます。言語と作成したいプログラムの内容を指示するだけで、即座にコードを生成します。

また、自分で作成したプログラムコードに改良に向けたフィードバックをもらったり、エラーが発生した場所の原因を特定したり、解決方法を提示してもらったりできます。

高度なプログラミングスキルがなくても、データの集計など簡単なレベルのプログラムであれば、自分で作成して作業の効率化を達成できるでしょう。

アイデアの壁打ち

生成AIはアイデアの壁打ちにも役立ちます。例えば、社内の問題や課題を解決するために何ができるかを考えながら、随時生成AIに入力していきます。

生成AIの回答をもとに、内容を深堀りしていくとより良いアイデアが生まれるでしょう。より具体的に指示すると、知りたい情報が的確に得られます。

生成AIの活用には、プロンプト(AIに出す指示文)が非常に重要なのです!

なお、より具体的な生成AIの活用事例について知りたい方はこちらをご覧ください。

生成AIが教育現場でできること

生成AIは企業だけでなく、教育現場においても活用できます。ここでは、生成AIが教育現場でできることについてご紹介します。

文書作成の時間短縮

生成AIはフォーマットに従って文章を作成するのが得意です。例えば、報告書の作成・議事録・生徒の親へのメール作成など、フォーマットが定まっている文書を作成する際には特に優れた性能を発揮します。

また、ほとんど情報を提供しなくても初めから文章を生成してくれる点も特徴です。生成されたテキストをベースに必要な情報を追加したり修正したりしていけば、本来手間のかかる文書作成も迅速に行えます

授業準備のサポート

生成AIは先生が行う授業準備のサポートもできます。授業の計画や時間配分の設定だけでなく、授業シラバスの作成授業用の教材作成文章の採点や添削など、多岐にわたって活躍します。

生成されたものをそのまま使用することはできないかもしれませんが、回答がヒントとなることも多いでしょう。

授業での学習の効率化

生成AIは英語学習の効率化に長けています。日本語から英語への翻訳や要約のほか、単語や文法の学習支援TOEICやTOEFL対策用の練習問題の作成などが行えます。

また、音声の入力や読み上げ機能を使えば、簡単な英会話のレッスンも可能です。

生成AIの教育現場での活用事例10選

実際に生成AIは学校でどのように活用できるのでしょうか?生成AIの教育現場での活用事例をご紹介します。

個別指導

生成AIは難解な学習内容に関して、学生ごとに個別の指導を行えます。学生が質問をすると、生成AIは疑問点や難しい部分を明確にするための解説や具体的な例を提供します。

生成AIを利用することで学生は自分のペースで学習し、知識のギャップを埋められるのです。

言語学習

生成AIは、外国語を学ぶ学生に文法の解説や単語の意味・発音の練習などのサポートができます。さらに、生成AIによる自然な会話練習を通じて、異なる言語でのコミュニケーションスキルを向上させることも可能です。

テスト作成

先生は、生成AIを活用して定期試験や模擬試験の問題を作成できます。生成AIを活用することで、対象のトピックや難易度に適した問題を作成できるため、公平かつ効果的な評価が可能になります。

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文章の校正

生成AIは、学生がエッセイやレポートを作成する際に、文章の構成や表現の改善点を提案できます。学生の文章を分析し、適切な語彙の使用や文法の修正・論理構造の改善などを提案します。

読解力・理解力の向上

生成AIは、学生の読解力を向上させるために、さまざまな難易度の文章を生成することが可能です。さらに、それに関連する質問の作成もできます。

生成AIを利用することで、学生は文章の理解力や情報の取捨選択能力を効率的に養えるのです。

調べ物の効率化

埼玉大学教育学部付属中学校は、ロボコンに関する授業において調べものをする際にChatGPTを活用しています。

具体的には、充電式電動ドライバーの動力伝達の仕組みを調べるとき、生徒はコネクトシートを使用して、ChatGPTを活用した検索やインターネット上の画像や資料の挿入を行いました。※2

生徒はシートを編集しながら整理していき、編集が完了したシートは自身の考えや調査の成果として教師に提出されたとのことです。

英作文の添削

長崎市の県立長崎北高校では、約80人の2年生がAIを活用した英語の授業に参加しました。生徒たちは個々に英作文に挑戦し、その添削作業をAIが担当します。教師ではなくChatGPTが英語の使用方法の改善点を提案しました。

劇の台本を作成北海道の函館市立万年橋小学校では、学芸会での劇の台本を学級活動の時間にAIを使用して作成しました。

劇や音楽などの構成をクラスで話し合って決めるのは時間がかかるため、AIによってアイデアや論理的な文章を即座に作成しています。

その後、クラスで起こった出来事というオリジナルな要素を組み合わせることで、独自性もある劇にしたようです。

道徳の授業

東京学芸大学附属小金井小学校では、4年生の道徳の授業で生成AIを活用しました。

子どもたちは将来AIと共に生活していきます。だからこそ、小学生の段階でAIについて理解しておくことは重要であり、AIを盲目的に信じるのではなく、安全にツールとして利用できるスキルを身につけてほしいとのことでした。

理科の授業

愛媛大学教育学部附属中学校では、水溶液の性質を学ぶ授業でChatGPTを導入しました。

それまでは生徒の記入した文章に赤い線を引いたり、用紙にハンコを押したりするだけで精一杯でしたが、ChatGPTを使用することで4、5文をすぐに返答できるようになりました。生徒たちにとっても、質問をする敷居が下がった様子です。

このように、生成AIは教育現場で広く活用されていますが、他にもさまざまな分野で活躍しています

なお、ChatGPTについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

生成AI導入に関する国の補助金

汎用性の高さに注目が集まっている生成AIですが、生成AIの利用に際して国が補助金を出している事例もあります。

たとえば、文部科学省が2024年5月現在でおこなっている「高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)」の取り組みなどです。※3

1,000校程度の対象校に上限1,000万円の補助金を支援する取り組みで、設備備品や関連経費に充当できます。

また、日本政策金融公庫がおこなっているAI活用融資(最大7.2億円を貸付)などもあるので、気になる方はホームページをチェックしてみてください。※4

生成AIを教育現場で使う際の注意点

生成AIは便利な反面、使用する際に注意が必要な点もあります。

そこで生成を教育現場で使う際の注意点をまとめました。

  • 情報漏洩
  • 虚偽情報の作成(ハルシネーション)
  • 著作権侵害

しっかりと注意点を把握したうえで、活用していきましょう!情報漏洩

生成AIを使用する際には、社内の秘密情報や個人情報を入力しなければならない場合があります。

入力された情報が悪用される可能性は低いとされていますが、完全にリスクがないわけではありません。的確な回答を得るためには具体的な指示をする必要があるため、今後も秘密情報や個人情報の漏洩リスクは存在し続けるでしょう。

虚偽情報の作成(ハルシネーション)

生成AIの回答は、インターネット上の情報に頼って生成されています。そのため、インターネット上の不正確な情報源を参照して誤った回答をする可能性があります。

調査した情報が正確でない場合、その情報を元にした実務作業(例えば資料作成など)に重大な問題が生じる可能性は否定できません。

生成AIは「それっぽい」回答を生成する能力に秀でたAIなので、情報の真偽を見極めるのが難しい場合には、誤った情報を採用してしまうリスクが存在します。

著作権侵害

生成AIは広範なテキストデータを学習しており、その中には個人情報保護や著作権などに関わる情報も含まれている可能性があります。利用する際に無意識にこれらの情報を引用してしまい、法的な問題が発生する場合があるので注意が必要です。

生成AIを教育現場で使う際の対策

前述のとおり、生成AIを教育現場で使う際はさまざまな注意点があるため、その対策をまとめました。

  • ChatGPTの設定を変更
  • 組織の監査体制を構築
  • 生成AI活用に関するガイドラインの作成

1つずつ詳細を解説していくので、これから生成AIを導入しようと考えている方はぜひ参考にしてみてください。

ChatGPTの設定を変更

情報漏洩のリスクを軽減する方法としては、ChatGPTの設定を変更することが挙げられます。

OpenAIの公式サイトによると、ユーザーの入力データはAIモデルの学習に利用されていると説明しています。しかし、その学習を回避する方法を3つ提案しています

1. ChatGPTの設定で「training」を無効にする

ChatGPTの設定から「Data controls」にいくと表示される「Chat history & training」をオフにします。

このように設定を変更することで、チャット履歴が残らなくなり、ChatGPTの学習に入力したデータが使用されなくなります。

2. オプトアウトの手続きをする

OpenAIは、ユーザーのためにオプトアウト制度を用意しているのです。

User Content Opt Out Request」こちらから、AIの学習に入力したデータを使用させないようにするリクエストが送れます。

こちらのフォームを提出することで、提出後のデータがAIの学習に使用されなくなります!

3. APIを利用する

APIを経由して生成されたデータは、AIの学習に使用されない仕組みになっています。

AIの学習に自分の入力したデータを使用してほしいという方は、こちらの「OpenAI Data Sharing Opt In」フォームから手続きをしなければなりません。

組織の監査体制を構築

生成AIが誤情報を出力してしまうことの対策としては、組織の監査体制を構築することが挙げられます。生成AIによって生成された回答を即座に採用するのではなく、別の人間による確認を必ずおこないましょう。とくに重要な業務で使用する際は、専門家による検証を導入するのも1つの手です。

生成AIの不正確な回答に対応できる社内の監査体制を構築することで、生成AIを効果的に活用できるようになります。

生成AI活用に関するガイドラインの作成

個人情報保護や著作権の侵害を回避するためには、生成AIの利用方法や情報漏洩の予防に関するガイドラインを作成するとよいでしょう。このガイドラインには、適切な利用方法や回避すべき行動などを記載します。

ガイドラインを作成したら、生成AIを活用する担当者に配布するのと同時に、わかりやすい場所に掲示しておくことが大切です。

なお、ChatGPTを企業利用する際のリスクと対策について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

生成AIのメリット・デメリットを把握し、限定的な範囲から教育現場での活用を始めよう

世界を驚かせたChatGPTの発表から間もないですが、その有用性から急速なスピードでAIの発展と導入が進み、教育現場にも活用例が出てきています

本記事で紹介した活用例を以下にまとめました。

  • 個別指導
  • 言語学習
  • テスト作成
  • 文章の校正
  • 読解力・理解力の向上
  • 調べ物の効率化
  • 英作文の添削
  • 劇の台本作成
  • 道徳の授業
  • 理科の授業

さまざまな使い方ができる生成AIですが、誤った情報に基づく回答を生成するなど、自由に使うと教育に悪影響を及ぼしかねません

生成AIの特性やリテラシーが十分に備わっていない学校での利用には、十分注意が必要です。

具体的には以下のような注意点があります。

  • 情報漏洩
  • 虚偽情報の作成(ハルシネーション)
  • 著作権侵害

上記の注意点への対策は以下のとおりです。

  • ChatGPTの設定を変更
  • 組織の監査体制を構築
  • 生成AI活用に関するガイドラインの作成

文部科学省は教育現場での利用に対し、国としての考えを示したガイドラインを公表しています。このガイドラインを参考に教育現場において、限定的な範囲から導入を進めていくとよいでしょう。

既に生成AIを活用している教育施設があり、これらの先例を参考に進めるのもおすすめです。

最後に

いかがだったでしょうか?

弊社では

・マーケティングやエンジニアリングなどの専門知識を学習させたAI社員の開発
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まずは、「無料相談」にてご相談を承っておりますので、ご興味がある方はぜひご連絡ください。

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投稿者

  • Hiromi Sai

    ChatGPTメディア運営 / テクニカルライター リベラルアーツ専攻。大学休学中は、Webマーケティング会社のマネージャーとしてライター、ディレクター100名のマネジメントをする。南米のチリとタイでの長期居住歴を持つ。

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