LLMと生成AIの違いとは?仕組みやビジネス活用のヒントを徹底解説

突然ですが問題です!
「ChatGPTは生成AI?それともLLMでしょうか???」
AI技術の進化により「LLM(大規模言語モデル)」や「生成AI」といった用語が頻繁に耳にされるようになりました。しかし、馴染みのない新しい用語は、詳細な意味や具体的な違いがよくわからなかったりするのではないでしょうか。
本記事では、生成AIとLLMの違いや、それぞれの特徴と活用例を詳しく紹介します。この記事を読むことにより、各種生成AIでできることや、代表例まで分かりますのでぜひ最後までご覧ください。
LLMと生成AIの基本的な定義と違いとは?

AIの劇的進化により、様々な専門用語が新たに生まれました。中でも「LLM(大規模言語モデル)」「生成AI」は、違いが分かりづらくて混同されがちです。
「LLM」は、膨大なテキストデータから言語パターンを学習し、高精度でテキスト関連タスクを行う深層学習モデルの呼称です。一方、皆さんに馴染みの深い「生成AI」はテキストや画像、音声などコンテンツを自律的に生成するAI技術の総称で、LLMはあくまでその一部ということになります。
なお、生成AIと従来のAIの違いについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

生成AIにはChatGPTやMidjourneyなど、多岐にわたるものがあります。
他にもどんな生成AIがあるのか、それらの仕組みも併せて知りたいという方に、おすすめの記事です。
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LLMと生成AIの基本的な定義と違い

冒頭の「ChatGPTは生成AI?それともLLM??」という質問に対して明確に答えることはできますか?
「LLM」と「生成AI」という言葉は頻繁に使われながらも、その違いが明確に理解されていないことがあります。この章では、両者の基本的な定義と違いについて詳しく解説します。
では各種生成AIの仕組みや基盤となっているモデルは一体どのようなものがあるのでしょうか。見ていきましょう。
LLM(大規模言語モデル)とは
大規模言語モデル(LLM)とは、大量のデータとディープラーニング技術で構築された言語モデルです。
その名前の通り、膨大な量のテキストデータを学習し、人間の言語を理解・生成することに特化した人工知能モデルを指します。
LLMの「大規模」という表現は、モデルのパラメータ数が数十億から数兆に及ぶことを示しています。
例えば、OpenAIのGPT-4は約1.76兆のパラメータを持つと言われており、これは従来の言語モデルと比較して桁違いの規模です。このパラメータ数の多さが、より自然で文脈に沿った応答や、複雑な指示の理解を可能にしています。
大切なのは、LLMは言語処理に特化したモデルであるということです。画像や音声の直接的な生成・処理は、基本的にLLMの機能の範囲外です(ただし、LLMがAPIを通じて他のAIと連携して画像生成などの指示を出すことはあります)。
生成AI(Generative AI)とは
生成AI(Generative AI)は、新しいコンテンツを創造・生成できる人工知能の総称です。LLMが言語モデルの一種であるのに対し、生成AIはより広い概念で、テキストだけでなく、画像、音声、動画、コードなど様々な種類のコンテンツを生成できる技術全般を指します。
生成AIには以下のような様々な種類があります。
- テキスト生成AI:LLMを含む、文章や詩、物語などのテキストを生成するAI
- 画像生成AI:DALL-E、Midjourney、Stable Diffusionなど、テキスト指示から画像を生成するAI
- 音声生成AI:テキストから自然な音声を生成したり、声色を変換したりするAI
- 動画生成AI:静止画や簡単な指示から動画を生成するAI
- 音楽生成AI:新しい楽曲や音楽を生成するAI
- コード生成AI:プログラミングコードを生成するAI
つまり、LLMは生成AIの一種と考えることができます。LLMはテキストを生成するタイプの生成AIであり、生成AIという大きなカテゴリの中の一部門なのです。
LLMと各生成AIの仕組み
LLMと生成AIの基本的な違いについて理解したところで、次はそれぞれの技術的な特徴と動作の仕組みについて掘り下げていきましょう。
これらの技術がどのように機能し、何を実現できるのかを知ることで、それぞれの強みや限界についても理解が深まります。
LLMの仕組み
LLMが従来の言語モデルより驚異的な性能を持つ理由は、AIの世界にブレイクするーをもたらした「Transformer」にあります。
TransformerとはGoogleが開発したこのディープラーニングアーキテクチャで、現代の大規模言語モデル(LLM)の基盤となっています。
簡潔に説明すると、従来の言語モデルで利用されていたリカレント層などを使わずに、Attention層だけを使うようにしたことにより、長期的記憶力が大幅にアップしました。
画像生成AIの仕組み
画像生成AIの世界でますますの注目を集めるDiffusion model(拡散モデル)。このモデルは、Stable DiffusionやDALL・E2など、最先端の画像生成サービスの基盤となっています。
Diffusion modelの大きな特徴として、画像にノイズを加えて完全に破壊し、そこから元の画像を再生成する独特の学習方法を採用している点です。ノイズの付与と除去を繰り返して高品質な画像生成を実現していて、ランダムなノイズから多種多様な画像を瞬時に生成できる点はまさにブレイクスルー。
さらにプロンプトで細かい指示や、参考画像をアップロードすることにより、理想のイメージに近づけられる点も驚異的です。実際に画像生成AIを利用してみてその効率性に驚いた人も多いのではないでしょうか。
動画生成AIの仕組み
昨今ではついに動画生成AIも台頭してきました。OpenAIの動画生成AI「Sora」は、リアルな動画生成で話題を呼んでいます。そしてこの動画生成AIは、前述で説明した「Transformer」と「拡散モデル」を組み合わせることで実現しています。
完全なランダムデータから徐々にノイズを取り除き、精巧な映像を創り上げる「拡散モデル」。そして言語や画像を高度に理解・処理する「トランスフォーマー」を巧みに組み合わせることで、テキストの深い理解に基づいて、高品質な動画を生成可能に。※1
プロンプトを指定することで、イメージに近い動画を生成できます。さらにはある程度こちらの考えを汲み取って動画を生成している点は、「トランスフォーマー」だからこそなし得るということですね。
生成AIやLLMの活用方法

LLMと生成AIの技術的な違いや代表的な例について理解したところで、これらの技術が実際にどのように活用されているのかを見ていきましょう。すでに多くのビジネスや日常生活シーンにおいて、様々な場面で利用されています。
LLM(大規模言語モデル)の活用方法
LLMの進化が、ビジネスと日常生活に大きな変革をもたらしています。質問応答、文章要約、感情分析、機械翻訳、プログラムのバグチェックなど、LLMは多彩な機能を持っています。カスタマーサポートから文章作成、リアルタイム翻訳まで幅広く活用され始めていて、今後もこの動きは拡大するでしょう。
さらには、議事録からの情報抽出、広告文作成、個別化された学習教材の提供、24時間対応のチャットボットなどが挙げられます。これらは様々なビジネスの場の効率化に繋がっていて、結果として顧客サービスも向上します。
LLMの進化は業務効率化だけでなく、クリエィティブの可能性も広げており、今後のさらなる発展への期待は大きいです。
画像生成AIの活用方法
画像生成AIも、ビジネスの様々な場面で活躍しています。ロゴ作成、Webデザイン、SNSコンテンツ制作から、エンターテインメント、医療分野まで、その活用範囲は広がっています。
従来であれば商用画像は専門のデザイナーや写真家などに1点ごとに依頼する必要がありました。画像生成AIは、大量の画像を効率的に作成し、コストを大幅に削減できます。
かつてはフリー画像を利用したパターンでも、AIでプロンプトを駆使することにより、精度の高い画像を生成。広告やバナー制作においてクリック率向上に成功した事例も。製品デザインでは、アイデアをテキスト入力するだけで多様な案が得られ、たたき台を作成するまでの期間を短縮できます。
使い方によってはクリエイターにとってもAIは大きな味方となるのです。
動画生成AIの活用方法
ここ最近でAIにおいて大きな驚きとなっている動画生成AI。テキストや画像から動画を生成できるため、空想上の世界すら映像化できてしまう点は凄いですが、倫理的な問題も危惧されますね。これまでは映像制作のプロでなければ作成できなかったような映像ですら、素人が高品質な動画を作成できてしまうため、クリエイターにとっては脅威でもあるでしょう。
具体的なサービスとして、Pika LabsやRunway Gen2は画像やテキストから動画を生成。Kaiberは音源データを活用したミュージックビデオ制作、GliaCloudはニュース記事から動画を自動生成します。AIピカソのAIダンスは、静止画からダンス動画を作り出すという驚きの技術を提供します。
ビジネスにおいてはまだまだ未知数ではありますが、プロモーション、教育コンテンツ、プレゼンテーションなどの映像をAIで生成できるでしょう。その際、現実には存在しない人間のモデルを利用できる点にも注目です。コマーシャル用の映像で架空の人物が利用されるパターンも増えるのではないでしょうか。
なお、OpenAI Soraの動画事例について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

代表的な生成AIとLLMの紹介
世界中のスタートアップがしのぎを削ってきたAI分野。ここでは各種生成AIの代表的なシリーズをご紹介します。
【LLM】GPT-4o
「GPT-4o」はAI業界を牽引してきたOpenAIが発表した最新の対話型AIモデルです。
「o」は「オムニ」を意味し、テキスト、音声、画像、動画、センサ情報など複数のモダリティ(データの種類)から情報を収集・統合して処理するマルチモーダルAIです。特に音声や画像をシームレスに認識できる点は、様々な場面で活躍することが予想されますね。
従来のGPT-4から大幅に性能が向上し、応答速度、精度、多言語対応、感情理解などが強化されたようです。
なお、GPT-4oについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

【LLM】Claude 3
Anthropic社がリリースしたClaude 3シリーズは、プレゼン台本作成から長文レポートの要約など幅広いタスクをこなします。
注目すべきは最新の「Claude 3.5 Sonnet」モデル。従来のLLMと比較して処理速度が2倍に向上し、マルチモーダルにも対応。精度と機能面でも大きな進歩を遂げています。文章力に定評があり、GPT-4oやCopilotより自然な日本語を出力することができる点が強みです。
なお、Claude 3について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

【画像生成AI】DALL-E 3
DALL-E 3はOpenAIが開発した画像生成AIです。ChatGPTを契約すると使えるため、知っている方も多いのではないでしょうか。
何と言ってもDALL-E 3の強みは、その使いやすさにあります。競合のMidjourneyはDiscordサーバーへの登録や複雑なコマンド入力が必要です。しかしDALL-E 3ならウェブ上で直感的に操作可能。さらに、日本語にも対応しているため、日本のユーザーにとって使いやすいのはDALL-E 3でしょう。
なお、DALL-E 3について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

【画像生成AI】Stable Diffusion
Stable Diffusionはイギリスの企業「Stability AI」が開発した画像生成AIです。このStable Diffusionは、テキストを入力するだけで、驚くほど多様な画像を生成できる点が革新的でした。
プログラミングの知識は一切不要で、誰でも簡単に使用できます。利用方法は主に二つあり、Hugging FaceなどのWebアプリケーション上で手軽に利用するか、より自由度の高いローカル環境にインストールして使用するかを選べます。
なお、Stable Diffusionについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

【動画生成AI】Sora
OpenAIが発表した新たな動画生成AI「Sora」は、テキスト入力だけで最長1分の高品質な動画を生成可能です。テキストや画像からの動画作成、既存動画の拡張・編集ができます。
特に画像をサンプルとして提示することにより、自身のイメージとの摺合せができるため、より実践的なツールとなりました。シミュレーション能力も向上しており、カメラワークや物体の動きを自然に再現しています。
今後はビジネスだけでなく、クリエイティブな業界からも活躍が期待されています。
なお、Soraについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

生成AIとLLMの選び方と組み合わせによる相乗効果
LLMと様々な生成AIを効果的に活用するには、それぞれの強みを理解し、適材適所で使い分けることが重要です。また、これらを組み合わせることで、より大きな効果を得られることも多くあります。
タスクに合わせた選択のポイント:
- 情報処理・言語理解が必要なタスク:調査、要約、文書作成、質問応答などはLLMが適しています。
- ビジュアルコンテンツの作成が必要なタスク:デザイン、イメージ作成、視覚的な説明などは画像生成AIが適しています。
- 音声・音楽コンテンツの作成が必要なタスク:ナレーション、BGM作成、音声変換などは音声生成AIが適しています。
- 動きのあるコンテンツが必要なタスク:アニメーション、シミュレーション、動的な説明などは動画生成AIが適しています。
生成AIとLLMの組み合わせによる活用方法:
- 企画からコンテンツ制作まで:LLMでアイデアやコンセプトを練り、テキストコンテンツを作成し、そのテキストを元に画像生成AIでビジュアルを作成するという流れで、企画から制作までをAIでサポートできます。
- マルチメディアプレゼンテーション:LLMでプレゼンテーションの構成と原稿を作成し、各スライドに合った画像を画像生成AIで作成、さらに発表用のナレーションを音声生成AIで作成するという形で、総合的なプレゼンテーション材料を準備できます。
- インタラクティブコンテンツ:LLMをバックエンドの対話エンジンとして使用し、ユーザーの入力に応じて画像生成AIや音声生成AIでリアルタイムにコンテンツを生成するインタラクティブなアプリケーションも可能です。
- プロトタイピングと開発:新製品やサービスのアイデア段階で、LLMを使って企画書や仕様書を作成し、画像生成AIでモックアップを作成、動画生成AIでユーザー体験のシミュレーションを作成するといった形で、開発前の検証が効率化されます。
注意点:
- コスト考慮:多くのAIサービスは使用量に応じた課金モデルを採用しています。頻繁に利用する機能や、高品質が必要な部分に予算を集中させることが効率的です。
- 学習曲線:各ツールの効果的な使い方(例:プロンプトエンジニアリング)を学ぶには時間がかかります。組織内で知見を共有する仕組みを作ることが重要です。
- 品質と一貫性:生成AIの出力は試行ごとに異なる可能性があります。重要な用途では複数回の生成と人間による選別プロセスを設けることが推奨されます。
- 著作権と倫理:生成AIで作成したコンテンツの著作権や、元データの権利関係について理解しておくことが重要です。特に商用利用の場合は、利用規約を確認しましょう。
AIテクノロジーは急速に進化していますが、現時点では全部を完結することができる「万能のAI」はまだ存在せず、それぞれの得意分野を持つAIツールを適切に組み合わせて活用することが最も効果的なです。
また、AIはあくまでツールであり、人間の創造性や判断力と組み合わせることで最大の効果を発揮することを忘れないようにしましょう。
LLMと生成AIに関するよくある質問
生成AIとLLMの違いを理解してビジネスに活かそう!
生成AIとLLMの違いを理解することは、ビジネスで活用する第一歩です。生成AIとLLMを有効活用することにより、多岐にわたるタスクを効率化できます。
ロゴ作成や動画制作などのクリエイティブな分野でも革新的な変化をもたらしつつあり、今後数年で、AIを活用できているかという点が競争力に大きな影響をもたらしていくのではないでしょうか。AI技術の進化をキャッチアップし、その恩恵を最大限に活かしていくことが大切です。
最後に
いかがだったでしょうか?
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